■電話機本体 その3





電話機中央部にベークライト製のベース板があり、ここに各種ソケットや端子が設けられている。

電話機本体をベークライト製ケースから取り外す際には赤丸で囲まれた2つのマイナスネジを緩める。一般的にドイツ軍の場合、「赤枠で囲われたネジ」は分解する際に緩める必要があるネジを指している。




1.FF33付属の受話器または胸マイク(Brustmikrofon 33)接続用の5極ソケット
2.Lb/Eは電話線またはアース線用の端子、Laは電話線用端子
3.ヘッドフォン(Kopffernhörer 33)接続用の2極ソケット
4.テストボタン
5.発電機用クランクハンドルの収納場所
6.分解用ネジ




電話線を接続する2つの端子。他の野戦電話と接続する場合、Lb/EとLaのそれぞれの端子に電話線を接続(2本の電話線が必要)する、またはLb/Eにはアース線、Laに電話線の接続(電話線は1本あればOK)も可。

【アースについて】
通信は戦闘の行方を決定づける可能性があり、通信機器を運用する兵士には安全で高品質な通信を維持する事が求められた。FF33はアース無しでも作動する信頼性を持っていたが、それでも通信品質の向上を図るためアースの設置が勧められた。

戦場では多くの場合、その場しのぎでアースを設置するためワイヤーを巻き付けた銃剣を地面に刺してアースとしていた(本来はNG行為)。アースに使うワイヤーは電気伝導率の高い銅・青銅製とされ、伝導率の低い鉄製ワイヤーの使用は禁止されていた。アースを刺す地面は乾燥していると伝導率が低下するため、できるだけ水分を多く含む地面を探す。乾燥地しか無い場合、水を撒く(水が確保できない場合は尿を使う)ことで伝導率を高めるなど工夫が求められた。

また革製ケースに入れて携帯できる専用のアース棒(Erdstecker)も配備されていた。専用アース棒はヘッドが空いた中空構造で周囲に複数の穴が開いているため、刺したアース棒の中に水を注ぐと穴から周囲へまんべんなく水が流れ、アース性能の向上が図られる。







白い突起はテストボタン(Prüftaste)。発電機とベルの作動回路をチェックすることができる。具体的な方法は非常に簡単。

1.発電用のクランクハンドルを取り付ける
2.Lb/EとLaの端子をワイヤーでつなぐ
3.テストボタンを押しながらクランクハンドルを回す ※端子との感電に注意!
4.発電機・回路に問題がなければ内部の呼び出しベルが鳴る

なお、このチェックでは受話器を含む音声送受回路の状態は確認できない。乾電池の接続により別途行う。







クランクハンドルはこのように収納される。


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