■ドラムマガジン その2




フタを取り外したドラムマガジン。フタは強度をアップさせるプレス製リブがあるだけの簡素な形状。


ドラムマガジン本体をさらに分解。本体外装、ゼンマイバネ、マガジンフォロアー、中央軸、弾薬トレイで構成される。




ドラムマガジン外装。側面と底部のリブは内部の弾薬や弾薬トレイとの接地面積を減らし作動不良の要因となる摩擦を低減する。















マガジンフォロアーが接続されたゼンマイバネ。中央の穴の中に板バネの一部が見える。






ゼンマイバネの逆回転防止の役割を果たす突起が加工された中央軸。ゼンマイバネを反時計回りに回転させた時だけ、90度ごとにロックが掛かる。



弾薬が空の状態。十字の突起がある金具をつかみ、反時計方向に回すとゼンマイバネが巻かれる。90度の回転ごとに「カチッ」と大きな音がして逆回転防止のロックが掛かる。音が8回(2回転)するとバネ巻きは完了。ゼンマイバネの回転にマガジンフォロアーも連動して動き、さらに弾薬トレイも連動して動く。




ゼンマイを90度だけ回転させた状態。マガジンフォロアーが動いている。






大容量の弾薬を収納しながらスムーズな給弾を実現する回転式の弾薬トレイ。

一般的なマガジンでは内部に収納された弾薬と内壁との接点で摩擦が生じる。この摩擦は少量の弾薬であれば問題は無いが、マガジン容量が20発、30発と増加するにつれて深刻な弾詰まりを引き起こす要因となる。この問題解決にはマガジンフォロアーを押し出すバネの力を強くする、リブを設けて摩擦を減らすなどの対策があるものの、ドラムマガジンのような大容量の弾薬を収納する場合はさらなる工夫が必要になる。これの対応策として「弾薬が並ぶトレイを別部品とし、弾薬ごと回転させる事で弾詰まりを防ぐ」という方式を採用した。この機構もPPSh-41オリジナルではなく「スオミ KP/-31」ドラムマガジンからのコピーと思われる。




この弾薬トレイはマガジンフォロアーの動きと連動して赤矢印の範囲で回転する。






マガジン内部を見ると弾薬は赤列と青列の2列に分かれている。この状態では内側の青列からしか給弾されない。






ゼンマイバネを完全に巻いた(2回転)状態。給弾列が切り替わっている。ゼンマイバネが1回転を超えたあたりから、マガジンフォロアーが弾薬トレイの突起にあたり、弾薬トレイが回転すると共にゼンマイを巻く。これにより外側が給弾される。






弾薬を入れた状態。最初に給弾される外側が40発、途中で切り替わる31発が内側に収納される。外側の40発は弾薬と弾薬トレイが一緒に回転するため、弾薬とマガジン内壁との摩擦が抑えられ、スムーズな給弾が行える。40発目の射撃が終わると、内側の給弾へ切り替わり、トレイの回転は止まる。残りの31発はマガジンフォロアーに押されて給弾される。




■ドラムマガジン 装填方法




弾薬の装填方法。中央の軸を押し込むと反対側のロックが解除され、フタ止め金具が動く。写真では2カットに分かれているが、実際には中央軸を押しながらフタ止めを外す。




フタを外す。




十字の突起がある金具をつかみ反時計回りに2回転させるとゼンマイバネが巻かれる。






弾頭部が上になる向きで71発の弾薬を並べる。バネのテンションが無いので「並べるだけ」ではあるのだが、途中で弾薬が倒れたりすると修正に手間取る。




並び終えたら弾薬の落下に注意しながらフタをする。




中央の軸を押し込む(かなりの力が必要)とゼンマイバネの逆回転防止ロックが解除され、内部の弾薬にテンションが掛かる。中央軸を押しながら、フタ止め金具を掛ける。これで装弾作業は完了。




2回転させたゼンマイバネは強力なテンションが掛かっている。弾薬を並べている最中、不用意に中央軸を押し込むと逆回転防止が外れ弾薬が吹き飛ぶ。またこの時に指を切断する事故も複数発生した模様。これらの事故は誤った運用方法に加えマガジンの低い工作精度にも起因するようだ。

装填作業中、ドラムマガジンを硬い地面に置き、上から押すように力を掛けると、逆回転防止が解除されて事故が生じる可能性が高い。




そのため写真のように逆回転防止の軸が押されないよう、ドラムマガジンを斜めに置くなどの処置が必要。




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