■銃剣本体
全長386㎜、重量は428g。銃剣84/98は約15年の長期にわたり大量生産されているが基本形状は変化がない。
刀身の長さは約252mm、高さ25mm、幅5mmで黒染め仕上げ。片側のみ薄く仕上げられており一見すると鋭い刃が加工されているようにも見えるが「刃」は無く、先端部は僅かながら厚みがある。刃物といえば「切る」イメージだが、この銃剣は「切る」という機能を有していない。
突き刺した銃剣を引き抜き易くするための血抜きの溝が両側面に加工されており、これは軽量化の役割も果たしている。
刃付け加工が施されていない刀身のクローズアップ。片側の薄く仕上げられた先端部は0.6㎜ほどあり、モノが切れそうな気配は全くない。この刀身部を兵士が磨いたり削ったりすることは禁止されていた。
先端部は上下共に薄く仕上げられ、先端部も鋭利に尖っている。刃のないこの銃剣は「突き刺す」事が目的であることが分かる。
刀身表面には所々に細かい凹凸が確認できる。これは両サイドの同じ箇所に同じような大きさで確認できるため、腐食によるものではなく、製造工程で発生した「す(巣)」のようなものと思われる。
各部の刻印を見る。刀身の上部に打たれた数字は製造年を示す。「40」は1940年製。
「Coppel G.m.b.H.」はゾーリンゲンにあった製造メーカーの一つ。
製造メーカー刻印の反対面には「78 f」の製造番号が打たれている。製造番号は1~9999、1a~9999a、1b~9999b、c、d、e...と続き、年が変わるとまた1へと戻る。本銃剣は1940年の60,078本目に製造されたことが分かる。
グリップ後部にある「WaA253」は Coppel G.m.b.H. を示す。同一箇所に複数のバッフェンアムトが打たれている場合、検査項目が複数あり、それぞれに合格していることを示す。
グリップの上面にも「WaA253」の刻印。写真下が刀身側でこの写真はグリップを外した状態。
グリップと刃を隔てる鍔(つば)は7mmと厚みがあり、2本のピンで本体に固定されている。着剣時、鍔の上部(写真では左側)は銃口下面と接する。
本項で紹介している銃剣は日本の法律に従って、刀身がカットされています。そのため本コンテンツの作成にあたり、刀身全体が写っている写真は撮影方法を工夫し、カットされた前後の刀身を画像処理によってつなげて掲載しています。