■射角調整 水平器
液体の気泡により水平を確認する2個の水平器が装備されている。この小さな水平器は製造から80年近くが経過しているが、写真の通り内部の液体は完全に残り、濁りも全くない。
ラフェッテ34を設置し、MGZ34を取り付けたら水平になるようラフェッテの調整を行わなければならない。以後の射角調整は照準器が水平であることが前提となる。しかしながらラフェッテ本体の、特に3本の脚は無段階調整できる構造では無いので、水平を出すような微妙な調整には手間取ったものと思われる。脚と地面との間に「ちょうど良い厚みの何か」を探して挟んだり地面を掘ったりと、兵士の苦労が想像できる。
照準器本体から取り出した水平器。水平器の回転を防ぐため先端の切れ込み部にピンが入る。
■射角調整 左右方向
照準器の光学部分は左右に360度回転する構造。写真左側の小さな調整ダイヤルの回転に連動し、光学部が左右に動く。各部の数字は角度を表すミル(※ドイツではシュトリヒ、円周を6400等分した単位)で表示。0から99までが刻まれた調整ダイヤルは1目盛分を回すと、1ミル(1キロメートル先で1メートル着弾地点が動く)角度が動く。
大きな数字で表示された0から63までの目盛は1目盛で100ミル(1目盛分を動かすと1キロメートル先で100メートル弾着地点が動く)。調整ダイヤルを1回転させると100ミル動くので照準器は1目盛分動くことになる。45度ずつの角度になる「0、16、32、48」の数字のみ赤色で表示されている。
調整ダイヤルの横にあるレバーは照準器を左右方向に回転させるために内部に組み込まれたギヤの結合を解除するもの。レバーを押すと結合が外れ、任意の角度へ素早く回転させることができる。また光学部を分解・取り外しする際にも使用する。
調整ダイヤルと照準器本体のどちらも「0」を示しており、対物レンズが真正面を向いている状態。
目盛は0を示しているが、調整ダイヤルを1回転させたところ。本体は1目盛分(100ミル)動いているのがわかる。
ラフェッテに装着した場合、機関銃の左右方向への射角が限られるので使う場面は少ないと思われるが、写真のように左右へ大きく振ることもできる。
通常この状態にすることは稀であるが、さらに上部を180度近くまで回転させた状態。