■ドライバイン34 初期型 その3
銃架の差し込み支柱と3本の脚が接続される3脚基部。
レストアのため塗膜を剥がした基部。金属の塊だがマグネシウム合金のため軽量に仕上がっており、大きな劣化や腐食は見られない。マグネシウム合金はドイツ・フランクフルトにある「Fabrik Griesheim-Elektron」という会社が1908年にエレクトロンという名称で実用化、航空機や精密機器の分野で幅広く使用された。ドイツ軍におけるマグネシウム合金の使用状況については不明ながら、双眼鏡筐体(6×30、10×50など)、光学機器用3脚や架台などで使用されており軽量化が必要な軍用機材にマグネシウム合金を使用することは珍しい事ではないようだ。
一部の情報には初期型ドライバイン34の素材が亜鉛合金や亜鉛ダイキャストという記述がみられるが、これは誤りと思われる。
基部中央に打たれた刻印。写真は文字が大きく見えるよう横向きだが実際には縦となる。両端の「0」は不明、「S64」は製造メーカーG.Appleを示すコード番号。このコード番号はドイツ陸軍兵器局が1938年から1939年にかけて割り当てした、との情報がある。他の刻印から得られる情報をまとめると本個体は1938年生産品のようだ。「4217a」は製造番号のようで独軍小火器の製造番号と同じルールで打刻されているのであれば1938年になって14,217個目の生産品を表す。3つ並んだ「WaA452」のバッフェンアムトはどのメーカーを示すか不明。
基部中央の別の面に打たれた刻印。こちらも両端に「0」があり、「3335」の数字。
底面にも4か所の刻印。G.Appelのメーカーロゴ以外は何を示すか不明。
銃架を装着するスチール削り出しの支柱。軽車輌にMG34を搭載する場合の基部やラフェッテの対空射撃用支柱の差し込み部と同一の形状。
支柱基部、側面の突起を押し込むとロックが外れ、上に支柱を引き出せる。高さの調整範囲は下か上の2段階のみ。上位置では11.2cm高くなる。
スチール製の支柱。基部に上から差し込み、底部のフタをピン留めすると抜けなくなる。基部の中央は黒染めや塗装された痕跡が無かったので、これに倣って白磨きで再仕上。
各部の刻印。基部側に固定された支柱受けの側面。「G.Appel」のメーカーロゴと「WaA452」のバッフェンアムト。
支柱側面。「G.Appel」のメーカーロゴと「WaA325」のバッフェンアムトは旧デザイン。「325」は1936年だけに使用されたG.Appelを示すコード番号なので支柱の製造年も1936年となる。