■レシーバー その2
MP44は発射のガス圧を利用してガスピストンを作動させる方式。エジェクションポートからはボルト本体とボルトキャリアの一部が見える。フック状の爪を有したボルトキャリアは先端に細長いガスピストンが一体でつながっており、銃身内に設けられた穴から発射ガスの一部をピストン内に取り入れてボルトキャリアを後退させる。ティルトボルトと呼ばれるボルトのロッキング方式を採用しており、そのメカニズムは比較的シンプルな構造。
エジェクションポートには異物の侵入を防ぐダストカバーがあり、写真は閉じた状態。コッキングハンドルの操作や射撃によりボルトが後退すると自動的に開く。米軍が採用したM16ライフルはMP44のフルコピー、全く同じ構造のダストカバーを備えている。
レシーバーの左側に突き出たコッキングハンドル。ボルトキャリアー本体につながっているため、射撃の際には前後に激しく動く。MP40などと同様に左側にある理由は、引き金から指を離さずにコッキングができるようにするため。
レシーバー本体は薄いスチールのプレス部品であるが、銃身基部やボルトが収まる薬室回りには強度を確保するために削り出しで製作されたレシーバーブロックが埋め込まれている。エジェクションポートのフチをご覧いただくと2重になったフレームが確認できる。
マガジンハウジングの開口部は前後に広げられており、マガジンの装着は容易。マガジンリリースボタンも適正な位置にある。銃の作動には影響がないと思われるが装着したマガジンは「ガタガタ」と前後に大きく動く。
この写真でも開口部の奥にインナーフレームが確認できる。
マガジンハウジングの前面にはスポット溶接の跡が並ぶ。このあたりの仕上げを見ると1945年製という末期らしさが感じられる。
MP44の分解には先ずレシーバー後部にあるピンを引き抜き、ストックを後方へ抜き取る。
ストックが外れると、リコイルスプリングやボルト・ボルトキャリアーが取り出せる。
レシーバーとトリガーハウジングは1本のピンを支点に折り曲がる。このようにMP44は分解・整備が容易にできる設計となっている。