■MG34への装着 その1


MG34に使えるサドルマガジンは唯一PT-34だけとなるが、DT-15も簡単な小細工で装着ができる。

その方法はマガジンリリース金具をDT-15から取り外すだけ。この場合、強力なマガジンスプリングのテンションは変わらないので円滑な射撃を行うには装弾数を半分程度に減らす必要があるものの、取り付け・射撃は行える。またPT-34は現存数が極端に少なく高額であることから、現存しているサドルマガジン付きMG34の多くには金具を外したDT-15がついている。似ている外観に加え、このような理由もありDT-15とPT-34は混同しやすいので注意が必要。








マガジンリリース金具の比較。写真左がDT-15、写真右がPT-34用。




DT-15用金具の上面に打たれた空軍承認マーク。




PT-34用金具の上面には Berlin-Suhler Waffenwerke / BSW と思われる製造メーカーコード「4」を示すバッフェンアムトが打たれている。







最も異なる部分が金具前方の高さ。DT-15は高さが長い分、MG34のレシーバーと干渉しマガジンが装着できない。金具は簡単に取り外しが可能で、外してしまえばDT-15が装着できる。この金具はマガジンの取り外しを補助する部品なので、金具が無くとも大きな問題にはならない。




MG34にDT-15を装着した際に見られる上部にマガジンリリース金具が無い状態。金具が無いサドルマガジンがMG34に付いている場合、DT-15である確率が非常に高い。







サドルマガジン装着に必須となる専用フィードカバー(Trommelhalter)。MG34の製造番号1~300挺まではこの専用フィードカバーが無く通常型フィードカバーのみが付属、301~2,300挺目まではここで紹介しているものとは形状の異なる初期型タイプ(防塵カバーなどが無い)が付属。2,301挺目以降はここで紹介しているタイプとなる。このフィードカバーは専用の革製ポーチに収納して携帯し、必要に応じて通常型フィードカバーと交換して使用する。




専用フィードカバーの生産数は不明であるが、現存するシリアル番号から25,000ヶ程度との推測がある。第二次大戦前に生産されたこのカバーはMG34関連アクセサリーの中でも極めて入手困難なコレクターズアイテムとなっていた。しかし近年になって、ウクライナにあったロシア軍保管庫から大量発見(一説には約700ヶとも)され、市場価格は下落した。

ここで紹介しているフィードカバーもこの時に発見されたうちの一つ。各部に使った形跡がなく未使用品と思われる。




サドルマガジン使用時にはベルト給弾用フィードカバーとフィードトレイを取り外す。










ベルト給弾機構を内部に備えた通常型に比べて構造もシンプル。一部の部品を除きスチールの削り出しで製作。各部のエッジもシャープで高品質、スチールの素材も硬質な印象を受ける。






サドルマガジン差し込み口に設けられた観音開き式の防塵カバー。内側のスプリングで閉じ位置を保つ。




マガジンリリースボタン。装着されたマガジンを外すには、ボタンを後方へスライドさせる。





フィードカバーのリリースラッチ。開け・閉じどちらの場合も写真左側へスライドさせる。




ウクライナで大量発見されたフィードカバーの共通点が傷で消されたバッフェンアムトの刻印。ドイツ軍から鹵獲したソビエト軍の仕業と思われるが、なかなか丁寧かつしっかりと刻印が消されていることには感心する。生真面目で器用なソビエト兵がこの作業を任されたのであろうか。コレクター側からすると、希少な未使用品でありながら唯一悔やまれるこの刻印。現在市場にある多くはこの刻印が消された仕様であり、刻印ありのカバーは稀な存在と思われる。

その下には「7262 a」のシリアル番号。17262個目の製造を示す。




防塵カバーの両方にシリアル番号の下二桁「62」の刻印。




マガジンリリースボタンには4の数字が打たれたバッフェンアムトがあり、おそらく製造年代から Berlin-Suhler Waffenwerke / BSW と思われる。その下には手打ちのシリアル番号「62」の数字。




後部のリリースラッチ部。ネジの頭に4のバッフェンアムト、本体と一致する「62」のシリアル番号、一番下に数字部分が不鮮明のバッフェンアムトが打たれている。

 

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