■ラフェッテの分解・レストア その1


本項で紹介しているラフェッテ34は戦後に塗装されたと思われる分厚いグリーンの塗装が施されており、オリジナルのイメージとはかけ離れた印象。1940年に製造された当時のオリジナルに近い状態に戻すべく分解・レストアを実施。

機関銃用の3脚としては複雑な設計がなされた内部構造の一部を紹介します。


「ラフェッテを分解しよう!」という方はいないと思われますが、分解の要点を少し。

ラフェッテの各部品の接合にはボルト・ナットが多用されており、そのほとんどが「11mm」サイズに統一されている。フレームの主要接合部の2か所のみ14mmと19mmが使われているが、それ以外のサイズは使われていない。

射角調整装置などに使われているマイナスネジは強く締められており塗膜などの固着で非常に固いものがある。さらにマイナスネジの一部にはポンチを打ち込んで緩み止めを施している箇所がある。通常のドライバーでは回らないので打撃の衝撃でネジを回すインパクトドライバーが必要。 ネジの素材が比較的やわらかく、ネジ山が削れやすいので要注意。

写真の工具は1941年製の「ラフェッテ専用分解工具」。マウントフレームの前方にあるスプリング内蔵ダンパーだけは2つ穴の特殊なナットで固定されているため、この専用工具が無いと取り外しが難しく、ラフェッテ分解の最難関。これ以外の分解は、外観の目立つボルト・ナット・ネジから順番に外していけば困難な箇所はほとんど無いと思われます。




前脚と後脚、上部のフレームを外した中間フレーム。




射撃の反動を抑えるスプリングが内蔵されたダンパー。前後の特殊なナット(黒く写っている部品)の取り外しには専用工具を使っても手の力では回らず、大きな金づちでガンガン叩いてようやく外すことができた。

ダンパー本体はアルミ製?と思われ、ラフェッテではほかにも部分的にアルミ製の部品が使われている。これらの部品は、本体色では塗装されず無塗装で取り付けられる。






予備のボルトケース。







MG34が載るマウント部分が別になった2重構造の上部フレーム。




外側のフレームはプレス製のコの字型フレームを組み合わせただけの単純な構造。右側中央にある突起部分は何かのマウント取り付け部のようにも見えるが、内部には引き金機構が収まっている。


厚さ3mmの溝型鋼2本で機関銃マウント金具を挟むようにして溶接止めされている。主用部品はすべて赤茶の下地塗装が施されている。




マウントフレームの内側に設置された引き金機構。細長いロッドを介してラフェッテ後部にある引き金へ接続される。




これが一つ上の写真で紹介した引き金機構につながるロットの一部。シルバーの部品はアルミ製。




2重構造のマウント内部に異物が入らないようにするため、マウントフレームの後部は金属プレートでフタがされ、分厚いフェルトを挟むことで密閉性を高めている。













2重構造となっているラフェッテの機関銃マウント部分は外側のフレーム内に収まって射撃の反動で前後に動く。部品同士の摩擦を減らしてスムーズな可動を実現させるため、外側フレーム内部の四隅にひょうたん型の金属製ローラーを配置。マウント側の溝型鋼フレーム側面はローラーとの接点部分を斜めに加工することで、お互いのフレームが「面」ではなく「点」で支えられる構造を実現している。たかが機関銃マウントなのに、実に手の込んだ設計となっている。



黄色の丸で示した箇所の内部にローラーが設置されている。









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