■地図用定規・計測用具
■木製定規
地図へ線を引く際に使用する木製定規。直角二等辺三角形型(長さ28cm)とブーメランのような形状をした自由曲線用(長さ26cm)の2種類。各定規の厚さは2.5㎜、軽量に仕上がっている。
三角定規の1か所のみ、不鮮明な刻印が確認できる。
■三角スケール
断面が三角柱の形状をしたアルミ製定規。各面には縮尺の異なる6種類の目盛りが刻まれている。各面の中央に彫られた溝は黒、赤、黄の3色で塗装されており、使う面が一目でわかるようになっている。
各面のスケール。
赤 → 1:20 、1:100
黄 → 1:25 、1:50
黒 → 1:75 、1:125
赤の中央部に製造メーカーを示す「REISS」の刻印。1882年にドイツで設立したREISSは製図器具やオフィス家具、測量器などを製造、現在でもオフィス家具の製造メーカーとして存続している。
■分度器
90度までの角度を測れる分度器。1:25000、1:50000、1:100000の各縮尺に対応した目盛りも刻まれている。本体はスチール製。
地図上の進行速度を測る計測プレートとの事だが使用方法は不明。四角と三角の切り抜きは持ち主が加工したもの。材質は樹脂製。
■計算尺
固定尺と左右へ動く滑尺、1本線が引かれたカーソルで構成された普通の計算尺で民生品。材質は木材(マホガニー)とセルロイドと思われる樹脂。乗算、除算、平方、対数、三角関数などが計算できる。製造から100年以上が経過したアンティーク品だが樹脂の剥離や劣化、木材の反りもなく、各部はスムーズに作動する。
裏面は変形防止と思われるスチール製プレートが付いている。
表面はA、B、C、Dと4つの尺が並ぶ。カーソルのフレームはアルミ、透明部はガラス製。
滑尺の裏側にL尺とT尺。
計算尺を主力商品としていた製造メーカー「DENNERT & PAPE」の刻印。「ALTONA」は会社の所在地、ドイツ・ハンブルクの地名。
滑尺を引き抜いた内側の刻印。「D.R.P.No126499」はドイツ帝国特許・第126499号を表す。1901年に取得されたこの特許は、木材と樹脂などの性質が異なる2つの素材を一体化させる技術に関する内容。計算尺の生産にはこの特許技術が使われている。
「11」の数字が製造年の下二桁を表しているためこの計算尺は1911年製だと分かる。
■キルビメーター
地図上の曲線の長さを測る機械。民生品をそのまま使用していたようで種類が多い。掲載品は片面がキルビメーター、もう一方が方位磁針となっている。先端に設けられた小さな歯車の回転に連動して、移動距離を示す針が動く。本体や箱に製造メーカーを示す表記や刻印は何もない。
全長75㎜と小型で持ち運びは容易。
距離メーターは縮尺1:25000と1:100000の地図に対応。地図に小さな歯車を当ててルートに沿わせて動かし、針が指した目盛りを読む。
360度の目盛りが表示された方位磁針。
箱は厚紙の芯に模様の入った紙を貼り付けた「貼り箱」。