■間接射撃用計算尺 本体 その1















この計算尺は距離を示す3本の直線定規と上下2枚が重なった円形の角度板から構成されており、各部が複雑にリンクしている。すべての部品は高精度のスチール削り出し部品で構成されており、丁寧に加工されている。表面仕上げはつやの無いクロムメッキ。上の各写真はケースへの収納状態を示す。全長294㎜、重量796g。




マニュアルに掲載された各部の名称。




製造メーカーコード「cae」は1841年に設立され高度な機械式時計や製図用品を製造していたドイツのリーフラー社(Riefler)を示す。製造番号と思われる「190」の数字は他の部品にも打刻されている。本体に製造年は記されていないが、収納ケースの刻印から1940年製である。

円盤の中央にネジ止めされた樹脂製プレートは重要な射撃諸元を一時的に鉛筆で書き込むためのもの。










上下2枚の円形板に表示されている数字の単位は円周を6400分割したミル(独語ではシュトリヒ)となっており、それぞれ0~32(3200ミル・180度)までが表示されている。一目盛りで20ミルを示す。角度を測る円形板が2枚あるのは三角形の2つの角度をそれぞれ表示させるため。

各部に設けられた「LOS(緩む) →」のノブは可動部のロックネジ。矢印方向に回転させるとロックが解除される。






外周には緻密なギアが加工されており、精密機械を連想させる。










全ての調整ノブ、ロックネジには滑り止めのローレット加工が施されている。




製造番号「190」の数字が小さく刻印されたノブを回すと、上の円形板が回転する。写真は「0」を示した状態。





上部の円形板を回転させたところ。180度まで回転する。




目盛りの読み方。この場合は「900」ミルを示している。




この場合は「912」ミルを示す。一目盛り(20ミル)の中間を指している場合、「0・10・20」の表示がある下のゲージを合わせて読む(読み方はノギスと同じ)。これにより角度は2ミル単位で読むことができる。




下の円形板にも角度を読む目盛りが付いている(赤矢印のおく)が、使い方によっては上の円形板が重なって見えない。




この場合、裏側にも同じ目盛りが付いているのでこちらを使って読む。




実際の使用では上の円形板が横へ動くことが多いので、上面から目盛りを確認できる。


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