■レシーバー









1898年にドイツ軍で正式採用されたボルトアクション小銃・Gew98の機構をベースに開発されたKar98kのレシーバーは鍛造ブロックから85の機械加工工程を経て完成に至る。頑丈で高い信頼性、射手への安全性、洗練されたデザインなど、優れたレシーバーがドイツ陸軍歩兵火力の根幹を支えた。ボルトを起こす動作と同時にファイアリングピンをコッキングする構造を持ち、ボルトオープン後、5発一組となったクリップを使うことで素早く再装填することができる。

大戦末期生産型までレシーバーの基本構造は変わらず、生産性よりも性能の維持を優先。表面仕上げなどの性能には関係ない部分のみ簡略化が実施された。




薬室上面には製造年を示す「41」、製造メーカーコード「ax」はエルマ社を表している。 1941年にエルマ社で生産されたKar98kは約9万3千挺。本銃のシリアル番号「5442d」は41年になって45,442挺目に生産されたことを示すので、41年でも中頃の生産品と推測できる。

レシーバー左側には多くの刻印が並ぶ。国家鷲章と「5442d」のシリアル番号、「mod.98」銃のモデル名、280の数字が入った兵器局の鷲章(バッフェンアムト刻印)が縦に3つ打たれている。このバッフェンアムトはリアサイトの右下にも2か所、薬室の右側にも3つが並んでいる。シリアル番号上方の刻印は無可動銃として加工されたことを示すイギリスの承認印であり、オリジナルの刻印ではない。








マガジンベースのプレートは取り外すことができ、ボルトを操作せずに内部に5発収納される弾薬を安全に取り出せる。ここにも2か所にシリアルナンバーとバッフェンアムト刻印がある。




赤矢印の円形ボタンを押し込みながら、マガジンベースプレートを後方へ数ミリ動かすと簡単に外せる。ボタンの押し込みには34型クリーニングキットに付属する専用工具か、応急の場合は弾薬の弾頭部分などでも対応可。
















マガジンベースプレートを外す。プレート、マガジンフォロアー、板バネで構成。










マガジンフォロアーの上面には「78」の数字(銃本体の製造番号の下2桁?)と製造メーカー J P Sauer & Sohn を示す「37」のバッフェンアムト。







フライス加工の跡が残るマガジンベースの内側にも2か所に刻印がある。







板バネには上下の2か所に Mauser Werke AG,Oberndorf または Waffen Werke Brunn AG を示す「WaA63」のバッフェンアムトが打たれている。






上下のレシーバーを固定するネジは、小さなネジを嵌合させる構造により緩みを防止する。この方法はMP38/40のレシーバーとグリップの接合箇所にも見ることができる。マイナスネジの頭にまで製造年?と思われる「41」の刻印が入っている。




トリガーガード後部のネジも2重ネジにより緩み防止する。




上下のレシーバーはストックを挟んで2本のネジで結合される。



















一体の削り出しで製作されたマガジンハウジングとトリガーガード。1943年からは生産性が向上したプレス製が登場し、末期生産型はほぼプレス製に切り替わる。































木製ストックを取り外したレシーバーは各部のデザインもシンプルで洗練されている。掲載写真は1942年にBLM(Die BerlinLubecker Maschinenfabriken)で製造されたレシーバー。




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