■発射筒




発射筒本体。長さ801㎜、直径55.5㎜の鉄パイプは既存の自動車部品を流用したと言われておりファラースレーベンにあるフォルクスワーゲン工場で生産された。発射筒は射撃後の再利用ができない使い捨て(パンツァーファウスト150だけは再利用可)。パンツァーファウストは発射筒に充填された黒色火薬を発射薬とするため弾頭に推進薬を持たない。筒の後方にも発射ガスを逃す構造のためロケット弾ではなく無反動砲に分類される。

黒色火薬の燃焼圧力に耐えるため発射筒の厚みは3㎜と強固。

筒の右側面には赤字で書かれた「注意!」「後方への爆風!」の文字。 パンツァーファウストを持っている人が読みやすいように上下逆さにレイアウトされている。




筒の後部上面には「注意!弾頭が未装着でも筒内部には火薬が充填されている」とある。




パンツァーファウストは短い射程距離を延ばすべく黒色火薬(発射薬)を増やす改良が実施(30k/53.5g、30/95g、60/134g  ※型式/装薬量)されパンツァーファウスト100では黒色火薬が190gとなった。この190gを一塊にして筒内に配置した場合、爆発の圧力が強くなりすぎるという問題が発生した。検証の結果、2つのブロックに分けて(各95gが紙製容器に収まる)筒内部に空間を設けて配置することで火薬燃焼の圧力を適度に抑えつつ、弾頭の初速を効率的にUPできる事が判明。この配置を採用した。上の写真は筒内部の火薬位置を示す。

後方に配置された火薬ブロックの下に見える小さな突起はマイナスネジ。内部の火薬を固定する役割を果たすものと思われ、パンツァーファウスト100だけに取り付けられている。

発射時には強烈な後方噴射が発生するため後方10m以内は立入禁止。また後方3m以内に壁などの遮蔽物がある場所では噴射の噴き返しで射手が負傷する恐れがあるため避ける必要がある。黒色火薬なので射撃時には大量の白煙が発生し発射位置を暴露する危険性が高いなど、射撃場所の制限や欠点も多い。




筒内部は発射薬へ点火する雷管の取り付け部に穴が開いている、弾頭取り付け部に切り欠きがある以外は加工されていないただの筒で内部も粗い凹凸がそのまま残っている。




発射筒の後部には異物進入防止と防湿を目的とした厚紙製キャップが取り付けられる(本個体では紛失)。




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