■レシーバー その1


掲載するPPSh-41は木製ストックに大きな傷が無く、全体的に使用感の少ない1944年製。ドラムマガジン以外のすべての製造番号が一致している。新加工の無可動銃であれば状態良好でも比較的安価に入手が可能。製造番号が一致する銃を探すのが困難なドイツ軍小火器とは状況が大きく異なる。








レシーバーは木製ストックの内側に収まり、ストック上部に見える部分はバレルジャケットと一体のレシーバーカバー。ボルトの前後移動距離が短く、レシーバー全体もコンパクトに収まっている。各部の加工や仕上げは雑な部分が見られるが、過酷な状況下でも作動しそうな堅牢さを感じる。




バレルジャケット後方上面の刻印。盾?のシルエットに星を配置したマークはソビエト・キーロフ州にあったヴャツキエ・ポリャニ(Vyatskiye Polyany)第367工場での製造を示す。この工場はザゴルスク(現:セルギエフ・ポサード)から1941年秋にキーロフ州へと疎開しており、1941年から1945年までに204万挺という最も多くのPPSh-41を生産している。「1944」は製造年。




エジェクションポート後方、「Г33393」の製造番号。この製造番号は銃身、木製ストック、レシーバー後部、トリガーガードにも打たれている。




レシーバー後部のマイナスネジ1本を外すと、レシーバー、木製ストック、トリガーが分離できる。非常にシンプルな構造。




銃本体と一致する「Г33393」の刻印。






マイナスネジを取り、トリガーグループを下方に引っ張ると木製ストックから外れる。










2重構造になっているマガジンハウジングの隙間に木製ストック前部が差し込まれているのでこれを引き抜くとレシーバーと木製ストックが分離する。








木製ストックを外したレシーバー。ボルトが収まるレシーバーは厚さ3㎜のスチールプレス製、上部のレシーバーカバーはバレルジャケットと一体でこちらも3㎜のスチールプレス製。スチール板はMP40と比べ3倍も厚い。






トリガーメカボックスは前方の突起をマガジンハウジング内部に引っ掛け、赤矢印で示した突起をレシーバー下面の穴に差し込む。







厚さ2mmのスチール板からプレス加工されたトリガーメカボックス。セミ・フルオートの切り替え機構を持ちながら各部の形状は単純で部品点数も少ない。




トリガーガードの幅は9㎜と狭く必要最低限という印象だが、引き金周りの空間が大きく確保されているため、厚手の手袋着用時などでも操作しやすい。




引き金前方の突起はセミ・フルオートの切り替え装置。銃口側へ押すとフルオート、引き金側へ動かすとセミオートとなる。写真はフルオート。




セミオートへの切り替え。PPSh-41は1秒間に16~17発という高い発射速度ゆえ、指切りコントロールによる単射は難しい。




トリガーガード下面、銃本体と一致する「Г33393」の刻印。




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