7.92×57mm弾 300発紙製弾薬箱 / Packhülse 88






7.92×57mm弾の15発入り紙箱を20箱(合計300発)収納できる紙製の弾薬箱。前線などで使われる弾薬箱ではなく、弾薬製造工場から各部隊へ配給されるあいだに使われる運搬用の箱。基本は再利用を前提としており使用後は回収する。各部隊への弾薬配給は、この300発入り弾薬箱を5箱収納した1500発入りの木箱を基本単位として行われる。厚さ約1mmのボール紙を使い接合部分はホッチキス止め。

「Packhülse 88」の独語名称にある数字は、1888年にドイツ帝国で採用された7.92×57㎜弾を使うGew88と共に採用されたことを示している。第二次大戦が終結するまでの57年間にわたり使われ続けた弾薬箱である。

箱サイズは 310×89×132mm。






箱上部にある布製のキャリングハンドルは弾薬箱両端のフタを固定するバンドを兼ねている。




布製バンドは2重構造となった箱の中を通して、ぐるりと一周する。








「Tragschlaufe」(※運搬用のひも)と書かれた文字や矢印マークには様々なバリエーションがある。




弾薬箱の天面には中身の弾薬を示すラベルが貼られる。2重に貼られたラベルから、この箱は再利用された可能性がある。




ラベル内容は中に収納される15発入り紙箱のラベルと一致する。写真のラベルは製造メーカー Metallwarenfabrik Treuenbritzen GmbH が1938年に製造した重尖頭弾であることを示す。




こちらは製造メーカー Westfälische Metallindustrie A.G. にて1937年に製造された重尖頭弾。




両端を閉じるフタには製造メーカーコード「P25」のラベルが貼られており、開封時にはラベルを破く必要がある。両側のラベルが破けていなければ未開封の可能性が高い。




この弾薬箱はラベルが片面のみに貼られており、もう一方にはラベルが無い仕様。また中央には製造メーカーが刻印されている。




刻印部のアップ。製造メーカーと思われる「kk」と製造年「1937」。




こちらには、製造メーカーを示すマークが刻印されている。






開封手順の紹介。
フタは2枚構造になっており、ラベルを破きつつ折込部分に差し込まれている1枚目を開ける。







フタを固定している布製バンドを金具から外し、解く。






15発入り紙箱は写真の向きに収まり、縦4ヶ×横5ヶの合計20箱(300発)が収納される。




鋭く尖った二本の爪を、布バンドに突き刺して固定する簡易な構造。金具には「PRIMA」の文字刻印。さらに装飾と思われる模様まで入っているのに注目。フタの内側に隠れる部分であるが紙製箱の金具にまでこのようなデザインを施すのは1939年というまだ余裕のあった時代を感じさせる。

またこの金具は「カイルホーゼ」と呼ばれる裾が細く絞られたクサビ形ズボンのサイズ調整ベルト部分にも使用されており、被服との共通品となっている。




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