■SF14Z (砲隊鏡レストア前)

















入手したSF14Zの本体は欠損品が無く、全ての可動部は正しく作動する。わずかなくもりがある以外、カビやゴミの混入もなく光学系の状態も良好。液体式の水平器も完全。

金属地の上に直接ジャーマングレイ単色が塗装されており、一部には刷毛によるジャーマングレイ再塗装(オリジナルの色目に近い)が施されている。







接眼レンズ周りは黒の焼付塗装のようだ。防塵防滴対策のためか一部の大きなネジはパテ埋め処理されている。




中央の若干暗く、ツヤの消えたグレイ部分が製造当時のオリジナル塗料と思われる。




■SF14Z 使用例


1939年9月、ポーランド戦線で撮影された写真。ペリスコープ部がそれぞれ縦と横位置になったSF14Zが設置されている。やや大型の双眼鏡を持つヒトラーの右側にはロンメルの姿も見える。

写真クレジット:ドイツ連邦公文書館、写真101I-013-0064-35 / Kliem / CC-BY-SA 3.0
Bundesarchiv_Bild_101I-013-0064-35、_Polen、_Bormann、_Hitler、_Rommel、_v._Reichenau.jpg




1939年9月27日、将官で埋まった建物のバルコニーからワルシャワ侵攻の状況視察を行うヒトラー。首都ワルシャワはこの翌日に陥落する。

長いレインシールドを装着したSF14Zが少なくとも4台確認でき、将兵の視察にも多用されていたことがわかる。同時に撮影された新品のように綺麗なSF14Z(掲載写真一番手前のSF14Zか?)を覗くヒトラーの写真からは、一般的な光学機器用3脚に乗せられた本体が2色または3色迷彩塗装であること、レティクル照明装置の取り付けが確認できる。




1941年10月撮影。砲兵観測所を視察する北方軍集団司令官のヴィルヘルム・フォン・レープ元帥(写真右側の人物)。レインシールドが装着されたSF14Zのペリスコープ部には木の枝や葉で擬装が施されている。

写真クレジット:ドイツ連邦公文書館、写真183-2007-0316-504 /Schröter/ CC-BY-SA 3.0
Bundesarchiv_Bild_183-2007-0316-504、_Beobachtungsposten、_v._Leeb、_Küchler.jpg




1943年撮影。夜間、味方の砲撃をSF14Zで観測中の場面。SF14Zを乗せた3脚は前2本が水平に近い角度で展開されており、変則的な形となっている。手前の無線通信士はFF33野戦電話で通話中。

写真クレジット:ドイツ連邦公文書館、画像101I-198-1363-29A / Henisch / CC-BY-SA 3.0
Bundesarchiv Bild 101I-198-1363-29A, Russland, Artillerie-Beobachtung.jpg




■SF14Z 車輌搭載例

SF14Zは地上での砲兵観測や監視以外に、車輌にも幅広く搭載されている。写真は駆逐戦車 ヤークトタイガーの戦闘室上面。ダークイエローに塗装されたSF14Zの対物レンズが頭を出している。




ヤークトタイガーの戦闘室内部に装備されたSF14Z。接眼レンズの少し上に見えるリング状の金具は額を当てる革製パットの取り付け基部と思われる。車載搭載型と通常型SF14Zの差異はこの革製パットの有無のみ。写真ではレティクル照明装置が付いており、電源ボックスに差し込むプラグ端子が支柱にぶら下がっている。







装甲兵員輸送車 Sd.Kfz.250の派生型 250/5(砲兵観測車)の車内。SF14Zが装備されている。




Sd.kfz.250/12に搭載されたSF14Z。




Sd.Kfz.250/5に装備されているSF14Zで視察する兵士。1944年3月撮影。両方のペリスコープ筒が真上位置にあるので、かなり小顔の兵士、または目幅調整を行っていない状態で見ていることが想像できる。

写真クレジット:ドイツ連邦公文書館、写真101I-667-7130-39 / Hoepner / CC-BY-SA 3.0
Bundesarchiv Bild 101I-667-7130-39, Russland, Soldat in gepanzertem Fahrzeug.jpg



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