■MGZ34 全体写真

 このMGZ34は「Emil Busch」製でシリアル番号は「20520」。製造年を示す刻印は見当たらない。通常の本体色は1色であるが、上下で色が異なっているため別メーカーで生産したものをなんらかの理由により2個一にして組み上げた可能性もある。ゴム製のアイピースは近年製造された複製品がついている。



























本体前部の刻印を見る。「Busch」はドイツ国内の光学機器メーカーであったEmil Busch,A-G.製であることを示し、「Rathenow」はこのメーカーがあった地名(ラーテノー)である。シリアルナンバーは「20520」。水色の丸印はマイナス40度まで耐える寒冷地用のグリス(Vakumfett 1416)が使われている事を示す記号で1942年8月以降に導入されている。

製造年表記が無いこのMGZ34は、アルファベットのコードではなく製造メーカー名で表記されていることから、おそらく1940年以前の生産品で当初はグリス記号が無し(グリス記号の導入は1940年の中盤から)。1942年8月以降の再整備の際に、その時に使われたグリス記号の「〇」が打刻されたと推測できる。







こちらは別のMGZ34。全体に塗装された明るめのフィールドグレイが綺麗に残っており、オリジナル度が高く、各部の程度も良好な個体。




製造メーカーは上で紹介したものと同じEmil Busch,A-G.製でシリアル番号が若いため、より初期に生産されたものと思われる。使用グリスを示す記号は「○」であるが、こちらは円の中も水色に塗られており、刻印の位置もシリアル番号の横と異なる点がある。このグリス記号も再整備であとから打刻されたものと思われる。




上面に白い塗料で書かれた「7992」という数字は配備された部隊での管理番号と思われる。この部分への数字の書き込みは、当時の写真でもよく見られる。







こちらはやや艶のあるダークグリーン塗装が施されたMGZ34。アイピースも当時のオリジナル。




「cxn」と刻印されたメーカーコードはEmil Busch,A-G.製であり、表記こそ異なるがここで紹介している3つのMGZ34は同一の製造メーカーによるもの。「K.F.」の刻印は1940年の中頃から1942年7月頃にかけて使用された耐寒用グリスを使用している記号。製造年を示す刻印は無いが、グリス使用時期と重なると思われる。その下の「42534」はシリアルナンバー。















ドイツ軍のマニュアルに掲載されたMGZ34。




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