■車載用布製弾薬袋 / Gurtsack その1






車載用機関銃に使用する布製弾薬袋。狭い戦車の車内では300発入りの金属製弾薬箱(Patronenkasten Für MG)ではなく、より小型の布製が使用された。ベルトリンクで結合された7.92×57㎜弾を150発収納し、車体前面のボールマウント、主砲同軸、対空射撃用銃架のいずれも布製弾薬袋から給弾する。また給弾用途以外に、空の布製弾薬袋を銃架の下部に装着し薬莢回収袋としても使用されている。






















上部のフタと銃架への装着部は金属製、下部の弾薬収納部は布または革で構成される。サイズは262×125×116㎜、重量は空の状態で548g。生産数は不明だがドイツ軍主要戦車の生産数と搭載弾薬数から大雑把に計算しても50~60万個は生産されているようだ。複数のメーカーで生産されており、フタの固定方法や材質の違いから少なくとも2種類のバリエーションが存在する。

掲載品は目立った破損が無いオリジナル品。金属部のみ目立つ錆びがあったため、錆を落とし再塗装を行った。







300発が入る金属製弾薬箱との比較。






未使用時は折り畳み可能。例えばタイガーⅠ戦車の場合、32ヶの弾薬袋を車内に搭載しているため使用後にコンパクト化できる恩恵は大きい。




弾薬収納袋は分厚いキャンバス生地で作られ十分な強度があり、繰り返しの使用にも耐える。










収納弾薬150発の重量4.5㎏を支える底部は革製で周囲はガッチリと厳重に縫い付けられている。ここは布製も確認できる。




底部の革表面にこの弾薬袋で唯一の刻印が確認できる。「gxy」のコードと「WaA706」のバッフェンアムトはドレスデンでホルスターなどの革製品を生産していたメーカー Gebruder Klinge を示し、1945年製。末期の生産品だが丁寧な作りで粗さは感じない。










側面に設けられた布製ベルトは運搬用の持ち手と思われる。




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