■Sマイン 作動機構
Sマインの断面図(図は横向きになっており左側がSマイン上部)。
黄色:TNT火薬 緑:打ち上げ用黒色火薬 オレンジ:4.5秒遅延式信管 赤:TNT点火用遅延式信管 ピンク:TNT点火薬 青:鉄球
※図では鉄球の列が10段で描かれているが、実際には重なった鉄球が千鳥配置となるため12段となるのが正解。
各部の作動について順を追って説明する。まずは地面に穴を掘ってSマインを入れる。信管を取り付けて安全ピンを取り外す。
土をかぶせて信管上部の突起だけを地面から露出させる。これで設置は完了。あとは運に任せて敵兵が信管を踏むのを待つ。
埋設されたSマイン。小さな3本の突起だけが出ており、十分に警戒しながら歩かないと発見は難しい。雑草などで隠れていれば発見はさらに困難となる。
敵兵が信管上部を踏み、感圧式信管が起爆。この爆発によって中央筒の下部にある4.5秒遅延式信管が作動。
信管を敵兵が踏み込んでから4.5秒後、底部の黒色火薬が点火。
黒色火薬の爆発によって、Sマインのケースから中身が打ち上げられる。これと同時にTNT火薬へ点火させる3本の遅延式信管も点火。
Sマイン本体は空中に1~2mほどの高さまで飛び上がり、ケースはそのまま地面に残される。遅延式信管の作動によってSマインが十分な高さに達するまでTNT火薬は爆発しない。
TNT火薬が点火し空中で爆発。内蔵する336個の鉄球と本体の破片が最大で半径約100mの範囲に飛び散り、周囲の人員を一掃する。
運悪くSマインを踏んでしまった場合、Sマインの埋設方向に足を向けて地面に伏せる、と米軍マニュアルには記載がある。
■Sマインの分解 その1
Sマインはやや複雑な内部機構となっているが分解は容易に行える。
外装ケースから引き抜いたSマイン本体。これが空中へ打ち上げられる。ケースとは底部に設けられた3本のマイナスネジで固定される。
外装ケースは単純なカップ型。底部に3か所のネジ穴があり、内側は表面処理が無く金属地そのまま。
フタ中央の雷管取り付け基部の六角ナットを外すと、フタが外れる。
信管取り付け筒の周囲には3本の火管が並び、その周囲にはTNT火薬が充填されている。スチール製筒で仕切られた外周には鉄球と鉄片が収まる。
内部に充填されたTNT火薬を模したリプロ品。実物のTNTがどのような形状であったのかを示す資料が無いので、オリジナル品にどこまで忠実に再現されているかは不明。
側面のラベルには「Sマイン35用の炸薬」と表記され製造年や生産ロットなども書かれているようだ。
上部にはTNT火薬を充填した日時が表示されていると思われるラベル。
フタと鉄球の間にある紙製の緩衝材。
直径9㎜、重量3.5gの鉄球170個、9×6.5×6㎜、重量2.6gの鉄片190個を内蔵(合計重量1,090g)。TNT火薬の爆発によってこれが飛散する。