■車載型バレルジャケット その1







車載型MG34と通常型MG34で異なる箇所はバレルジャケットの一部のみ。MG34のバレルジャケットは一体パーツではなく赤矢印の個所で前後2パーツ構成となっている。赤矢印から銃口側のバレルジャケットがPanzermantel専用部品、矢印から左側のリアサイトが装着された薬室側は通常型MG34と同じ。







薬室側の部品を取り外したバレルジャケットの単体部品。車載型と通常型の差異はこの部分のみ。







薬室側部品との接合はねじ込み式。
















車載型バレルジャケットは銃身を保護する装甲板の役割を果たすため防御上弱点となる放熱穴が少ない。その代わりに放熱を目的とした楕円形のスリットが上下に加工されている。またボールマウントの円形穴に差し込むため、余計な突起が無いシンプルなデザイン。車載時には不要となるフロントサイトや2脚基部、対空射撃用サイトの取り付け基部などは省かれており、これらは別部品のアダプターで用意される。

バレルジャケットの材質は硬化処理された鋼(一般的な炭素鋼ではなくニッケル鋼合金やクロムマンガン鋼と思われる)が使われており、戦車の装甲板などに近い特性を持っているようだ。

重量はバレルジャケット部品単体で2369g。




バレルジャケット中間に打たれたブルーノ造兵廠を示す「WaA63」のバッフェンアムト。




砲弾や小銃弾、爆風による破片から銃身を守るため、バレルジャケット自体の厚みも増している。
各部の厚みは以下の通り。※カッコ内は通常型バレルジャケットの厚み。

A:6.8㎜ (1.9㎜)  B:6.8㎜ (2.1㎜)  C:9㎜ (2.4㎜)
D:9㎜ (2.4㎜)  E:7㎜ (4.3㎜)

なお外径はA:38㎜、C:42㎜となっている。







バレルジャケットの上下には放熱用の楕円形スリットが加工されている。上面スリットの両端に設けられた穴はフロントサイト・2脚基部、対空射撃用サイト取り付けアダプターを装着する際に使用する。







こちらはバレルジャケット下面。放熱用スリットは上面に比べ開口部が短い。




バレルジャケット内壁と銃身の間に隙間はほぼ無く、空気は流れない。銃身の冷却はあまり考慮されていないようだ。

車載型MG34の銃身は通常型に比べ太いという情報がWikipediaを含め散見されるが、これは誤りで通常型MG34と同じ銃身を使用する。銃身径が少しでも太ければバレルジャケットには入らない。




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