MGC製モデルガン シュマイザー MP40











「MP40」「シュマイザー」といえば1968年にMGCから発売されたモデルガンを連想する方も多いだろう。スチール製レシーバーを持ち、ブローバックで実物と同じように作動するこのリアルなモデルガンは1977年に実施された銃刀法の改正「金属製モデルガンの規制強化」によって製造や販売目的の所持が禁止された。ミリタリー少年が憧れたMGCのMP40は市場から姿を消し、モデルガン史を語るうえで欠かせない伝説的なモデルの一つとなった。

ここに掲載するMGCのMP40は某所で保管され資料として活用されてきたが、金属表面の錆や劣化が目立ち、一部の部品が欠損していた。この貴重なモデルガンをレストアする機会を得たため、当ホームページでも紹介をさせて頂く。

本個体は樹脂製ストックの後部マイナスネジ、トリガーフレーム前部のネジが欠損しているため代用ネジを使用。銃身下部の樹脂製レスト欠損とエジェクターの破損(亜鉛合金部品が途中で折れ、劣化している)は交換部品が無いのでそのままになっている。









1942年製、実物MP40との比較。角ばった銃身固定用ナットが実物とは異なる形状になっているが、全体としては実物の雰囲気をとても良く再現しており、各部のディテールも良好。

マガジンハウジング、レシーバー、ロアフレーム、折り畳み式ストックのアームと肩当、銃口保護リング、フロントサイトカバー、バッファーチューブがスチール製、これ以外は亜鉛ダイキャスト製。ボルトの操作やマガジン差し込み時に発生する硬質な金属音や手に伝わる感覚はさすがのスチール製。エジェクターは破損しているが、それ以外の亜鉛ダイキャスト部品は劣化が見られない。
















錆を落とし再黒染めしたレシーバー。市販のブルー液でもしっかりと青黒く深い色に染まる。軟鉄製のようだが、実物に近い剛性感があり、プレス加工の凹凸もシャープな仕上がり。(各写真の上が実物)




実物よりも半分程度の厚みを持つスチール板から作られたマガジンハウジング部品はレシーバーにネジ止め。










ボルトの不用意な後退を防ぐコッキングハンドルの押し込み式安全装置は再現されておらず一体型。しかし形状はリアルで動きそうな雰囲気。(写真左が実物)







実物同様の2段切り替え式を再現したリアサイト。




実物に似せた内容の刻印が打たれている後部レシーバー。「MP40」、製造メーカーの「mgc」、発売年の「68」。










実物に準じた構造の折り畳み式ストック。閉じ・開き状態で多少グラグラするものの、これは実物も同じ。




若干トリガーが太いものの、グリップフレーム周辺の形状も実物と同じ。(写真右が実物)




グリップフレーム外周はパーティングラインが丁寧に消されている。トリガーガード下には「MADE IN JAPAN」の刻印。製造時期によっては「JAPAN」のみの刻印もあるようだ。




グリップフレーム前方は実物と同様に2重ネジでロアレシーバーに固定されているように見える。しかし大きなネジはモールドによるダミーネジ。実際には小さなマイナスネジ1本で固定されている。




銃身固定用のナット形状が実物とは大きく異なっている。金型屋が図面の寸法指示を間違えたらしい。他社モデルガンや無可動銃とはここを見れば区別できる。左右で向きを変更できるスリング金具なども実物と同じ。
















全体の形状は実物に近いが、各部はモデルガン用にアレンジされている。銃身下の樹脂製バレルレストは欠損。「06326」の刻印は個体ごとに異なる数字が打たれているようなので製造番号の可能性がある。




基本分解は実物と同じ。







リコイルスプリングが収まる3段式チューブは簡略化されて2段式へ。ボルト本体もモデルガンとしての作動性能を優先したためか実物とは形状が異なっている。(各写真の上が実物)










鉄板を折り曲げて製作されたエキストラクター。







トリガーメカニズムが収まるロアレシーバー。フレームは実物と同様のスチールプレス製で再現度は高い。(写真上が実物)







写真左から、MGC製、マルシン製、リブなしMP38用(実物)、リブなしMP38/40用(実物)、リブありMP38/40用(実物)。マルシン製は問題なく装着できるが、実物の3本は差し込めるもののマガジンキャッチが掛からず使用できない。

MGCとマルシン製は実物よりも僅かに寸法が大きいため、実物には差し込めない。













高さが数ミリ短く、実物とは異なるスポット溶接によって箱型に組み立てられたMGCのマガジン。(写真上が実物)




MP38とMP40の共用を示す「MP.38u.40」の刻印。




製造メーカー、製造年、バッフェンアムトの各刻印も実物を模している。




マガジン背面のフルロード確認用の窓は中央に加工されている。




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