■光学照準器の搭載


G.41の配備はセミオート射撃による歩兵の火力向上に加え、銃の能力を最大限に発揮するもう一つの案があったようだ。それが光学照準器を装備することによる命中率の向上と効率的な射撃の実現。

G.41のマニュアルにはZF40という名称を持った光学照準器を装備したイラストが掲載されている。




同じマニュアルに掲載された1.5倍の倍率を持つZF40のイラスト。

G.41の開発にあたりZF41型光学照準器に極めて類似した(又は同型?)ZF40とG.41専用のマウントが開発され、G.41のマニュアルにも付属品として、また装着例のイラストが掲載されている。ZF40は遠距離における精密な狙撃用ではなく、通常戦闘において一般の兵士がより正確かつ早い射撃を可能とすることを目的としており、現在のダットサイトのような使い方を想定していたようだ。

専用マウントはG.41のリアサイトをまたぐ形で装着されるようだが詳細は不明。






通常型のG.41はZF40用のマウントが装着できず、マウント受けを持った仕様が生産されている。本銃はZF40のマウントを装着可能なタイプであり、リアサイトの両側にはリブ状の張り出し部が設けられている。

そしてこのマウント装着可能なG.41は少量ではなく、全生産数(11万~13万挺)のうち最大で3割から4割を占めているという調査結果があり、実際に現存するG.41を見てもその割合は高い。







さらにG.41の中にはレシーバー右側にZF4の取り付けレールを持ったタイプが生産されている。4倍の倍率を持つZF4は低倍率で視野が極端に狭いZF40には不向きであった精密な狙撃を可能とする。

マニュアル掲載のイラストにはトリガー上方にレールが描かれている。ZF4は銃の中心線からやや右側にオフセットして装着されるため、右寄りのボルトハンドルは左側に移設された。このレール付きはワルサー社で生産された約3万挺のうちの半分とBLMでも生産されており、生産数の1割程度は占めていると思われるが、このタイプの現存は極めて少ない。


以上の内容からG.41は全生産数のうち最大で5割に光学照準器を装備できるよう生産されていたことがわかる。セミオートによる火力向上だけではなく、射撃の質を向上させる光学機器の積極的な導入姿勢が見て取れる。また単一の光学機器を配備するのではなく、約4割を占めるZF40には通常射撃の効率化と命中率の向上、1割のZF4には遠距離の狙撃という役割分担を持たせている。

このような計画のもと、光学機器が装備可能なG.41は実際に生産されZF40も大量生産に向け動いていた。しかしながらZF40が配備されることはなく、ZF4の搭載例もほぼ確認できない。実際にZF40として生産された部品は刻印を打ち直し、ZF41としてKar98kなどに使用されている。G.41に光学機器を搭載する計画がなぜ白紙となったのか、その理由がG.41の作動不良に起因する可能性もあるが、詳細は不明である。



■関連サイトのご紹介

第二次大戦中のドイツ軍小銃用の光学望遠照準器に関する情報を提供してくれる最良のサイトを紹介。確認できる事実を丹念に積み重ねて検証した説得力ある情報は必見の価値がある。G.41とZF40に関する事実関係については、先ずこちらのサイトをご覧いただきたい。



第二次世界大戦のドイツ小銃用望遠照準鏡
German Telescopic Rifle Sights of WWII


サイト管理者:Kentomon


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