■Dienstglas 6×30 その3



■カールツァイス製 第二次大戦前生産品





第二次大戦前(1930年代中頃?)にカールツァイスで生産されたDienstglas 6×30。こちらも重量は373gと軽量。




製造番号「1838418」、「H/6400」はレティクル表示の単位がミルになっている事を示す刻印だが、この双眼鏡にはレティクルレンズが無い。軍用のDienstglasでありながら製造時からレティクルが無い仕様が存在する、戦後民間へ売却された際に転売業者が不要なレティクルレンズを取り除いた、などいくつかの説があるようだ。




ドイツ光学機器メーカの頂点を行くカールツァイスイエナのロゴ。このロゴがあるだけで高性能な気がするが実際にこの双眼鏡は他のDienstglasと比べ、より精細な像を提供する。1930年代製造品のため、3文字の製造メーカーコードではなくロゴマークがしっかりと刻印されている。




中心軸の対物レンズ側に打たれた旧デザインのバッフェンアムト。「WaA202」はカールツァイスを示す。




筐体の滑り止めは簡易な塗装ではなくグッタペルカ(天然樹脂)から作られたシートを貼り付けてある。ツヤあり黒塗装仕上げの金属部も含め全体的に丁寧な作り。




生産途中で省略されてしまう目幅調整目盛りが刻まれている。




接眼レンズの調整用指標も白塗り仕上げ。




■カールツァイス製 第二次大戦前半生産品












第二次大戦の前期にカールツァイスで生産されたDienstglas 6×30。各部は戦前生産品と同じ仕様になっており、仕上げの簡略化は見られない。重量は383g




左プリズムカバーの刻印。カールツァイスのメーカーロゴ表記が廃止され3文字アルファベットによる製造メーカーコード「blc」で表記されている。「KF」は1940年中盤から1942年前半にかけて使用された寒冷地対応グリスを示す記号。




右プリズムカバーには「Dienstglas 6×30」、製造番号「2151533」、「H/6400」が並ぶ。




筐体表面の滑り止めはグッタペルカ貼り付け。







目幅調整やピント調整リングの各目盛りも大戦前生産型と同じ、また対物レンズ奥の遮光筒も装備されている。






レティクルのレイアウトは同じだが、10・20・30・40の数字が左右に表示されている点が他のDienstglas 6×30と異なる。




■Srb & Stys Fabrik Praziser Messinstrumente製
第二次大戦中期生産品








製造番号「121554」、製造メーカー Srb & Stys Fabrik Praziser Messinstrumente, Prague を示すコード「bmk」、1942年末頃から採用されたグリスの使用を示す記号「+」。さらに1943年末から使用されている青い「△」のグリス記号が並んでいる。ここから本個体は1942年末から43年にかけて生産、44年以降のメーカー再整備で△のグリスが使用され記号刻印が追加されたものと推測できる。

カールツァイス製と比べ、僅かだが部品精度が低く(プリズムの固定精度などに遊びがある)、像のコントラストも低いような印象を受ける。重量は377g。




筐体の滑り止めは粗い塗装仕上げ。




接眼レンズの調整指標は白塗りされているがプラスとマイナスだけのシンプルな表示になっている。


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