■レシーバー その2
横向きにマガジンを差し込むマガジンハウジング。削り出し部品で2本のマイナスネジと1本のピンで鋼管レシーバーに固定されている。黎明期の短機関銃に多い横に突き出た水平式マガジンは銃を地面に近い位置で構えることができるため射手の被弾率を低下させる利点がある一方、銃の片側が重くなりバランスが悪くなる。
マガジンハウジング上面の刻印。「M.P.28.II SYSTEM SCHMEISSER PATENT」と打たれており、シュマイザーが取得している複数の特許技術が使われていることをアピールする一方、製造メーカーであるハーネル社を示す刻印やマークは一切ない。MP28の後に続く「II」が示す意味は解明されていない。
「PATENT」と製造番号の中間に打たれたクラウン・エヌの刻印。
「12144」の製造番号。
下面にはマニュアル掲載の部品番号と一致する「52」の刻印。
滑り止め加工が施されたマガジンボタン。
溝にマイナスドライバーを差し込んで回せば分解できる。マガジンボタンのスプリングは線材断面が長方形の角線バネを使用している。
マガジン差し込み口の反対側に設けられたエジェクションポート。内部には薬莢を蹴り出すエジェクターが見える。
ボルト本体に安全装置が無いため予期せぬ場面で暴発事故(銃がバットストック側から地面に落ちるとボルトが慣性で後退し弾薬を薬室に送り込んでしまう)が発生する恐れがある。これは同世代の短機関銃に共通した問題であり、ドイツ軍では1942年にMP40用の新型ボルトが登場するまで解決しなかった。
「S」の刻印があるスリットにボルトハンドルを引っ掛けると安全な状態になる。MP28唯一の安全装置。この場合、空いたエジェクションポートから砂や泥などの異物が入りやすく、作動不良を引き起こす可能性が高まる。