■MG34 マニュアル(作動機構・作動不良の解説)


イラストを使いMG34の作動メカニズムや主な作動不良に関する解説が掲載された冊子。掲載品は1943年の第3版。ベルリンの出版社「R.EISENSCHMIDT」で制作されたこの冊子は表紙の右上に「価格 0.3ライヒスマルク」表示があり、巻末には関連書籍の宣伝が掲載されていることから軍の正式マニュアルではなく市販品と思われる。

表紙サイズは縦14.5×横20.8cm。12ページ。

他のページで紹介している「ボルト作動のメカニズム」と内容が一部重複するが、本項ではこの冊子に掲載しているイラストを基に作動方式と作動不良について紹介する。




緻密なイラストが上下に並び、簡単な文字で解説されている。







出版社関連商品の宣伝と思われる内容が2ページにわたり掲載されている。




表紙。




■図1
薬室内に弾薬は無く未装填。ボルトが前進位置にありボルトは回転して銃身とロッキングしている。ボルト内のファイアリングピンもコッキングされていない前進位置。銃の保管、運搬時などはこの状態。

■図2
コッキングハンドルを少し引いた状態。ボルトが左回りに回転し銃身とのロッキングを解除。ボルトの動きに連動しボルト内部のファイアリングピンも後方へ下がる。




■図3
コッキングハンドルを引き、弾薬が装填されている。発射準備が完了している状態。ボルトはシアーによって後退位置で保持。ボルトを押すリコイルスプリングは圧縮されている。ボルト内のファイアリングピンもシアーで保持され後退位置にある。

■図4
トリガーを引きシアーが下がると解放されたボルトはスプリングの力で前進。ボルトはフィードトレイ上の弾薬を拾って薬室に押し込む。図はボルトが閉鎖される直前の状態、ボルトはまだ回転していない。この時、ボルト内のファイアリングピンはシアーに保持されているのでまだ後退位置にある。




■図5
ボルトが回転をはじめ、ボルトと銃身がロッキング途中の状態。ボルト内のファイアリングピンは引き続きシアーに保持。

■図6
完全閉鎖した状態。閉鎖と同時にファイアリングピンのシアーが開放され、ファイアリングピンは前進。雷管を叩く。図のファイアリングピンはシアーが外れ前進中。




薬室部を右側から見た図。MG34のロッキングシステムは閉鎖用の溝が斜めに加工されているため、高圧時にはショートリコイルが作動する前にロッキングが早期開放される恐れがある。そのためバレルジャケット基部の右下に「ボルトキャッチ」と呼ばれるバネで可動する爪(図中:Verschlußsperre)を設け、ボルトヘッドの後退を妨げる。




■図7
発射された弾丸が銃口を離れ銃身とボルトが一体となってショートリコイルしている状態。発射された弾丸が銃身内にある限り、銃身とボルトはロックされ動かない。ファイアリングピンは雷管を叩き前進位置にある。

■図8
ショートリコイル中、ボルトはレシーバーに加工された斜めのガイドレールに沿って後退するため、ボルトは左側へ回転し閉鎖を解く。この回転に同調して前進位置にあったファイアリングピンは後退しシアーに保持される。また後退するボルトはエキストラクターによって薬室から空薬莢を引き抜く。後退した銃身はバレルリターンプランジャー(ボルトの下に描かれた細長いピン状の部品:Vorholstange)によって元の位置へ押し戻される。




図7の補足解説。ボルトキャッチは簡易な構造ながらショートリコイル時には機能せず、図のようにボルトは後退できる。ボルトのみが後退しようとする場合のみこれをストップさせる。




■図9
エキストラクターによって引き抜かれボルトと共に後退する薬莢。エジェクターはレシーバーに設けられたエジェクタープレートに当たり、エジェクターを押す。エジェクターによって底部が蹴られた薬莢はレシーバーの下へ排出される。




よくある作動不良に関する解説。

■図1
薬莢が正しく排出されず前進中のボルトに挟まっている状態(排莢不良)。次弾はすでに薬室へ装填されている。

コッキングハンドルを引きボルトを後退させる、安全装置を掛ける、フィードカバーを開け弾帯を外す、薬莢を取り出す、フィードカバーを閉じ1発だけ発射、再装填し射撃を継続。
同様の排莢不良が続く場合、エジェクターが摩耗しているためボルトを交換、薬室が汚れているため銃身の交換、リコイルブースターシリンダーが汚れていれば清掃する、バレルジャケットが曲がっている、バレルリターンプランジャーが正しく動いていない、エジェクタープレートが摩耗しているなど複数の要因が挙げられる。

■図2
ボルトが前進位置にあり未発火の弾薬が薬室に残っている、不発の場合。

コッキングハンドル引き、不発弾薬を排莢、射撃を継続する。
不発が続く場合、ファイアリングピンのバネが弱っている、または短すぎる、または摩耗・破損しているためボルトを交換する。




■図3
引き抜いた薬莢が上手く排出されず、薬莢と次弾が銃身とボルトの間に挟まる。

エジェクターが破損または摩耗しているためボルトを交換する。

■図4
発射済みの薬莢が薬室から引き出されず、装填途中の次弾が詰まっている状態。

フィードトレイから詰まった弾薬を除去、薬室が非常に汚れているため銃身を交換する。同様の不良が多発する場合、エキストラクターが破損・摩耗しているためボルトを交換する。




■図5
次弾をベルトリンクから押し出せない。

コッキングハンドルを引く、安全装置を掛ける、ベルトリンクから該当の弾薬を外す、再装填し射撃を継続。多発する場合はベルトリンクの破損・変形を確認する。

■図6
次弾がフィードトレイ上で動かない。

ベルトリンク送り部のブロックを交換する。




■図7
弾薬の下にボルトが引っ掛かり途中で止まっている。

ベルトリンク送り部のブロックを交換する。

■図8
弾薬が装填されずボルトだけが前進する。

ボルト上面に設けられた弾薬押出金具(Ausstoßer)の摩耗、またはバネが弱っているためボルトを交換する。

■図9
弾薬が装填されることなくボルトが前進している。弾帯がフィードトレイに対して正しく装着されていない、またはベルトリンクに対して正しい位置に弾薬が保持されておらず、給弾口に引っ掛かっている。

コッキングハンドルを引き安全装置を掛ける、フィードカバーを開き弾帯を外す、弾薬をベルトリンクの正しい位置に戻す、再装填し射撃を継続。




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