■Dienstglas 10×50 その1








当時の手持ち双眼鏡としては高倍率となる10倍の倍率を持ち、対空監視任務や対空射撃、射撃距離の長い砲兵観測用として使用されたDienstglas 10×50。1929年からカールツァイスで生産されているDekaris 10×50が原型となっている。主な製造メーカーは下記の6社。

Carl Zeiss, Jena (blc,rln)
Hensoldt & Sohne Optische Werke A-G, Wetzlar (bmj)
Emil Busch A-G, Optische Industrie, Rathenow (cxn)
Voigtlander & Sohne A-G, Braunschweig (ddx)
Ernst Leitz GmbH, Wetzlar (beh)
Srb & Stys Fabrik Praziser Messinstrumente, Prague (bmk)













基本構造はDienstglas 6×30に近いため同じ要領で分解することができる。本個体も部品精度が高いため、分解・再組み立てによる光軸ズレは生じなかった。



















全長168㎜、幅199㎜(目幅65㎜)、重量904g。同様のスペックを持った全金属製双眼鏡としては軽量な仕上がり。Dienstglas 6×30も含め、この時代の独軍双眼鏡は「軽さ」に大きな利点がある。

倍率 : 10倍
対物レンズ有効径 : 50㎜
ひとみ径 : 5㎜
1000m視界 : 128m ※目当てを取り外した状態
実視界 : 7.3度
見掛視界 : 65.2度
重量 : 904g




プリズムカバーの刻印。機材名称「Dienstglas 10×50」、製造番号「2235627」、カールツァイスイエナを示す製造メーカーコード「blc」、1942年末から1943年末にかけて使用されていたグリスを示す記号が薄い水色の「+」で表示されている。










Dienstglas 6×30よりもかなり大型化しており大人と子供くらいのサイズ比がある。圧倒的な軽さで使いやすいDienstglas 6×30であるが6倍の倍率は遠方監視には不十分だったようで、高級将校や戦車兵もDienstglas 10×50を使用している場面が確認できる。


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