■作動機構 その3




左右へ動くシアー(B8a)に合わせ、ガスピストン底面に加工されたシアーの突起が掛かる開口部も独自の工夫が施されている。








ガスピストンの底面を見る。

①・・・フルオート射撃時にシアーが掛かる開口部
②・・・セミオート射撃時にシアーが掛かる開口部
③・・・ボルト前進位置でシアーとボルトの接触を防ぐスリット
④・・・レシーバーに設けられたボルトストップの突起が掛かる開口部

セミオート用とフルオート用でシアー突起が掛かる穴が2か所に加工され、①は右寄りに、②は左寄りに加工されている。

シアー突起が左へセットされるセミオート射撃の場合、左側に加工された開口部②のみシアー突起が掛かり、右側に加工されたフルオート用開口部①にシアー突起は掛からない。

シアー突起が右へセットされるフルオート射撃の場合、右側のフルオート用開口部①のみシアー突起が掛かる。

この設計により、少ない部品点数でクローズド/オープンボルトという異なる射撃機構の両立を実現している。




■射撃サイクル(セミオート)


ボルトとガスピストンの位置関係を見る。写真はガスピストン・ボルトともに前進した状態。セレクターはEのセミオート射撃位置。




コッキングハンドルを引き初弾を装填した状態。ボルトはマガジン最上段の弾薬を薬室へ押し込み閉鎖が完了するが、ガスピストンはセミオート射撃用のシアーが掛かり閉鎖位置から15㎜手前で止まる。これに伴いファイアリングピンスプリングも圧縮されている。


射撃準備が完了した状態を示すイラスト。ボルト(黄色)は閉鎖位置、ガスピストン(水色)とファイアリングピン(赤色)は15㎜後方にある。

トリガーを引くとシアー突起が下がり、ガスピストンはスプリングの圧力で前進。ガスピストンと一体となったファイアリングピンも前進して雷管を叩く。ガスピストン本体が射撃直前に動くものの、移動量が少ないため銃本体の振動は最小限に抑えられる。

弾丸が銃身内のガス導入孔を通過すると、ここからガスシリンダーへ高圧ガスが流入。ガスピストンが後退するとボルトが回転し閉鎖を解除。ボルトはガスピストンと共に後退し薬莢の引き抜き、排莢を行う。後退したガスピストン/ボルトは再び前進しマガジンから弾薬を押し出して薬室への装填・閉鎖が完了する。一連の動作中、トリガーは引かれた状態にあるがディスコネクター(B9)が作動することで、トリガーとシアーのリンクは遮断され、ガスピストンは閉鎖位置の15㎜手前で再びシアーに保持される。






射撃準備が整うとコッキングハンドルも15㎜後退した位置で保持される。




■射撃サイクル(フルオート)


セレクターをフルオート射撃のDに切り替え、コッキングハンドルを引く。












コッキングハンドルを引くとガスピストンはフルオート射撃用シアーに掛かり、ボルトと共に後退位置で保持、射撃準備が完了する。




オープンボルトから射撃がスタートするフルオート射撃。トリガーを引くとシアーが下がりガスピストン/ボルトはスプリングの力で前進。マガジン最上段の弾薬を薬室へ押し込み完全閉鎖と同時にファイアリングピンが雷管を叩く。以後は、ガス圧によるガスピストンの後退、ボルトの閉鎖解除、ガスピストン/ボルトの後退、排莢、という動作をトリガーが引かれている間は繰り返し、トリガーを戻すとボルトは後退位置で止まる。



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