■StG 44 マニュアル


1944年6月3日にドイツ陸軍総司令部より発行され、1944年12月に改訂版となったStG 44のマニュアル。改定の理由はMP44からStG44への名称変更に伴うものと思われる。マニュアルの内容は銃の基本情報、各部名称とアクセサリー、取り扱い、分解、清掃となっており、各部は必要最低限の文章量。またドイツ軍の小火器用マニュアルでは記載されることが多い銃の構造や作動メカニズムに関する説明も無く、大戦末期の雰囲気が漂う。

本項での掲載品はコピーの非オリジナルです。






表紙サイズは10×7.5cm、16ページ(表紙と背表紙を除く)。






マニュアルはバットストック内部に分解用工具や予備撃針などの部品と共に丸めた状態で収納される。このため現存するオリジナルのマニュアルは状態の悪いものが多く、状態が良好な品は高額である。




以下、マニュアル全文の日本語訳を掲載。


本冊子は本体(銃のバットストック内部)に収納する

D 1854/3

突撃銃44(StG 44)

取扱説明書
1944年6月3日付

改訂版 1944年12月



A. 一般

旧名称: 短機関銃43(MP43)ならびに短機関銃44(MP44)

1. 構造
ガス圧作動式(銃身側壁にガス孔を有す)。閉鎖機構はティルトボルト式。ハンマー式引き金。引き金安全装置。セミオートおよびフルオートのための切替装置を備える。小銃擲弾発射装置の装着が可能。

2. 給弾方式
交換式箱型弾倉、装弾数30発。

3. 弾薬
43型短弾薬(Kurzpatrone 43) 旧名称:43型拳銃弾(Pistolenmunition 43)

4. 射程
照準射程:100~800m。100m刻みで調整可能。さらに中間距離の250/350/450mにも設定できる。
実用射距離:セミオートでは最大600m、フルオートでは最大300m。

5. 発射速度
毎秒9発、540発/分。

6. 寸法および重量
口径:7.9 mm
全長:930 mm
スリングおよび弾倉込み重量:4.62kg
30発装填済み弾倉の重量:0.92kg




B. 取扱い

7. 一般
本銃は外観から薬室内に弾薬があるか否かを判別できないため、常に装填済みと見なすこと。ゆえに、発射するときにのみ安全装置を解除する。銃は右手でグリップを保持すること。安全装置および射撃切替を除く各種操作は左手で行い、その際銃口は斜め上方に向けること。

8. 携行法
StG.44は、行軍時・戦闘時ともに小銃と同様の方法で携行する。

9. 射撃姿勢
小銃に準ずる。

10. 弾倉の装填(装弾)
装填前に弾倉の清潔状態および損傷の有無を点検する。弾倉のガイドレールに装弾器を滑り込ませて装着する。5発入りの弾薬クリップを装弾器の溝に差し込む。右手親指で、または机の天板等に押し当てる方法により、弾薬を弾倉内へ押し込む。

装填は1発ずつ手で行うことも可能。弾倉内の弾薬の確実な位置(正しい収まり)に注意する。弾薬を親指で数回押し下げ、弾薬が支障なくスムーズに動く感触が得られるまで確認する。

11. 安全装置
安全装置を掛けるには、安全装置レバーを上方に倒す(S が見える)。
安全装置を解除するには、安全装置レバーを下方に倒す(F が見える)。

12. 装填
銃の安全装置を掛ける。装弾済み弾倉をカチッとロック音が聞こえるまで挿入する。コッキングハンドルを最後端まで引き、自動的に前進させる。防塵カバーを閉じる。

銃は装填済みかつ安全化されている!

13. 戦闘への準備
安全装置を掛ける。
装弾済み弾倉をカチッとロック音が聞こえるまで挿入する。
防塵カバーを閉じる。

※訳注釈:「13」は「12」と重複する内容が書かれている。

14. アンロード
安全装置を掛けた銃からマガジンボタンを押し込み、弾倉を取り外す。装填動作(コッキング)で薬室内の弾薬を排出する。その際、右手を弾倉挿入口の下に、右手親指を排莢口の上に置いて保持する。薬室内を目視し、銃身内が空であることを確認する。防塵カバーを閉じる。安全装置を解除し、引き金を引いて撃鉄(ハンマー)を解放して弛める。

銃は弾薬が装填されておらず、撃鉄は弛められている!

15. 単発と点射
セミオート(Einzelfeuer)の際は、切替ボタンがグリップ左側に突き出て「E」が見える位置。
フルオート(Feuerstöße)の際は、切替ボルトがグリップ右側に突き出て「D」が見える位置。
切替操作は右手の人さし指または親指で行う。


16. 分解・結合
事前にアンロードすること。

銃床をレシーバーに固定しているバネ式ピンを銃の右側へ動かしてロックを解除する。
銃床を後方へ引き抜く。その際、リコイルスプリングが飛び出さないよう確実に受け止めること。
リコイルスプリングをレシーバーから取り出す。
ボルトハンドルを持ってボルトキャリアを後方へ引き抜き、一緒に引き抜かれるボルトを受け止める。
撃針をボルトから外す。
撃針の先端でピンを押し出して、エジェクター、エジェクタースプリング、およびピンを外す。
分解用ピン(Lösedorn ※注釈:バットストック内部に収納されている分解工具)を用いてハンドガードを下方へ引き抜く。この時、分解用ピンの段付き部をハンドガード前部の穴に差し込む。ガス調整弁も分解用ピンを使って取り外す。

これ以上の分解整備は武器係のみが行う。

弾倉の分解は底板の固定板バネを外し、底板を前方へずらす。マガジンスプリングとフォロアーを取り出す。

組み立ては分解の逆の順序で行う。
ガスピストンとボルトキャリア一式の挿入については、銃口を斜め下にしてグリップ部を上に向ける姿勢で部品を入れること。この時、撃針が正しく装着されていることを確認する。




C. 清掃

射手が清掃する際には、前項に記された範囲での分解を前提とする。残留物や油分は布で除去し、固着した汚れは木べら等を用いて除去する。銃身内は「Reinigungsgerät 34(清掃具34)」で扱う(別規定 H Dv256 を参照)。
ガスシリンダーと連結部は、StG44用ガスシリンダーブラシ(バットストック内に収納される)と清掃チェーンを用いて清掃する。清掃後は部品をごく薄く油拭きし、ガスピストンは乾拭きする。
分解した弾倉の各部品を油布で拭き取り、仕上げの乾拭きをすること。



1944年6月3日、ベルリン

陸軍総司令部
開発・試験部(局)

代理:Kittel




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