■照準確認装置 / Zielspiegel






小銃射撃訓練の際に使用する照準確認装置。射手以外は見ることができない照準中の視野を、ガラスに反射させ横に立つ教官が確認できる。これにより教官はいち早く射手の癖を把握し、効率的な射撃訓練の実施が可能になる。ドイツ語表記は「Zielspiegel」で直訳はターゲット・ミラー。

紹介品は外箱に販売価格が表示されているため、官給品ではなく民生品を購入し訓練で使用していた可能性がある。照準確認装置はガラスの取り付け位置や銃装着部の形状が異なるバリエーションが複数あり、仕様は統一されていない。




照準確認装置を使った射撃訓練の様子。初期型Kar98kに装弾中の横で教官が照準確認装置を取り付けようとしている。写真の装置は紹介品とは異なり銃への装着部が金属板で挟むクリップ式になっている。1941年、フランス。






リアサイト後方に取り付けられた装置を見ながら、射撃中の照準を確認する。射撃台には15発入りの弾薬紙箱と真鍮製と思われる薬莢が転がっている。










製品が入る紙箱。ボール紙に黒のエンボス紙を貼った手間のかかる作り。箱サイズは43×47×59㎜。




パッケージに表記された内容。

照準制御装置 “デナリア”
(法律の保護をうける※)
大口径および小口径ライフル用の視線制御機能を備えている。

※本製品の意匠が法律によって保護されている、という意味




注文番号1
価格 2.50RM(ライヒスマルク)
この照準制御装置を使えば弾薬が節約できる。




この装置はレンズの位置を変えることなく、射手の左右どちらでも使用できる。










スチールプレス製の本体に2枚のガラスと装着用のバネが付いており構造は単純。金属表面は黒のツヤあり塗装。










照準線に対して45度の角度で配置された2枚のガラスがプレス製のフレームにはめ込んである。薄いスモークガラスになっておりコーティングやミラー処理は無い。1枚のレンズは射手の目線を、もう一方のレンズはリアサイト、フロントサイト、目標までを確認できる。






銃固定用のスプリングと接続金具。




製造メーカーと思われる「K.Denner B.-Baden」の刻印。




上面にあるドイツ帝国実用新案を示す「D.R.G.M.(Deutsches Reichs Gebrauchs Muster)」の刻印。
















リアサイト後方に載せ、スプリングで固定する。写真はガラス面が銃の左側だが、取り付け向きを反対にすれば右側にも対応する。




射手の視界。2枚のスモークガラス越しの照準となるため、目標はやや暗く見えるが、光量の多い野外使用では特に問題は生じない。




太陽光下の野外で撮影した教官の視界に近い写真。肉眼ではミラーの像がより鮮明に見える。左右のガラスに映る像は若干視野がズレるため、照準線と射手の目線を同時に真正面から見ることはできない。ガラスはミラー面ではないので、光量が弱い室内、射撃目標が暗い、射手に光が当たっていないなどの条件では見えずらくなり、光量や光の当たり方で左右される。






掲載写真は光の条件が良い状態での見え方。厚みがあるガラスの表面と裏面の2か所で反射するため像が2重となる欠点はあるものの、それなりに見える。




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