■ベークライト製 Dienstglas 6×30 その2


右接眼レンズ横、「Dienstglas 6×30」の文字がモールドされている。




左接眼レンズ横。エミール・ブッシュの製造メーカーコード「cxn」のモールド。




対物レンズ側の軸金具には「422111」の製造番号が打たれている。この双眼鏡で確認できる製造番号はここだけ。ベークライト製の現存する製造番号をざっと調べると382234〜425676の範囲が確認できる。ここから本個体は大戦末期となる1945年製の可能性があり、製造番号が連番となっているのであれば生産数は約5万台と推測できる。




接眼レンズ側には「△」の刻印。-40度から+50度までの温度に対応したグリスの使用を表す記号で、1943年以降から使用されている。通常、この三角形刻印の線は青で着色される。






対物レンズ径は30mm。金属製筐体と同様にレンズ枠が偏芯しており、取り付け時に枠を回転させることで光軸を調整できる。写真の左対物レンズはかなり偏った位置で固定されている。




接眼レンズ径は12mmで金属製筐体と同じ。レンズ周囲は反射防止で黒に着色(塗装?)されている。長時間の使用でも目が疲れず覗きやすい。








金属製筐体では複数の部品に分かれていた目当てとピント調整部品はベークライト製の一体型に変更され簡素化。ピント調整用の目盛りが±5の範囲・1目盛り刻みで記されている。




ピント調整部に回転止めがないので、接眼レンズ鏡胴がそのまま外れてしまう(金属製筐体は外れない)。割り切った設計となっているが、外れる位置まで回転させることは無いため特に不便さは感じない。






左右をつなぐ接合部。一般的な同型双眼鏡にある中心軸を貫く棒が無い。






指が掛かる上部にすべり止めの溝が設けられているため、双眼鏡の保持感は良好。








金属製筐体では左右に1個ずつ設けられていたストラップ通しは強度確保のため片側2個ずつに増加。



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