■パンツァーファウスト100





全体がフィールドグレーに近いグリーンで塗装されたパンツァーファウスト100。弾頭内部の炸薬や発射薬は完全に除去された安全品であるが、各部はオリジナルの形状を保っている。現存する他のパンツァーファウストを見る限り、各所に製造メーカーや製造年を示すスタンプ?が押されているようであるが、この個体は確認できず製造年は不明。配備時期を考えると恐らくは末期の45年製と思われる。

最も多く使用されたパンツァーファウスト60とはリアサイトの穴位置が異なるものの、それ以外の形状はほぼ同じ。細部を見なければ外観から60と100を判別するのは難しい。




■弾頭













全長593㎜、弾頭の直径は146㎜。弾頭内部にはTNTとヘキソーゲンを1:1で混ぜた800gの炸薬を内蔵し装甲貫徹力は200㎜(30度に傾斜した装甲板)。後部には4枚の安定翼が付いており、飛行姿勢を安定させる。190gの黒色火薬で打ち出される弾頭の初速は60m/s。発射された弾頭は放物線を描いて飛んでいくため、遠距離や移動目標への射撃には慣れが必要。





弾頭の最も膨らんだ部分に設けられた小さな突起がフロントサイト。白色の夜光塗料が塗布され暗闇で発光する。




弾頭部を覆うカバー。このカバー先端部が標的と衝突する衝撃を受けて信管が作動する(最適なスタンドオフ位置の確保)。また空気抵抗の軽減という役割も果たす。













飛行姿勢を安定させる4枚の安定翼。薄いスチール製の板バネとなっており手で簡単に曲がる。安定翼は無理やり丸め込まれた状態で発射筒に差し込まれており、筒から飛び出すと板バネの弾性で瞬時に開く。安定翼は後期生産型になると写真の長方形から三角形に形状が変更される。これは材料の不足から長方形の安定翼部品を半分になるよう斜めにカットしたもの。安易な方法だが安定翼の部材は2倍になる。




弾頭後部は木製。安定翼は木製部品にリベット固定されている。






発射筒に差し込まれる安定翼。写真のように丸めた状態で押し込まれる。



弾頭と後部は中央で分離できる。パンツァーファウストは運搬時の安全を確保するため弾頭には信管と点火薬がセットされておらず、配備された部隊で弾頭をいったん取り外し、信管と点火薬をセットする必要がある。パンツァーファウストを運搬する木箱には本体とは別に信管と点火薬が同梱されている。




弾頭から伸びる筒内部に点火薬(Zündladung 34)、雷管(Faustpatronezünder FPZ 8003)の順番で挿入する。それぞれ向きも決まっており、間違えると正しく機能しない。

パンツァーファウスト100から?導入された新型の雷管(従来型はFaustpatronezünder FPZ 8001と8002)は運搬時の安全性が向上したため、あらかじめ工場生産時に弾頭内部への雷管セットが可能となり、配備部隊でのセット作業が不要となった。しかしながら、使用側の混乱(セット不要なのにセットしようとする、従来のパンツァーファウスト30K、30、60もセット不要と勘違いし雷管未装填のまま射撃する など)を考慮し、従来と同じ方式を継続している。




弾頭部には点火薬と雷管の装着に関する手順を示したラベルが貼ってある。

パンツァーファウスト100m

危険(後方への爆風) ※赤矢印

1 弾頭を取り外す
2 弾頭を垂直に保持し点火薬を挿入、紙が見える状態にする
3 点火薬の接点が保護紙で覆われるように信管を挿入する
4 弾頭を再度取り付ける
5 発射筒後部の厚紙製キャップは残しておく(射撃するまで外さない)










弾頭後部はご覧の通り非常にシンプルな構造。金属表面がメタリックグレイ系の塗料?で塗装されているが、これがオリジナルの仕上げかどうかは不明。






弾頭は安定翼の付いた後部部品に差し込んであるだけ。抜ける可能性があるため、弾頭側面に抜け防止の簡易なロック金具を有している。




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