■SF14Z の分解 その1




状態の良いSF14Zであるが、光学系も含め新品同様にするため完全分解しレストアを行った。ここでは分解し、塗膜を剥がした状態の写真を紹介する。

本体はペリスコープ部の筒と各ネジがスチール、それ以外は真鍮(砲金の可能性もあるがここでは真鍮と表記する)で構成されている。主要部品のほぼすべてに製造番号があり(刻印と手書き)、入念な組立作業が想像できる。










ペリスコープの対物プリズム収納部。上部カバーはアルミの鋳造製。SF14Zでは唯一のアルミ部品となる。プリズム、カバー共に左右共通部品であるが、手書刻印によって左右は厳密に区別され組立が行われる。




カバー前面にはレインシールド装着用のスチール製リングが取り付けられる。







内部に収まる大きな直角プリズム。強固なスチール製マウントにガッチリと固定されている。

双眼鏡を正しく見るには左右の視界を一致させる必要があり、砲隊鏡の場合は対物プリズムの角度を変える事で調整する。プリズムが固定されたマウントとカバーは曲面で接しており、固定するネジの角度も調整できるようワッシャーが特別な形状となっているため対物プリズムは角度を調整しながら固定できる。

砲隊鏡は左右のペリスコープ部が回転する構造上、左右プリズムの僅かなズレも視界に大きく影響する。対物レンズが上の位置では左右の視界が一致していても、90度動かした横位置では左右の視界が大きくズレる事も多々ある。プリズム角度の調整が非常にシビアかつ面倒なので、砲隊鏡の対物プリズムは安易に分解しないほうがよい。







上部カバーの取り付け基部。




スチール製ペリスコープ筒の内側。上面から約7cmの位置に対物レンズが配置(写真は取り外した状態)され、その奥には光の内部反射を防ぐためと思われるリブが3か所に設けられている。




筒内部に収納される50㎜径の対物レンズ。







レンズが収まる真鍮製の筒内部は光の反射を防ぐ細かい溝が加工されており、黒染めされている。




筒の外周。手書きのシリアル番号「A322」と「X」は右側の光学系を示す記号のようだ。



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