■Sマイン 車載型
接近する敵歩兵を攻撃するための近接防御兵器として戦車に装備されたSマイン発射機「Minenabwurfvorrichtung」用と思われるSマインでフタの径が通常型よりも大きい。車輌用として改良されたSマインに関する情報は少なく「これが車載型である」とは断定できないが、本項では車載型として紹介する。このSマインは車体上部に装備された筒型発射機に装填し電気発火式信管「Glühzünder 28」を取り付け、車内のコントロールパネルから発射する。
上部に感圧式や引っ張り式信管を取り付ければ通常型Sマインとしても運用できる。
高さ:143㎜ 直径:110㎜ 重さ:4,075g
車載用Sマイン発射機の筒内径が110㎜なので、このSマインが車載型である可能性は高い。
フタの上面。製造メーカーコードは「brd」と読めるが、海外サイトの情報を参考にするとこれは「bnd」でMaschinenfabrik Augsburg-Nuernbergを示すようだ。「41」は1941年製。
車輌用と通常型で異なるのはフタの形状と直径のサイズ。ダークイエローで塗装された44年型とは内部部品の材質や形状に差異が見られるが、これは通常型と車載型による差異ではなく、生産時期による違いである。
写真左の外装ケースは通常型と共通部品。
フタを取り外した内部の基本構造も通常型と同じ。
波型に加工された紙製の緩衝材。
鉄片が混じっていた44年製とは異なり、鉄球だけが内蔵されている。鉄球の直径は9㎜、重量は3.7g。表面仕上げも綺麗でつやがある。
鉄球は1周28個×12段、合計336個内蔵されている。鉄球の総重量は1,238g。
内部は44年製と比べ丁寧な仕上がり。スチール製の筒は側面につなぎ目・溶接跡が無い。
44年製では分解ができなかった底部。黒色火薬を内蔵する緑色のフタは薄い樹脂製。
44年製では紙製だった火管は真鍮パイプに、木製だった上部の支柱はアルミパイプとコイルスプリングを組み合わせた部品になっている。