■MG34・MG42の搭載
マニュアルに掲載されたMG34の装着場面。MG34・MG42共に装着の構造はシンプルかつ簡単。
銃架(Aufsatz)とU字型の接続金具(Lager34)を使いMG34を搭載する。
接続金具(Lager34)を取り付けた銃架(Aufsatz)をドライバインの支柱に装着。
MG34の接続金具取り付け場所は前後2か所あるが、対空射撃時は銃口側(写真では2脚が付いている)ではなく後部を使う。MG34の重心に近い位置にあり、微妙な重量バランスの変化によってMG34の角度も変化する。写真は弾薬無しの状態。やや銃口側が重く、下を向く。バレルジャケットと銃架が干渉するため、これよりも俯角側には下がらない。
2脚を折り畳むと銃口側が水平よりもやや上を向く。
2脚を開き、対空射撃用フロントサイト、50連弾薬入りのドラムマガジン、スリングを装着し実際の射撃場面に即した状態。対空射撃に適した角度で保持される。
こちらも2脚を折り畳むとさらに上を向く。ドライバイン34に載ったMG34は左右旋回、上下の角度調整共に軽い力でスムーズに動き、操作性は良好。
MG42の場合はMG42専用となるT字型の接続金具(Lager42)を使用する。
MG42も接続金具の取り付け位置が前後2か所に設けられており、対空射撃時は後ろ側を使う。ドライバイン34に装着すると銃口が真上を向き、MG34のようにバランスの取れた角度では保持されない。またMG34とは異なり、2脚は銃架と干渉するため収納した状態にはできない。
ドライバイン34にMG42を載せたドイツ軍公式と思われる写真。1942年製造、製造メーカーコード「cra」で製造番号が若い初期生産品でありながら改良型コッキングハンドルを有しているなど興味深い点もあるが、ここでの注目は公式写真でありながら銃架を前後反対に取り付けている点。MG42を写真映えする角度に固定するためと思われるが、当然この向きで使用する事は無く、誤った例が示されている。
■実際の運用
空砲弾を使用した対空射撃の演習。3脚本体はかなり使い込まれているようで塗装の多くが剥がれている。ドライバン34は重心位置が高く、7.92×57㎜マウザー弾は反動が大きいため、射撃時は3脚が揺れて命中率が低下する。これを防ぐため3脚の揺れを抑える兵士を配置している場面が多い。写真でも3脚を手で押さえる兵が確認できる。1939年。
ドライバイン34を兵士が運搬している写真は少ない。運搬用スリングを使用せず、銃架の支柱を持って担いでいる。1939年9月6日、ポーランド、コロノヴォ近郊。
ドライバイン34は適度な高さでMGを保持し、各脚の独立した角度や高さ調整ができるため軽車輌にMGを装備する際の応急的なマウントとしても多用された。1940年5月、ベルギー。
エッフェル塔の横に車を止める高射部隊の兵士。初期型MG34がドライバイン34に載っており、移動時に銃がガタガタと動かぬようバットストックと脚をバンドで巻いて固定している。1940年6月18日、フランス。
ボンネットに対空識別用のハーケンクロイツ、ドライバイン34に対空射撃仕様のMG34を載せた車輌。1941年6〜7月、ソビエト連邦。
対空射撃用照準器を付けたMG34をドライバイン34に載せ空襲に備える。対空射撃時の給弾不良を防止する50連ドラムマガジンを使用し、3脚の脚に提げられた予備のドラムマガジンは射撃の反動を多少でも抑制する。1941年8月、ソビエト連邦、ウクライナ。
草で擬装されたドライバイン34。1941年10月、北コーカサス。
対空射撃の準備が整ったMG34は給弾手の補助なしで円滑な射撃が行えるよう50連ベルトリンクが1本のみ装填(2本以上は給弾手の補助がないと給弾不良を引き起こす)されており、ドライバイン34には弾薬箱、ガスマスクケース、予備銃身ケースなどがぶら下がっている。1942年7月5日。
ドライバイン34は支柱位置が高くなっており、脚のフックには50連ドラムマガジンコンテナが掛けられている。MG34のスリングはグリップ側が外されており、こうすると銃の取り回し易さが向上する。1942年8月、ベルギー、ブランケンベルヘ。大西洋の壁。
大型の対空射撃用照準器が付いたMG34が載るドライバイン34。ここまでに掲載した写真はいずれも2脚が開いた状態は無く、2脚は閉じるのが基本のようだ。1942年8月、ベルギー、ブランケンベルヘ。大西洋の壁。
ブドウ畑で対空射撃用のMG42を載せたドライバイン34。背の高い植物が点在する場所においては水平射撃用途としてもドライバイン34は有効に機能する。MG42は写真のような角度で固定できないため、撮影時の見栄えを良くする演出として手を加えているようだ。1943年7月、イタリア、シチリア。
広大なアスパラガス畑の中に配置されたドライバイン34とMG42。2脚は銃架と干渉するため折り畳み位置にはできず、銃から外されている例も多い。1944年6月、フランス。
ドライバイン34を使った水平射撃を示す教育用スライドの写真。この3脚は脚の角度調整範囲が広いため低い姿勢の銃架としても活用できる。射撃の反動対策として兵士が3脚を押さえている。1944年以降。