■1943年製 測距儀のレストア





1943年製となるこの測距儀はドイツで生産されたオリジナルであるが、以下の点でドイツ軍が使用したオリジナルとは異なる部分がある。

・測距儀の銘板に「1m a-instr M/43」とある。ドイツ軍のものは「Em 1m R36」
・各部の調整ノブに付けられた表示プレートが一部ノルウェー語表記となっている
・ダークイエローのオリジナル塗装の上から、フィールドグレイの再塗装、さらにはジャーマングレイ&茶系の迷彩と3回塗りかえ

これらの特徴から調べると、戦後ノルウェー軍で使用されていた個体のようである。ノルウェー仕様の銘板は文字以外、ドイツ軍のオリジナルと同じ作りになっている。第二次大戦中にドイツ軍がノルウェー向けにわざわざ仕様を変えて生産する可能性は低いので、戦後賠償でドイツから受け取った「Em 1m R36」を、ノルウェー軍が銘板だけを製作して貼り変えるという手の込んだ改造を行った可能もある。

今回入手した測距儀は厚い塗膜に覆われた外観は比較的きれいであるが対物レンズを覗いても何も見えないジャンク品。筒内部の光学部品やレンズに割れや脱落はないようであるが、カビや汚れが付着。各部の調整ダイヤルは機能している様子だが、接眼レンズの奥にあるプリズムの欠落が決定打となり修理は不可能な状態であった。光学系が死んでいる測距儀は残念ながらただの置物である。




筒内部の光学系は汚れが目立つものの、中央のプリズムが収まる部分まで光が届いており問題はなさそうに見える。脱落した接眼レンズのプリズムさえあればレストアができそうであるが、プリズムだけを入手するのは困難というかほぼ不可能に思えた...






しかしながら、入手不可能と思っていたプリズム部品が奇跡的に入手できた。写真右がプリズムが脱落した部品、左が別途入手できたプリズム入り。早速、取り付けてレンズを覗くと、独特のレティクルと共に対象物がはっきりと見える。内部を清掃すれば新品同様に蘇るかも...

ということで、測距儀のレストアを試みる。
当時の光学機器がどのような仕組み・構造であったのかを紹介させて頂く。




レストアの第一歩は分解する事。内部構造が把握できるような資料が一切無いので手探りで分解を進めていく。外観を見る限り、分厚い塗膜によりほぼすべてのマイナスネジが完全に埋まっているため、塗膜を剥がしながら分解を進める。

ホームセンターではさまざまな「塗装はがし剤」が販売されているが、これらは使わず通信販売等で購入できる「デイトナ 強力塗装はがし剤」という塗装剥離剤を使用する。この商品、塗膜の剥離効果は強力なので塗布すると塗料がシワシワになって浮いてくる。金属ブラシなどを併用すれば塗膜はほぼ落ちるのだが強力故に、皮膚に付着すると激痛がはしるので取り扱いは慎重に。その効果のほどは別ページで紹介している塗装が落ちた部品を見て頂ければ、お分かり頂けると思う。

塗膜が落ちれば各部のネジはそれほどきつく締められていないので、ネジ穴に適合したマイナスドライバーさえあれば容易に取り外しが可能。外観・内部を含めてほとんどの部品がネジ止めなので、どこにネジがあるか確認できれば、分解作業はそれほど難しくない。

部品取り外しの際には必ず写真で記録、どこに何が、どの向きで付いていたか?どのネジがどの場所にあったのか、とにかく写真での記録は重要。これを怠ると予期せぬところでつまずく事になるので要注意。




各部の銘板。右下の「fwq」と刻印されたプレートからドイツで製造されたオリジナルであることがわかる。それ以外はノルウェー語の銘板。




もどる