■銃身 / ガス・システム





トカレフSVT40のガス作動方式をそのままコピーしたG.43。G.41と比べ信頼性は大幅に向上した。




「銃身内部にはガス取り用の穴を開けない」事に陸軍兵器局がこだわり失敗したG.41。G.43では銃身の穴開けをいよいよ実施した。銃身の穴から取り入れた高圧ガスをピストンへ誘導させるガスブロック。




ガスブロック前面の刻印。ワルサー社を示す「359」のバッフェンアムトと「W」が打たれている。







ガスシステムを分解。写真左から、 ガス・ピストン、ガス・シリンダー、接続ロッド、アクチュエータロッド、アクチュエータロッドスプリング。G.43/K.43のガス・システムについては製造時期によってバリエーションが確認できる。







中空の筒状になっているガス・ピストン。このピストンは銃身とつながるガスブロックにねじ込んで固定されるため動かない。当初はスチール製であったが、後にステンレス製に材質が変更となる。写真のガス・ピストンは後期のステンレス製でやや腐食が見られる。




ガス・ピストン表面に彫られたバッフェンアムトの刻印。数字は不鮮明だがワルサー社を示す「359」と読める。




アクチュエータロッドにもワルサー社を示す「359」のバッフェンアムトが打たれる。




ピストンを包むように配置されたガス・シリンダー。ピストンの中央から流れてきたガス圧を受けると、この部品が後退。接続ロットを介して押されたアクチュエータロッドがボルトキャリアを後退させる。






銃身長は550㎜。ライフリングはドイツ軍では一般的な4条右回り。本銃は若干赤味がかったブルーイング仕上げ。




銃身はレシーバーに圧入後、1本のピンで固定される。この固定方法はMP43/MP44と同じ。




銃身に打たれた唯一の刻印。曲面に打たれた2つのバッフェンアムトは不鮮明で二度打ちされている。「WaA617」のように見えるが該当するメーカーが発見できず製造メーカーは不明。













細身の銃身でシンプルな印象を受けるフロント部。 初期生産型にはサイレンサーや空砲アタッチメントを装着するためマズル先端にネジ切加工が施されていたが1944年の春頃には中止された。

G.43/K.43には歩兵用小銃として必要な着剣装置が無く、白兵戦での使用を想定していない。これは本銃が狙撃専用の小銃として開発されたという説を裏付ける理由の一つとされている。








1942年に採用されシースベッヒャーの愛称でも呼ばれている小銃用グレネードランチャー・G Gr Ger (Gewehrgranatgerät)も装着可能。対人・対戦車榴弾、照明弾や発煙弾など多様な弾種を発射できる。




■フロントサイト







削り出しで製作されたフロントサイト基部は銃身に差し込み、一本のピンで固定される。 フロントサイトのカバーは背の高い仕様も存在するが本銃にはKar98kと同じ部品が使われている。







フロントサイトはKar98kなどと同様、工場で照準の調整が施される。左右の位置調整が可能なサイトブレードは調整位置がわかるように、ポンチで打刻されている。よって部隊配備後に銃のフロントサイトを調整する場面はほとんどないと思われる。










照準の際に悪影響を及ぼす光の反射を防ぐため、細い溝が切られている。ここは後期型になると省力化のため溝加工は廃止される。




■リアサイト












G.41と同じ100mから1200mまで、50m毎に調整可能なリアサイト。



サイト裏側は省力化のため数字が刻まれていない。




リアサイトは数字の字体こそ異なるものの、G.41と全く同じ形状の共通部品が使われている。写真上がG.41、下がG.43。







サイトノッチはU字型。




数字が刻まれたリアサイト表面はブルーイング加工され後、研磨され白磨き仕上げとなっている。またここで注目なのは、サイトノッチの加工位置が中央ではなく、左側(上の写真だと下側)に0.6㎜ほどずれて加工されている点。照準を定める最重要部品の加工位置が目視でもわかるほどにズレていれば、当然射撃にも影響する。

ただしG.43/K.43は完成後の試射により照準の調整が行われているので、ここで正しい調整が実施されていれば中央がずれたリアサイトでも狙い通りには当たるはず。なおG.41のノッチはど真ん中に加工されている。



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