■木製ストック ラミネート材(積層) その1







木製ストックに適した高品質なウォールナット材を輸入に頼っていたドイツでは、大量かつ安定した入手ルートが確保できず、1937年には供給が不足。寒冷地での強度低下などの問題もありブナやカエデなどの代用素材を研究したが「そり」が多く小銃の命中率に悪影響を与えた。

その後、様々な素材をテストした結果、ドイツ国内でも大量に入手可能で供給に問題の無いブナ材を使用し、薄く切りだしたブナ材を接着剤(フェノール樹脂)で貼り合わせ重ねたラミネート材(積層材)を採用することに決定。ストックの材料変更は1937年10月のマウザー・オーベルンドルフ工場の生産品を皮切りに、各生産工場にて順次実施された。

ラミネート材は重量が300g弱重くなる反面、強度が増し、湿気や気温による変形やそりの発生が抑えられる他に、木材原料の節約にもつながる。またウォールナットの単材に比べ、薄板であるラミネート材は乾燥時間が短く、生産効率が向上した。














ラミネート材とウォールナット単材の比較。大きさや形状はウォールナット材と全く同じだが、ウォールナット材の方が明らかに軽い。計量すると、ウォールナット材は1,247g、ラミネート材は1,526g。その差279gはかなり大きく、銃を持った時に軽さが実感できる。

ラミネート材は単材とは異なる独特の模様が美しい。このためラミネート材は外観から容易に識別ができる。この模様は木目のように見えるが、実際には層になった赤茶の接着剤がそのように見えているだけなので木目ではない。








リアサイトが載る位置に刻印と鉛筆書き?で製造番号「7713」が2つ記されている。ウォールナット単材では同じ位置に製造時期を示す刻印があったが、本個体は無し。製造時期を示す刻印は途中からバットストック後部に(バットプレートを取り外す必要あり)変更されるが、本個体はそこにも刻印が無く、製造時期は不明。

ラミネート材の薄板の厚みは実測で1.6~1.7mm。






クリーニングロッド受け金具の横に「Kr」の刻印。これは木材の提供メーカーまたは製造メーカーを示している可能性がある。




ストック先端金具にはJPザウアー&ゾーンを示す「37」のバッフェンアムトと製造番号の下2桁「13」。








クロスボルト左側には「37」のバッフェンアムト。






バットストック右側の不鮮明な刻印。ドイツ陸軍の「H」と「WaA37」のバッフェンアムト、写真右は一回り小さなバッフェンアムトのようだが文字は読めない。






撃針分解用ディスク、「37」のバッフェンアムト。




バットストック下部に製造番号「7713」。






削り出しのバットプレートはウォールナット単材と共用部品。「7713」の番号が線で消され、「83709」の新たな番号が打たれている。その数字の少し下に小さな「37」のバッフェンアムト。








ラミネート材のハンドガード。内側に刻印と鉛筆?の「7713」の製造番号。



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