■ラフェッテ34
対空射撃用支柱 / 対空射撃姿勢
ラフェッテ34に専用の支柱(Lafettenaufsatzstück)を取り付けた状態。MG34をラフェッテ上で立射姿勢により射撃することができ、対空射撃や生垣・穀物畑など背の低い障害物の上から射撃する用途で使用される。MG34やMG42用の対空射撃用3脚としては軽量・安価なドライバイン34/40(Drebein 34/40)も採用されている。ドライバインと比較すると、3脚の重量が重く、重心が低いのでより安定した射撃ができる。支柱は1943年に生産中止となったようだが、その後も需要があったためか、各部隊の武器係などが応急的に生産した支柱が複数確認できる。これらは身近で入手可能な代用品を使用しているため、様々な形状や仕様が確認できる。
支柱は第二次大戦中に工場で生産されたドイツ軍オリジナル品、武器係が応急的に用意した工場以外での生産品、ユーゴスラビアなどの戦後生産品などがある。
本項での掲載品は MG34氏 より借用させて頂きました。当ホームページへのご協力に感謝申し上げます。
ドイツ軍オリジナルのジュラルミン製支柱。第二次大戦中に工場で生産された支柱はほとんどがジュラルミン製となっており、スチール製の支柱は生産されていない、または生産数が極めて少ないようだ。ドイツ軍のオリジナル品は現存が少なく、特に掲載品のように状態の良い個体は入手困難である。
緑色のアルマイトで処理された支柱。生産工場や生産時期により茶色系のアルマイト処理もあるようだ。同様のアルマイト処理はラフェッテのアルミ部品でも確認できる。
全長:540mm 直径:38㎜ 重量:968g
支柱上部の側面に打たれた刻印。三角形の中に「S 323」のマークは製造メーカー「Brandenburger Fahrrad- und Motorrad-Werke Excelsior Gmbh」を示す。製造年の「1940」、数字はかなり不鮮明であるが「495」バッフェンアムトが並ぶ。刻印の白色塗装は工場生産時に行われたもの。
この支柱は本項で紹介しているラフェッテ34と製造メーカー・製造年が一致する。
支柱下部の側面。大きさが僅か3mm弱の、見落としてしまいそうな「495」の小さなバッフェンアムトが打たれている。
強度が求められるクレイドル(銃架)差し込み部はブルーイング仕上げされたスチール製の別部品。
ジュラルミン製の筒に差し込まれたスチール部品は2本のピンで固定される。支柱上部から中を覗くと十字に交差する固定ピンが確認できる。また支柱内部は一部を除き、中空になっている。
ラフェッテ装着側。側面に設けられた金具が差し込まれたスチール部品の溝と嵌合し脱落を防ぐ。滑り止め防止のローレット加工が施された円形のボタン金具を押すと嵌合が外れて支柱が取り外せる。
ジュラルミン製とスチール製支柱の比較。
写真上(ジャーマングレイ塗装):ユーゴスラビアで戦後になって生産されたもの。ユーゴスラビアではMG42をコピーした機関銃、M53やラフェッテを使用していたため支柱も新規製造していた。材質はスチール製で一部を除き中空、支柱中央部がやや細く全長が16mm短い。
全長:524mm 直径:32.5mm(支柱中央部) 重量:1210g
写真中央(ダークイエロー塗装):スチール製で一部を除き中空。製造メーカー Die Hugo und Alfred Schneider A.G. を示す「wc」の製造メーカーコードと1942年生産を示す「42」の刻印が打たれている。ここからこの支柱は工場で生産された量産品ということになるが、前記の通りドイツ軍は鉄製の支柱を生産していない、または極少数のみ生産という情報がある。この個体は珍しいドイツ軍オリジナルの鉄製支柱の可能性、武器係が製造した個体に後から刻印を追加した可能性、戦後生産品(少なくともユーゴスラビア製ではないが全体の形状は近い)に刻印を追加した可能性などが考えられるが、どれに該当するかは判断できない。
全長:525mm 直径:32mm(支柱中央部) 重量:1073g
上の写真は左からユーゴスラビア製、ダークイエロー、ジュラルミン製。クレイドル差し込み部の外観寸法はドイツ軍の支柱とほぼ同じなので、ドイツ軍のクレイドルやラフェッテに問題なく取り付けできる。ジュラルミン製以外の2本はブルーイングではなく白磨き仕上げ。
ラフェッテ装着側。鉄製の2本は直径が細く、丸いボタン金具に滑り止めのローレット加工が無い。
クレイドルを取り付けた支柱。接続部分の左右への動きは非常にスムーズである。
支柱の取り付け基部。差し込んだ支柱はロックが掛かる。
ラフェッテ34は前脚を最大まで伸ばし、収納状態から一つロックを動かした前脚角度に設定。後脚は「4」の位置で固定すると、支柱の取り付け基部が真上を向く。上部マウントは折り畳んだ状態とし、光学照準器は取り付けない。
対空射撃用照準器と50連ドラムマガジンを取り付けたMG34を支柱を介してラフェッテ34に搭載する。この支柱はラフェッテ本体の生産数よりも少ないようだが、具体的な生産数は不明。部隊での運搬方法などもよく分からない。
マニュアル(1942年版の「A.Butz, M.G.34」)に掲載された対空射撃の例。MG34ではベルトリンクの引き込み力が弱く、100発以上の長いベルトリンクがぶら下がった状態で射撃すると作動不良を起こす可能性があるため、ドラムマガジンを使用するか、写真のように給弾手によって補助することが望ましい。
また少々わかりにくいがMG34を構える射手はサングラスを装着している。
初期型のMG34が装着された対空射撃姿勢のラフェッテ。支柱は本体よりも明るい色に見える。射撃の反動を抑えるため、地面に座った兵士がラフェッテ本体を保持している。
こちらの支柱も本体とは異なる明るい色。ラフェッテの後脚保持金具には金属製弾薬箱がぶら下がっており、ベルトリンク給弾を補助する兵士が配置されている。