■銃口 / バン・システム











G.41の特徴的な「バン・システム」と呼ばれる作動機構が収まった銃身の前部。バン・システムの採用にあたりオリジナルの機構から一部改良が施されているようであるが、具体的な改良点がどこなのかは不明。銃身の先端部のみが太くなっている独特の外観を持ち、ワルサーとマウザー両社の銃口部デザインが似ているのは偶然ではないと思われる。陸軍兵器局の指示のもとこの機構を採用したG.41であるが、この選択が戦場での信頼性低下につながった。









木製ストックやハンドガードを外すと、細い銃身の先端部だけが太くなっている独特の形状がよくわかる。この写真を見ると銃口部がかなりフロントヘビーで重い印象を受けるが、実際の重量増は200グラムほど。大きな欠点というほどの重さは感じないが、長時間の保持には悪影響がありそうだ。







銃口部の構成。銃身、フロントサイトと一体になった銃身の外側を包むスリーブ、リング状のピストン、銃口先端を覆うマズル・コーンの4部品。













銃身の途中に設けられた6つの突起にスリーブが勘合する。スリーブの取り外しはスムーズであるが、取り付け時にはガタツキが一切なく高い加工精度が実感できる。銃身先端のネジ切部にはマズル・コーンを装着する。









ピストン部品とマズル・コーン。銃口先端にねじ込むマズル・コーンは発射時の高圧ガスを受けてピストン側へガスを流す役割を果たす。フロントサイト下に設けたバネ入りピンとマズル・コーン基部の凹が勘合することで緩みを防止する。




マズル・コーンの後部には2か所にガス穴(赤矢印)が加工されており、発射ガスの一部はこの穴を通ってピストン側へ流入する。










銃身にピストンを装着したところ。銃身外径16.4㎜に対してピストン内径は16.5㎜。0.1㎜のクリアランスをもってスムーズに動く。ピストンの可動範囲は3.6cm。








スリーブ。真円に加工されており、銃身とスリーブで作られた空間に発射ガスが流れ込むことでピストンを作動させる。放射状に開けられた6つの穴はピストン作動後のガス抜き。ピストン外径22.8㎜に対してスリーブ内径は22.95㎜となり、お互いのクリアランスは0.15㎜となる。




マズル・コーンを外した銃口部(無可動銃のため銃身は埋まっています)。2重構造となった空間が確認できる。




さらに本銃では欠損しているが、このマニュアルにあるように銃口部のピストンとボルトキャリアを連動させるための細長いプレート状の部品(図中 a15 以下、ロッドと表記する)が銃身上部に装着される。このロッドはボルトキャリアによって常に銃口側へ押された状態にあり、ピストンもロッドに押されて銃口側に位置する。




銃身上部(a1)に装着されている部品がボルトキャリアにつながるロッド。




銃身とスリーブが接合する後面は写真のようにロッドが通るための開口部が設けられている。




ここまで紹介してきた部品がガス圧によって作動し、半自動射撃を実現している。バン・システムを採用したG.41の作動順序は以下の通り。

1.銃口から放出された発射ガスの一部がマズル・コーン内に溜まる
2.高圧ガスの一部が2か所に設けられたガス穴を通ってピストン部へ流入
3.リング状のピストンが後方へ押される
4.これに合わせてピストン後方に配置されたロッドも押される
5.ロッドの後退に連動してボルトキャリアも後退
6.後退するピストンは3.6cm動いたところで銃身の途中に設けられた突起で止まり、発射ガスはスリーブに設けられた穴から外へ放出
7.ボルトキャリアの後退でボルトと銃身のロッキングを解除、さらに排莢と撃鉄のコッキングを行う
8.後退しきったボルトキャリアはリコイルスプリングにより前進
9.前進中に弾倉最上部の弾薬を薬室へ押し込み、閉鎖と共にボルトがロッキング
10.これと同時に後退位置にあるロッドもボルトキャリアに押されて前進
11.ロッドに押されてピストンも前進位置に戻る


高精度な部品で構成されたG.41の作動方式は、試験場のような管理された環境下ではそれなりの信頼性が得られたと思われるが、過酷な状況下で酷使される戦場では作動不良が多発した。泥や砂、凍結に対して脆弱で、銃身やスリーブが少しでも変形すればピストンが作動しなくなる。銃の作動に関する機構がぶつけて変形しやすい銃口部に配置されていることも問題を悪化させた。




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