MG34 ウインタートリガー / Winterabzug




1941年のバルバロッサ作戦開始以後、対ソ戦において満足な冬期装備を持たず過酷な冬を経験したドイツ軍はその後、冬期装備品の充実を図った。小火器向けの装備品も同様であり、その中の一つがここで紹介するウインタートリガー。厚手の手袋を装着すると難しくなるトリガー操作を容易にするための部品。1943年11月頃がドイツ軍の正式採用時期と思われる。








MG34用のウインタートリガーはスチール削り出しや後期のプレス製など複数のバリエーションがあり、ここで紹介するのは初期の比較的珍しいスチール削り出し製。MG42には使用できずMG34専用となる。






MG34のグリップ下側に装着する部品。金具の固定にはスリング穴を利用するため、部品の下面にスリング取り付け用の穴が設けられている。







各部品は六角ネジで固定される構造。MG34への取り付けには上の写真のように複数のネジを取り外す必要があり面倒な作業となる。ネジが紛失する恐れ、繰り返しの使用や射撃の反動でネジが緩みそうな印象もあり、あまり洗練されていないデザイン。




分解したところ。 部品点数は13ヶ。




各部の刻印を見る。「WaA63」のバッフェンアムトはMG34などを製造していた Waffenw. Brünn を示す




反対側。製造番号と思われる「3504」と何を示すのかわからない「S」の刻印。




滑り止めのローレット加工が施された部品の上部。こちらも「WaA63」の刻印。














MG34へ装着したところ。上でも書いた通り簡単装着とはいかず、ネジの取り外しが必要。






滑り止めのローレット加工が施された棒を掴んで握りしめるとトリガーが連動して引かれ、射撃開始。厚手の手袋でも容易に操作できるという目的は十分に達成されているが、不用意な暴発が頻発しそうな印象で安全性は大きく低下する。

MG34はトリガー上部が単射(セミオート)、トリガー下部を引くと連射(フルオート)となるが、ウインタートリガー装着時にはトリガー下部しか引けない構造のため、連射のみとなる。


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