■レシーバー その1
MP18の機構をベースにセミオートとフルオートの切り替え機構を追加しつつ、各部の簡略化も進んだMP28のレシーバー。構造やデザインはシンプル。
バレルジャケットとレシーバーは一本の丸い鋼管製、これに削り出しのマガジンハウジングとトリガーメカボックスがネジやピンで固定されている。鋼管の直径は39.5mm、厚みは2.3mm(MP40のレシーバーは厚さ1.3mm)あり剛性感は高い。
別部品となるマガジンハウジング上面を除けばレシーバーは「クラウン・エヌ」と呼ばれる小さな刻印が一つあるだけ。王冠とN(Nitro)を並べた刻印は無煙火薬の強装弾を使った発砲試験(装薬量20%増の弾薬で2発射撃)に合格していることを示す。軍用ではなく商用の銃を対象としており、この刻印の使用期間は1911年から1939年まで。本銃では他にもマガジンハウジング上面とレシーバー後部キャップ、銃口の3か所にクラウン・エヌが確認できる。Nの文字サイズは1㎜。
セミ・フルの切り替え機構が収まるトリガーメカボックスは8本のマイナスネジで固定。ストック内部に隠れてしまう部品だが丁寧に研磨されブルーイング処理されている。※本銃は内部部品が除去。
部品番号を示す「24」の刻印。
メカボックス内部に収納され直接トリガーの動きに連動するレバー(黄色)と外側に配置されたレバー(青色)の2本でセミオートとフルオートの切り替えを行う。このトリガー機構は1921年3月と1924年7月にシュマイザーが特許を取得しておりMP41にもそのまま流用されている。
MP28はシンプルなオープンボルトのストレートブローバック方式を採用。ボルト(青色)はファイアリングピンが別パーツ(黄色)になっており、この部品がリコイルスプリングガイドを兼ねる。
リコイルスプリングはMP18よりも径が太くなった。レシーバー内寸に近いためスプリングガイド部品が不要になる、ねじれを防ぐ(作動性能の向上)、紛失の可能性を減らす、分解・組み立てが容易になるなどの利点がある。
ボルトは表面処理が施されていない白磨き仕上げ。コッキングハンドルはシンプルな形状だが、指が掛けやすいようにやや湾曲している。また一部のMP28はMP40と同型の安全装置付きコッキングハンドルに改良されている。
マニュアルの部品番号と一致する「19」の刻印。