■ベークライト製 Dienstglas 6×30 その1
第二次大戦後半から製造されたベークライト製の筐体を持つDienstglas 6×30。具体的な生産開始時期は不明ながら1944年以降。ベークライトに変更した理由は「金属資源の節約や欠乏による材料変更」のようだが、金属部品を樹脂製に置き換えるという単純な仕様変更ではなく、内部構造は大きく再設計されており、開発にはそれなりの時間と労力がつぎ込まれていると思われる。金属製筐体のDienstglas 6×30は19社で製造されたが、ベークライト製はエミール・ブッシュ(Emil Busch A-G)1社のみ。
第二次大戦中に生産されたDienstglas 6×30の代表的な3種類。戦前から生産されているマグネシウム合金製筐体を持つ最も一般的なタイプ(写真右)は重量372gと非常に軽い。大戦中盤から生産された亜鉛合金製筐体(写真中央)はすべり止め加工が省略されており最も重い654g。ベークライト製筐体(写真左)の重量は525g。全体のサイズは幅で3mm、高さで4mm程度ベークライト製が大きい。
対物レンズリングや中央軸の固定金具はスチール製、接眼レンズ鏡胴が差し込まれる筒はアルミ製で共にダークイエロー(RAL7028)の塗装仕上げ。これ以外はネジを除きベークライト製。