■MG34 マニュアル 「A.Butz, M.G.34」 その2
引き続き、1942年版のMG34マニュアル「A.Butz, M.G.34」から、全文の日本語訳と掲載画像を紹介。
III. M.G.34の装填と安全措置
使用される給弾具・容器(用途の対応)
ベルト給弾
50連ドラムマガジン(場合により l.M.G. 用弾薬箱から) → M.G.34を軽機関銃(l.M.G.)として2脚/三脚から地上目標を射撃する場合。
(l.M.G. 用)弾薬箱 → M.G.34を重機関銃(s.M.G.)としてM.G.ラフェッテ34に載せる場合。
50連ドラムマガジンまたは (l.M.G. 用)弾薬箱 → 三脚またはM.G.ラフェッテ34+対空射撃用支柱34での対空射撃。
50連ドラムマガジン → 対空回転支柱台に据えたM.G.34、または射手の肩撃ちによる対空射撃。
36型弾薬箱 → 連装銃架に据えたM.G.34。
布製弾薬袋、またはサドルマガジンによる給弾(Patronentrommel 34) → 装甲車・偵察車に車載されたM.G.34。
1. 装填
M.G.34を重機関銃として扱う場合の装填/排莢、安全装置の操作は、軽機関銃として扱う場合と原則同じ。M.G.34を軽機として用いるときは、基本的に50連ドラムマガジンを使う。長時間同位置にとどまるとき、またはドラムマガジンがないときのみ弾薬箱から給弾する。50連ドラムマガジンの詰め替えを容易・迅速にするため、50(47)発ずつの弾帯を収めた弾薬箱を携行できる。
a) ベルト給弾の場合
(1) 50連ドラムマガジンから
号令「装填!」で装填動作に入る。 射手はコッキングハンドルを引きボルトを後退位置で固定させる。ボルトハンドルを前方位置へ戻すため「カチッ!」と音がするまで押し込む。直ちに射撃しないときは安全装置を掛ける。
フィードカバーが閉じた場合:
左手で50連ドラムマガジンを持ち、給弾口にあるフィードトレイの爪にドラムマガジンの固定金具を引っ掛けて装着する。ドラムマガジンは確実に固定すること。右手でスタータータブを持ちベルトリンクを水平に引き出す。最初の弾薬がフィードトレイのストッパーに当たるまでスタータータブをしっかりと引く。これで射撃準備が整い、引き金を引けば発射される。 ※引き金が故障する場合があるため、引き金が完全に前進位置にあることを確認する。「D」と「E」がはっきり見える必要がある。
フィードカバーを開けた場合:
スタータータブが無い場合はフィードカバーを開けた状態で装填する必要がある。 50連ドラムマガジンをフィードトレイに装着したのち、両手でベルトリンクをフィードトレイへ載せ、先頭弾がフィードトレイのストッパーに正しく接していることを確認。片方の手でフィードカバーを閉じる際、もう片方の手でベルトリンクがズレ落ちないようにしっかりと保持する。フィードカバーを閉じる時は、給弾レバーが右位置にあるか、ベルトリンク送りが左位置にあるか確認する。閉じた後、ベルトリンクを右へ引くことを推奨する。 スタータータブがある場合でも、フィードカバーを開けた状態で装填できる。
(2) 弾薬箱から
フィードカバー閉・開のどちらの場合も、基本要領は50連ドラムマガジン時と同様(ドラムの取り付けに関する手順だけが不要になる)。 射手2は弾薬箱をM.G.の左側に置き、弾薬箱のふたは右へ開く向きにする。重機関銃としての運用でカバー開の場合は、射手2が右手でベルトリンクをフィードトレイに載せる。カバー閉の場合は機関銃手がスタータータブを用いてフィードトレイに装填する。
スタータータブが無い場合はフィードカバーを開けた状態で装填する必要がある。この場合、ベルトリンクに装着されている最初の2発の弾薬は取り外して、2つの空のリンクを設ける。射手はこの空リンクを使って右手でベルトリンクを押さえて、フィードカバーを閉じる。(図30および図31)
b)サドルマガジンから給弾する場合
フィードカバーとフィードトレイを取り外し、サドルマガジン用フィードカバーを装着。左手でサドルマガジンを上から持ち、革製ストラップが手にかかるようにする。弾薬給弾口(マガジンリップ)の突起をサドルマガジン用フィードカバーの開口部に差し込む。これで射撃準備は完了。サドルマガジン装着時、先頭の弾薬位置を5mm程度、前進させておく必要がある。 ベルトリンクやドラムマガジンを装着し、ボルトが後退の射撃可能位置にある状態で機関銃を移動することは禁止されている。
c) “迅速な射撃”のための下準備(図32)
対空用の移動時・各種架台搭載時・携行時など、即応態勢が必要な場面ではボルトをコッキングせず、以下のように準備する。 (1)ボルト前進位置でベルトリンクをフィードトレイに差し込む。 (2)ベルトリンク送りを右へ動かす。 (3)フィードカバーを閉じる。 安全装置は掛けないこと。 発射するにはコッキングハンドルを引き(ボルトを後退の射撃位置へ)、再び前方位置へ戻す。
2.アンロード
a)ベルトリンク給弾による射撃後
(1)50連ドラムマガジンの場合 「アンロード!」の号令が発せられると、射手はコッキングハンドルを引き、安全装置を掛ける。リアサイトとフロントサイトを倒し、フィードカバーを開けてベルトリンクを外す。左手で50連ドラムマガジンをフィードトレイの爪から外す。銃身内に弾薬が無いことを確認(必要に応じてフィードトレイを持ち上げて確認)。安全装置を解除し、引き金を引いてボルトを前進位置へスライドさせる。ボルトはコッキングハンドルを持ちながらゆっくりと前進させてボルトが非コッキング状態であることを確認、フィードカバーを閉じる。
ボルトの非コッキング状態は撃針先端がボルトヘッドから突出している状態です。これはボルトキャリア後部にある三角形型突起の後端がエジェクター作動プレートの凹部と同じ位置にあることで確認できる。(図33)
(2)弾薬箱から → (1)と同様。50連ドラムマガジンを外す作業は省略する。
b)サドルドラムマガジンからの射撃後。
射手はロックを解除してサドルドラムマガジンを持ち上げて外す。以後の手順は弾薬箱からの射撃後のアンロードと同一である。
毎回のアンロード後(ベルトリンク給弾、ドラム給弾のどちらでも射撃後には)射手は自分の指揮官に、 「Entladen!(排出完了!)」 「Lauf frei!(銃身内クリア!)」 「Schloß entspannt!(ボルト弛緩!)」※ボルト前進状態 と報告する。 実包または空包で射撃したあらゆる戦闘練習の終了時には、班長は指揮官または分隊長に 「Entladen!」「Lauf frei!」「Schloß entspannt!」 と報告する。 射撃場での射撃においては、レシーバーとバレルジャケットを銃身交換時と同様にスイングアウトすること。
3. 安全装置と解除
ボルトが後退位置にあり、ただちに射撃しない場合、M.G. は常に安全装置を掛けなければならない。 安全装置の操作と解除は左手で行う。 射手は安全装置(ノブ付き)を安全にする際は 「F」へ(後方へ)、解除する際は 「S」へ(前方へ)動かす。 このとき右手の人差し指をトリガーガード内に入れてはならない。 安全装置を掛ける場合、ボルトは後方位置でなければならない。
IV. 部品の交換
1) 銃身交換
銃身は原則として200(250※)発の迅速な連続射ののちに交換しなければならない。1本の銃身から250発を超えて途切れなく射撃することは禁止。銃身交換の前にボルトおよびコッキングハンドルを最も後方の位置にし、二脚の位置が許すかぎり機関銃(M.G.)を後方へ引き、機関銃の安全装置を掛ける。 ※) 分離式ベルトの場合は200発、連続式ベルト(Patronengurt 33)の場合は250発。
a) I.M.G.の場合
(1) 銃身を取り出す(図34)
右手でグリップを握る。左手はバレルジャケット後部の下(リアサイトの下側)でつかみ、親指でバレルジャケットとレシーバーの結合をロックするラッチの前部をできるだけ強く押す。右手でレシーバーを銃口をやや上に向けて右へ回し、銃身が自由に後方へ滑り出るまで行う。 過熱した銃身はアスベスト製の耐熱パッドを用いてバレルジャケットから引き抜き、開いてある銃身ケースに置く。
(2) 銃身を挿入する
右手で銃身をバレルジャケットに挿入している間、左手はバットストックを持ってM.G.を少し持ち上げる。次に右手で銃身をバレルジャケットの奥まで差し込む(図35)。両手でレシーバーを水平位置よりも上に持ち上げながら左へ素早く回転させ、バレルジャケットとレシーバーを閉じる。
b) s.M.G.=三脚架「M.G.-Lafette 34」の場合
(1) 銃身を取り外す
ラフェッテの回転式軸受けにあるレバーを上へ強く引き起こす(これによってレシーバーのロックが解除される)。バレルジャケットと銃身が右へ回転する。スタータータブの端で銃身を後ろに引き抜くか、ラフェッテをぐっと引いて銃身をバレルジャケットから引き抜く。高温の銃身は耐熱パッドを使って完全に引き抜き(図36)、引き抜いた銃身は開いた銃身ケースに入れる。
(2)銃身を挿入する
銃身をバレルジャケットの奥まで差し込む(図37)。親指で触り、所定の位置に銃身があるか確かめてもよい。つづいて回転式軸受けのレバーを操作し、銃身が差し込まれたバレルジャケットを左へ回転。バレルジャケットとレシーバーを完全に閉じて、固定ラッチを確実に掛ける。(この作業は射手2の担当)
2.ボルトの交換
(前提:ボルトは非コッキング状態。フィードカバーを開け、バットストック/リコイルバッファー基部とリコイルスプリングを取り外す)
左手でレシーバー後部を覆う。右手でコッキングハンドルを引きボルトを一気に後退させる。左手でボルトを受け止めて取り出す。
ボルト装着前の確認・注意事項
・ボルトに汚れや砂の付着が無いことを確認する
・砂の付いた手でボルトを扱わない
・ボルトキャリアとボルトヘッド、ローラー付きガイドが一直線になっている(コッキングされている)状態であること
・エジェクターは完全に前進位置であること
・ボルトをレシーバーに挿入するときは引き金を引いてシアーの干渉を回避する
V.不具合防止のための点検
作動不良は武器に対する正しい知識、射撃準備の綿密な実施、および機関銃の適切な取り扱いによって最小限に抑えることができる。機関銃を扱う指揮官/下士官は規則・規定を熟知していなければならない。M.G.34の状態を正しく判断できるよう、武器に精通していなければならない。兵士の服装、姿勢などが整列するたびに検閲されるのと同様に、また同じ頻度で機関銃の状態も確認しなければならない。これらを怠れば、部隊の火力が低下し人命が失われる。 機関銃の射撃準備が適切に実施されなかった場合、以下の第6項に挙げる作動不良が起こる。ただし、必要な長時間連続射撃中の避けられない破損や自然消耗、および汚れに起因する場合はこの限りではない。
a) 弾薬、ベルトリンクおよび薬室
1) M.G.34 で射撃するには、可能なかぎり元箱入りの弾薬のみを用いること。元箱に入っていない弾薬は、原則として小銃から撃ち切るのが望ましい。
2) へこんだ弾、弾頭が押し込まれた弾、錆びた薬莢や汚れた薬莢の弾薬はベルトリンクに装填してはならない。
3) 各ベルトは、装填前に損傷の有無を点検すること。爪が曲がったベルト、ポケットが裂けたベルト等は使用不可。
4) 汚れたポケットや錆びたポケットは清掃すること。 ベルトリンクを装填する前に、内側のポケットは清潔でなければならず、薄くグリースを塗り込んでおくこと(ベルトリンク外面や弾薬には塗布しない)。
5) 装弾済みの状態で長期間保管する必要があるベルトリンクでは、ベルト片をパラフィン処理しておくとよい。
6) 装弾後のベルトリンクは各コマへの弾薬の正しい収まり・状態を点検すること(損傷した弾薬はベルトリンクから除く)。
7) 弾薬箱は 296 発または 294 発で満たされていなければならない。弾薬箱内での弾列の傾きに対処するため、ベルトリンクは次のように箱へ収める:
1. ベルトリンク2本を連結したもの(スタータータブ無し、ベルトリンクの始まりと終わりのコマを除く 97 発分)— 弾頭を射撃方向に逆向きにして収める。
2. ベルトリンク4本を連結したもの(スタータータブ付き、終わりのコマを除く 199 発分)— 弾頭を射撃方向に向けて収める(図38)。
3. I.M.G.(軽機関銃)として用いる際に、50連ドラムマガジンへ補充するための弾薬を弾薬箱に収めておく場合はつぎのように配置する:
a) 下段:ベルトリンク2本を弾頭を射撃方向とは逆向きにして置く。
b) 上段:ベルト片4本を弾頭を射撃方向に向けて置く。
ベルトリンクにスタータータブが付いていない場合は両方のベルトリンクとも、最初の2~3ポケット、終わりの1ポケットは弾薬を装弾せず空けておくこと。これはベルトリンクをフォードトレイに差し入れる作業およびフィードカバーを閉じる作業を容易にし、最後の射撃直前でのベルトリンクの引っ掛かりを防止する。
8) サドルドラムマガジンは、へこんでおらず、リップ部が曲がっていないこと。ぜんまいの張力は正しく調整されていなければならない。張力が正しいかどうかは、最初の弾が手で軽く押し出せるかで判断できる。必要に応じ、75発より少なく装填すること。75発ぎりぎりまで入れて作動不良が生じるよりも、少ない装弾数で確実に射撃できる方がよい。サドルドラムマガジンを装着する前に、最初の弾をおよそ0.5cmほど前進させておくのが望ましい。 サドルドラムマガジンの使用は現在では一部の装甲車両のみである。※注釈:サドルドラムマガジンの装填は特に丁寧に行うこと。
9) 銃身について、銃口部に打痕がないか、薬室およびバレルエクステンションが清潔かを点検する(予備銃身でも同様)。
b) 銃身の保持とガイド
1) リコイルブースターを外し清潔であるか(特にリコイルブースターのコーン)点検する。銃身の前方支持とガイドを与える反動スリーブ(Rückstoßhülse)の内側(特に銃身と接する部分)に汚れがあってはならない。リコイルブースターは確実にねじ込まれ、ゆるみ防止のラッチによってしっかりと保持されていなければならない。
2) 銃身がバレルジャケット内で正しく保持・ガイドされているか点検するために、バレルジャケットまたはボルト後退状態で、銃身を数回後退・前進させる。
3) 空包発射装置(Pl.Patr.Ger.)使用時は差し込み部がソケット内で無理なく動くかを点検する。
4) 銃身位置戻しロッド(Vorholstange)の作動がスムーズであるか点検する。これには、演習用ダミー弾を用いるか、木片に押し当てて押し込みと解放を行いばねを検査する。
c) ボルトの保持・ガイド・作動性能
(引き金装置および送弾機構を含む)
1) ボルトの点検項目:
a) ボルトキャリア内での自由な動き(前進・後退を数回行い、無理なく動くか確認)。
b) エジェクターばねの効きと摩耗状況。
c) 損傷のない閉鎖用の突起と、スムーズに動くローラー付きガイド突起。
d) 閉鎖用カムが損傷していないこと。
e) シアーレバー(Stützhebel)の確実な作動。これは、ボルトヘッドが回転を始める時点で撃針を正しく保持していなければならない(撃針ナットは最後までねじ込まれていること)。
f) 損傷のないボルトキャリア(ランプ、傾斜面、ガイドレール)。
g) 撃針の確実な作動。ボルトが非コッキング状態のとき、撃針の先端はボルトヘッドから正しく突出していなければならない。撃針先端にはバリがなく、曲がりもあってはならない。
h) 撃針ばねの張力:撃針に差し込んだ状態で、ばねは撃針のねじ部を少なくともねじ山2巻き分は越えて前方に突き出していなければならない。
i) ばね受け(Federlager)の正しい収まり。
k) エキストラクターおよびエジェクターの正常作動(エジェクター後端部の縁および面取りを点検する)。
2) 機関部のエジェクター作動プレート(Auswerferanschlag)が摩耗していないか、緩んでいないかを点検する(ダミーカートで装填・排出を行い、ダミーカート〔実射では薬莢〕が鋭く下方へ排出されるか確認する)。— 予備部品(銃身とボルト)についても同様に点検すること。
3) リコイルスプリングが十分な張力を有するかを点検する(コッキングハンドルでボルトを後退させる際、明確でかつ連続的に増していく抵抗を感じられなければならない)。ばねの長さは、機関部後端から中央の2脚装着部を越える長さを少なくとも有していなければならない。
4) トリガーレバーが固着していないか、シア突起がボルトを確実に保持し、トリガーを引いたとき正しく解放するかを点検する。
5) 給弾機構内の各部を点検する(給弾レバー、ベルトリンク送りレバー、押さえレバーなど)。
6) ボルトキャッチの当たり部は摩耗していてはならない。銃身がボルトヘッドにより閉鎖されている状態では、ボルトキャッチはローラー付きガイド突起を確実に乗り越えて嵌合しなければならない。またボルトキャッチの動きは汚れ等で阻害されてはならない。ボルトキャッチの不良は作動不良(不発・停止)および薬莢の破断を招く。
7) 使用直前には可動部分に対して銃用潤滑油を薄く塗布しておくこと。なお旧仕様のM.G.用油を使用する場合は、さらに硫黄パウダー(Schwefelblüte)を軽く散布する。その際の要領は次のとおり:
・銃身バレルエクステンション(バレルエクステンション両サイドの突起)の外側
・ボルト
・給弾機構
・銃身位置戻しロッド
・給弾レバー
d) 射撃架台
M.G.-ラフェッテ34では照準装置がスライドレール上を大きな遊びが無く横方向に動くか注意すること。後部脚を固定するためのネジとこれの受け側に設けられたゆるみ防止の凹凸は正しく噛み合っていなければならない。銃架の動きの滑らかさ、銃架の突起(縦深射撃装置を作動させる)からの正しい距離、および縦深射撃装置までの距離(5–7 mm)、さらに自動縦深射撃装置ならびに引き金機構の確実な作動を確認すること。
VI. 作動不良発生時の措置
射撃開始時に作動不良が発生してはならない。その場合の責任は常に射手にある(射撃のための準備不十分など)。射撃中には射手に責任がなくとも次の理由で作動不良が起こり得る。
a) 兵器の汚れ
b) 各部の摩耗・損傷・破損
c) ばねのへたり・折れ
射手の操作とは無関係に射撃が途切れた場合、射手は引き金から指を離し右手でコッキングハンドルを引いてボルトを後退位置にし、安全装置を掛ける。(安全装置レバーはボルトが後退位置にあるときだけ後方へ回す。)ボルトが後退位置で保持されない場合は、右手でコッキングハンドルを保持したまま、左手でフィードカバーを開けること。 コッキングハンドルを後退させる際、射手は(可能な限り)排莢口から
a) 実包
b) 薬莢
c) 何も出ない
のいずれになるか注目すること。
a) について:コッキングハンドルでボルトを引いた際、実包の排出が明瞭なら、続射を試みてもよい。
b) および c) について:ボルト後退時に薬莢が落ちた、あるいは何も出ない場合、決して続けて撃とうとしてはならない。ただちに安全にし、左手でフィードカバーを開け、フィードトレイからベルトリンクを外し、機関部前方または銃身(薬室)に実包が残っていないかを点検する(必要ならフィードトレイを跳ね上げる)。
機関部前方に実包がある場合はできるだけ速やかに除去する。すでに薬室に入っている場合はフィードカバーを閉じ、ベルトリンクを入れずにボルトを前進させる。それでも発火しない場合、ボルト解放状態での高温の銃身内での自然発火を防ぐため、訓練・戦闘射撃ではボルトを3分間前進位置に保つこと。短時間待っても発射しない場合は、ボルトと銃身を交換する。加熱された銃身に実包が装填された状態ではすぐに銃身交換してはならない。銃身内に残った実包は武器係が取り除くこと※。
※夜間であっても、2重装填(薬室に実包がある状態でさらに次弾を押し込む)や並列装填(2発が横並びで同時に送り込まれる)を確実に防ぐためベルトリンクを外し、フィードカバーを閉じた状態でボルトを前進させておくのが望ましい。
銃身内に実包ではなく薬莢が残っている場合(薬莢の詰まり)、フィードカバーを開けて薬室に残っている薬莢を取り除き、銃身を交換する。薬室に薬莢が残っている場合は、できるかぎり速やかに薬莢引き抜き工具で除去する。引き抜き工具が無いときは、武器係が専用具で引き抜く(押し出す)。薬莢除去後は薬室を念入りに清掃するのが望ましい。
機関銃手は作動不良が発生した際、できるだけ速やかに再射撃可能な状態へ戻すよう努めなければならない。
技術的に複雑な兵器(M.G.08)では各作動不良の原因が固有の症状を示す。技術的に単純な兵器(M.G.34)では、複数の原因が同じ症状を呈することがある。ゆえにM.G.34では原因の特定は第二の課題である。作動不良によりM.G.本体や付属品(ボルト、ベルトリンク、サドルドラムマガジンなど)の破損・損傷した部品を予備品と交換した場合、その交換品は可能な限り再使用可能に修理するか、新たに補充すること。
VII. よく起こる作動不良―その見分け方と除去
1) 武器の状態 ボルトが弾をくわえたまま前進中に停止。薬莢が薬莢排出口に引っ掛かっている(いわゆる“ストーブパイプ”)。
原因 エジェクターの摩耗。
結果 エジェクターがエジェクター作動プレートに確実に当たらず、薬莢が外へ「排出」されずに、ただ置かれるだけになる。
対処 コッキングハンドルでボルトを後退させる。挟まっていた薬莢は落ちる。セーフティを掛け、フィードカバーを開く。ベルトリンクを外し、ボルトで前に運ばれて機関部内に残った弾薬を取り除く(またはフィードカバーを閉じてそれらを撃ち切る)。再装填して射撃を続ける。不良が繰り返し起こる場合は、ボルトを交換
原因 薬室の汚れ。
結果 薬莢が薬室内で張り付く。固着した薬莢によりボルトが十分な力で後退しない。その結果、エジェクターがエジェクター作動プレートに鋭く当たらず、薬莢は排出されずに単に置かれるだけになる。
対処 必要に応じて銃身交換を行うこと。 不具合が完全に直らない場合は兵器係(Waffenmeister)による機関銃の点検を受けること。
原因 エジェクター作動プレートの摩耗 銃身がバレルジャケット内でスムーズに動かない バレルジャケットの歪み バレルジャケット後部、銃身受けの損傷 リコイルブースターの汚れ 銃身位置戻しロッドの不良作動
結果 反動力が銃身や銃身位置戻しロッドによって過度に失われて、ボルトが十分な力で後退しない。そのためエジェクターがエジェクター作動プレートに鋭く当たらず、薬莢は排出されずに単に置かれるだけになる。
対処 上記と同様(必要なら銃身交換。完全に直らなければ兵器係が点検)。
2. 武器の状態 ボルトが前進位置で実包をくわえたまま停止(いわゆる「不発」)
原因 撃針ばねが弱い、または撃針先端が摩耗/折損。
結果 発射しない。
原因 実包のへこみ/損傷。
結果 閉鎖完了後にボルトが前進位置で保持されずに跳ね返り、撃針が雷管を正しく打撃できない。 (原因がボルトキャッチの摩耗である場合、しばしば「不発」と薬莢底部裂損が交互に起こる。)
対処 コッキングハンドルでボルトを後退させ安全装置を掛ける。実包が確実に排出されたことを確認できれば、射撃を継続してよい。不具合が繰り返し発生する場合は、まずボルトを交換する。それでも完全に直らないときはベルトリンクを交換、または兵器係による点検を受ける。
3. 武器の状態 ボルトが前進運動の途中で停止。実包1発と薬莢1本が機関部前方にある。
原因 エジェクターの著しい摩耗または破損。
結果 エジェクターがエジェクター作動プレートの下をすり抜けてしまい、薬莢を排出できず、次の実包と一緒に機関部前方へ送ってしまう。
原因 エジェクター作動プレートが緩い、または著しく摩耗。
結果 同上(薬莢が排出されず、次の実包とともに機関部前方へ送られる)。
対処 コッキングハンドルでボルトを後退させる―何も排出されない―安全装置を掛ける。フィードカバーを開き、実包と薬莢を取り除く。ボルト交換。不具合が再発した場合は兵器係で点検を受ける。
4. 武器の状態 ボルトが前進運動の途中で停止。薬莢が薬室に詰まっている。
原因
過度に汚れた薬莢
過度に汚れた薬室
エキストラクターが摩耗、または折損
結果 薬莢が詰まった薬室へ実包が送られてしまう。
対処 ボルトをコッキングハンドルで後退させる ― 何も排出されない。安全装置を掛ける。薬莢および実包を取り除く。銃身を交換。再装填し、射撃を続ける。不具合が再発した場合は兵器係で点検を受ける。
繰り返し発生する場合: ボルトを交換
5. 武器の状態 ボルトがわずかにしか前進していない、弾薬がベルトリンクから外れなかった。
原因 弾薬がベルトリンクの中で固着している。リンク片が曲がっている。 リコイルスプリングに弾薬を押し出す十分な力が無い(スプリングの劣化)。
結果 ボルトが十分に前進しないため、薬室に弾薬が送られない。
対処 ボルトをコッキングハンドルで後退させる―何も排出されない。安全装置を掛ける。フィードカバーを開ける。ベルトリンクから弾薬を取り除く。再装填し、射撃を続ける。 繰り返し発生する場合 ボルト交換
原因 エキストラクターが摩耗しており、薬莢を引き抜けない。
結果 薬莢が引き抜かれない(排出されない)。
対処 ボルト交換。
原因 ベルトリンクの連結部が正しく結合されていない。
結果 ボルトの動作が阻害される。
対処 フィードカバーを開き、ベルトリンクを取り出し、実包を2発取り除く。 装填して射撃続行。 (再発時) 機関部(ボルト可動部・本体)を清掃し、注油する。
原因 ボルト可動部および機関部が汚れている(埃・塵)。 ダストカバーが閉じられていなかった。
結果 ボルト作動が妨げられる。
対処 機関部を清掃し、注油。 (再発時)ボルト交換。
原因 ボルトのピンが緩んでいる/折損している、またはエジェクターが曲がっている。
結果 (症状)前項と同様。
対処 ボルト交換。
6. 武器の状態 ボルトが途中で止まり、実包が機関部前方で引っ掛かっている。
原因 給弾機構にある前方または後方の押しレバー不良。実包が均等に下へ押されていない。
結果 実包が薬室に対して正しい角度で送られない。
対処 ボルトを後退させる―実包は排出されない―安全装置を掛ける。フィードカバーを開け実包を取り除く。射撃を続ける。可能であればベルトリンクを右に少し引く。前方または後方の押しレバー部品を確認し、損傷があれば武器係によって交換する。
7. 武器の状態 ボルトが少ししか前進しない。ベルトリンクが給弾口で引っ掛かり、これによって次の実包が斜めに送り込まれてしまう。
原因 ベルトリンクが正しく保持されていない、または前方へ行き過ぎてしまっている。
結果 実包が薬室へ斜めに送られる。
対処 ボルトを後退させ―薬莢は排出されない―安全装置を掛ける。フィードカバーを開け、ベルトリンクを取り出す。実包を取り除く。フィードカバーを閉じ、ベルトリンクを再装填し、射撃を続ける。
8. 武器の状態
a) ボルトが実包を持たないまま前進する。ベルトリンクの上に実包が残り、薬室が空。
原因 弾薬押し金具が摩耗または破損、給弾ばねが折損、または給弾レバーが動作不良。
結果 実包はベルトリンクから抜けず、ボルトは実包なしで前進してしまう。
対処 ボルトを後退させ―薬莢は排出されない―安全装置を掛ける。 フィードカバーを開けてベルトリンクを取り出し再装填、射撃を継続する。 繰り返し発生する場合、ボルトを交換する。
b) 上と同様だが、ベルトリンクの上に実包が無い場合。
原因 送りばねが弱い、または動作不良。送りレバーがずれて次の実包を押し込まない。
結果 ベルトリンクが前進しない(または後退する)。
対処 ボルトを後退させ―薬莢は排出されない―安全装置を掛ける。フィードカバーを開けてベルトリンクを取り出す。再装填し、射撃を継続する。 武器係が送りレバーを交換する。
9. 武器の状態 引き金から指を離しても射撃が続く。
原因 引き金突起が引っかかって固着し、溝に入らない。
結果 閉鎖機構の溝や機関部が汚れている(埃など)。ボルトキャリアにシアーが正しく嚙み合わず、シアー突起を飛び越える。
対処 a) 射撃を停止させるため、ベルトリンクを押さえてフィードカバー開ける。 b) 射撃を継続するには、ボルトを前進位置で保持しフィードカバーを閉じる。コッキングハンドルでボルトを後退させる。 引き金機構の清掃または武器係による点検を行う。
10. 武器の状態 ボルトがコッキングハンドルで後退しない。
原因 コッキングハンドルが正しく操作されていない。コッキングハンドルの破損。
結果 コッキングハンドルの後退に合わせボルトが後退しない。
対処 フィードカバーを開け、給弾機構からベルトリンクを外す。木片などの道具を使ってボルトを後退させ、給弾機構の下部に当てて衝撃を与え、固着を解消する。銃身交換または作動を点検する。
11. 武器の状態 発射ガスの一部が後方に吹き返す(薬莢底部破損)。
原因 ボルトキャッチの作動不良 結果 弾丸が銃身を離れる前にボルトが後退を始める。薬莢がガス圧で引き裂かれる。多くの場合、シアー・レバーが曲がり、エキストラクターが押し出される。
原因 撃針ナットが十分にねじ込まれていない、または緩んでいる。撃針を保持するシアー・レバーの接点が摩耗している。
結果 シアー・レバーが撃針カラーの前に出ない。弾薬が完全に薬室へ入る前に撃針が解放される。その結果、薬莢底部に破断が生じる。
対処 銃身とボルトの交換。破損した薬莢の残りや、破損した機関部の部品などを取り除き、射撃を続行する。武器係による点検を受ける。
12. 武器の状態 閉鎖(ロッキング)が完全に行われない。
原因 ローラー付きガイド突起の汚れ、または異物の付着。 閉鎖用の溝が損傷している。 銃身位置戻しロッドが正常に作動していない。
結果 ボルトの閉鎖用突起が、バレルエクステンションの閉鎖用溝に正常に噛み合うことができない。
対処 フィードカバーを開けベルトリンクを取り出す。銃身交換またはローラー付きガイド突起の清掃。必要であればローラー付きガイド突起を交換。または銃身、ボルトの交換。 同じ問題が生じる場合、武器係による点検を受ける。
VIII. M.G.器材の取り出しと所定位置への運搬
M.G.器材が車両(自動車または馬牽引)に搭載されている場合、荷馬または背負子に積まれている場合、あるいは自転車またはオートバイで携行されている場合には、行進中に合図または命令によってM.G.器材の取り出しと所定位置への運搬を行う。 射手たちは、要員の編成(p.68および71参照)に従って携行すべき器材を車両などから取り出す。 M.G.-ワーゲン(第5節)でM.G.器材を伴行させる場合には、次のように行うのが望ましい。
(1) M.G.がまだM.G.-ワーゲン内の収納箱に入っている場合(連装架台36に搭載されていないとき)、右側M.G.要員の射手1と、左側M.G.要員の射手1は、それぞれ左側または右側の収納箱からM.G.を取り出し、銃床と2脚をM.G.に取り付ける。要員の射手2は、それぞれのM.G.-ラフェッテ(右側M.G.は右ラフェッテ、左側M.G.は左ラフェッテ)を固定具から外し降ろす。M.G.およびM.G.-ラフェッテが車両から降ろされている間、要員の射手4または5はM.G.-ワーゲンに乗り込み、側板に収められている器材を出す──右側は右M.G.の器材、左側は左M.G.の器材。
(2) M.G.が連装架台36に装着され、かつ連装銃架36に射手が着座している場合(例:右側M.G.要員の射手1)、この射手はまず左側M.G.要員のM.G.をM.G.-マウントから外し、それを要員の射手1に引き渡す。ついで自分のM.G.をM.G.-マウントから外し、要員の射手3に手渡す。射手2は前記(1)の要領で行動する。左側M.G.の器材を取り出すために、射手4または5がワーゲンに乗り込む。右側M.G.要員の射手3は、銃床と二脚を取り付けた後、車両の進行方向の脇にM.G.を置き、右側M.G.要員の射手1がすばやくM.G.を受け取れるようにする。残りのM.G.器材は、右側M.G.要員の射手1と、左側M.G.要員の射手4または5によって、前記(1)と同様に取り出される。
(3) 例外的に連装架台36のM.G.-マウントにM.G.があり、連装架台36に射手がいない場合には、両要員の射手4または5が、(1)と同様にM.G.器材に加えて、該当するM.G.要員の射手1に対し、M.G.をM.G.-マウントから外して渡す。
「前」「後」の呼称は進行方向を基準とする。 示した手順は目安にすぎず、各射手の作業は互いに重なり合って進行する。
IX. 収納から取り出したM.G.の設置
a) 軽機関銃(l.M.G.)において
器材の受け取りと取り置き。
M.G.器材の設置
1. M.G.34は2脚を折りたたんだ状態で、右足のすぐ右側に直立させる。トリガーガードは後方に向ける。バットストックは右足つま先の位置で揃える(=つま先と同じ位置にくるように置く)。右手はM.G.のバレルジャケットをつかむ。
2. 弾薬箱(Patronenkästen)または50連ドラムマガジンは足先の前方一箱分の長さだけ離して置く。
3. 背負うもの:
a) 射手2は予備銃身ケース
b) 射手3は小銃と予備銃身ケース
4. l.M.G.34、予備銃身ケース、および射手の小銃を地面に置くときは叉銃にする。2脚は折りたたむこと。
「小銃を肩に掛けよ!」「小銃を背へ!」「小銃を首へ掛けよ!」の号令で、射手1は右手で銃のスリングをつかむ。両手でM.G.を右肩に掛け、位置を整える。 射手2および3は左足を一歩前へ出し右膝をつく。弾薬箱と50連ドラムマガジンをつかむか、または弾薬箱携行ベルトを握り手に掛ける。ついで後方へ立ち上がり、「休め」に移る。
停止時には、「休め」「隊列・間隔保持」および「整列」の後に、「小銃を外せ!」あるいは「器材を降ろせ!」の号令がかかる。 M.G.は両手で肩から外して、所定の位置に立てる。 射手2および3は前方へ膝をつき、弾薬箱とドラムマガジンを降ろす。ついで後方へ立ち上がり、「休め」に移る。
b) 重機関銃(s.M.G.)において
s.M.G.でのM.G.班の整列は、下図のとおりに行う。
号令:「一列に整列!(In Reihe antreten!)」
x 1)= M.G.-Lafette 34.
射手1は、M.G.(2脚を前方支持として用いる)を自分の右隣、半歩の位置に置く。
射手2は、折りたたんだM.G.ラフェッテ(上部架台を上にして)を自分の右隣、半歩の位置に置く。 M.G.班は図のとおりに整列する。器材を降ろし、M.G.班は「休め」に移る。
X. M.G.器材の携行
1. 行軍において
M.G.34をM.G.-Lafette 34に据えたものは、行軍では原則として取り外して携行する。
a) M.G.34
スリングは右肩に掛け、右手はスリングまたグリップに置く(図39)。
休めの姿勢でMGは左肩に担ぐ方式や図40・41のような方法で運べる。バレルジャケットの曲がりや銃身の噛み込みを避けるため、バットストックを後ろ向きにした担ぎ方は禁止。排莢口のダストカバーは閉じておくこと。
三脚(M.G.-Lafette 34)はスリングベルトを背中に掛けて運ぶ(図42)(スライドレールが下向き)。掛け替えの際は仲間が補助可。バリエーションとしてスライドレールが上向きでも運べる。
2.戦闘時
M.G.34本体は中央で左右に分かれるスリングで、もしくは体の中心より斜め前で運ぶ。敵から見てMGと気づかれにくくする意図(図43・44)。
ラフェッテは短距離なら射撃姿勢のまま運べる。長距離では折りたたみ、右または左肩にベルトで背負う(図45)か、手に持ってレールを背面に向ける。匍匐時は、背中でスライドレールを後方に向けて運搬できる。
XI. 射撃姿勢
a) 軽機関銃
M.G.34の命中率(目標上でのグルーピング)は正しい射撃姿勢に強く依存する。銃身の軸方向の側方支持は左右方向のグルーピングに、2脚や肩による上下支持は上下方向のグルーピングに影響する。正しい姿勢の最良の見本はラフェッテだが、軽機関銃の場合は射手の体の使い方と支持方法(2脚/3脚)でそれを代替する。
「伏射 — 前方支持」 二脚の高さ設定は、平地で射手の体格に合うように。地形で調整が必要なら、銃を少し引き、右手でスリング(またはバレルジャケット)を持ち上げ、左手で二脚の調整ネジを回して合わせる(図46)。体は射撃方向と一直線に置き、延長した銃身軸が体の中心を通って後方へ伸びる姿勢をとる(図47)。2脚・肩・両肘で均等に支え、体重で軽く前方へ2脚に圧をかける。バットストックは左手で肩にしっかり引き付ける。肩と2脚の間は堅固に保持するが、力まず自然体の射撃姿勢を保つ(図48・49)。
傾いて設置された機関銃が射撃姿勢で取り回しにくい場合は、わずかに後ろへ引き戻すだけで、2脚での機関銃の取り回しが楽になる。
こわばった緊張はすべて避けねばならない。 機関銃に対する身体の位置が不適切であったり、2脚へ無理に肩をすくめて押し込む/もぐり込むような姿勢をとると、グルーピングは身体の置き方と「肩 ― 2脚」の位置関係に応じて、左上または右上へと移動する。 照準器の設定 射手は上体を起こすことなく右手または左手でリアサイトを起こし、射撃距離調整スライダーのボタンを押して、スライダーを適切な距離目盛に合わせる。
2. ひざ射ち — 三脚(Dreibein)上のM.G.
地上目標射撃において、地形や地表の形状で2脚での射撃が不可能なときは、より高い射撃姿勢を得るために三脚〔Dreibein〕を前方または中央の支持(バレルジャケット前方または後方)として用いることができる。 戦況に応じて、うつ伏せ姿勢のまま三脚に機関銃を取り付け、機関銃を装着したあと、ひざ射ちの姿勢に三脚を据え付けることもできる。 そのために射手は三脚の銃架(Aufsatz)を三脚から取り外し、三脚をできる限り低く据え付ける。
射手1は三脚の銃架を受け取り、機関銃のフロントサイトとリアサイトを起こし、三脚銃架を機関銃の中央支持または前方支持に取り付ける。この銃架と軽機関銃は三脚の上部支柱に組み込む。 ひざ射ちに移行する際、射手は片ひざまたは両ひざをつき、肩をしっかりバットストックに当て、左手で下方からバットストックを抱え込む。安定性を高めるため、遮蔽物の背後でのひざ射ちでは、射撃中に三脚を別の射手が保持してもよい。
注釈: 前方支持で射撃する場合、2脚は中央支持用の溝に差し込む。中央支持で射撃する場合、2脚は折り畳んだままとする。
3. 立射 — 三脚上のM.G.
高さのある植物・傾斜地・溝等の背後では立射を要することがあり、M.G.を三脚に載せるか、射撃架台なしで草地・土のう等の上に載せることが必要になる場合がある。立射では脚の開き(狭く/広く)を変えることで高さを調整できる。
4. 座射
掩護(遮蔽物)や地形の状況に応じて、座った姿勢から2脚または三脚を用いて射撃することもできる。
5. 移動中の射撃
移動中に射撃するには50連ドラムマガジンから装填し安全装置を掛ける。すなわち、ボルトは最後端位置で保持(コッキング状態)し、ベルトリンクはフィードトレイに差し込む。2つ目の50連ドラムマガジンを射手は腰ベルトに携行する。 ついで射手は中央部が左右に分かれるスリングをバレルジャケット前部の取り付け金具から外し、首に回して、M.G.が体の右側に下がるようにする。 身長が低い射手の場合、バットストックが低く垂れ過ぎないよう、首に掛け直す前にスリングを1回半または1回(体格に応じて)ピストルグリップに巻きつけて調整する。M.G.の後部はガンナーズツールポーチの上に載るようにする。
跳び出すとき、右手はピストルグリップを、左手は2脚の右脚を任意の位置でつかみ、機関銃を左へ180度回し、体側へ引き寄せて保持する。 突入前に射手は安全装置を解除する。そのため右手をフィードカバーの上から回して操作する。
森林での捜索、霧発生時の行動、市街地進入など、移動射撃の準備をしたM.G.を持ったまま長時間移動する場合、M.G.は安全装置を掛けておく。 射手は移動中に武器を操る持ち手として2脚を用いる。早歩きまたは走りながら射撃し、M.G.はできるだけ水平に、進行方向に向けて保持する。短い連射を加える際は短時間立ち止まる、またはひざまずいてもよい。射撃のグルーピングは味方を危険にさらさぬよう、目標上に密にまとめる。
再び「射撃姿勢に入る」には、まず射手は前方の右ひざをつき、一時的にM.G.を左腿の上に置き、2脚を180度回し、M.G.を据え付けて射撃姿勢に入る。スリングは首に掛けたままとする。迅速な射撃が必要なときは、ただちにM.G.を2脚に載せて射撃姿勢に入ってよい。
射撃中に不発・給弾不良等の「阻害」が生じた場合、射手(射手1)は発砲せずに自身の突撃中の班に続行し、遮蔽の下でうつ伏せになってから初めて阻害を除去する。
近接戦闘では敵の頭上を大きく超える射撃は敵に気づかれないので、移動射撃では銃口を低く保つよう訓練しなければならない。遮蔽の直前または遮蔽上に多数の短射が撃ち込まれると、敵は多くの場合、もはや射撃を継続せず、火力から身を守るため後退する。
b)s.M.G.(重機関銃)について
M.G.-ラフェッテ を設置し M.G. を載せる際は、第II部第3項および第4項に従って実施する。この際、M.G.-ラフェッテ の支柱(脚)が M.G. に対して正しい位置にあることに留意する(図50)。M.G.-ラフェッテが正しく設置されている場合にのみ、ラフェッテの優れた射撃性能が発揮できる。 すべての射撃姿勢(伏射・座射・膝射)は、装填訓練および照準訓練と結びつけて反復訓練され、機関銃チームの緊密な協同のもと、暗闇やガスマスク着用下でも迅速かつ円滑に実施できるようにしなければならない。
射撃姿勢は伏射・座射または膝射で行う。各射撃姿勢おける照準高は地形の形状および地表の植生に応じて定まる。これは支柱(脚)を高く/低く設定することによって得られる。 ラフェッテの高さを変更するには、射手2が前方脚のラッチレバーを解除し前方脚を引き出す、または押し戻す。高さは中央支柱を短くする/長くすることによっても変更できる。射手1と射手2が後脚を調整する。射手1はその都度設定すべき目盛(例:1½)を目安として指示する。
XII 配置への前進
戦闘前の移動、および配置前進にはM.G.を軽機関銃として、満装の50連ドラムマガジンを装着し射撃準備をp.89の要領で整えておくこと。 M.G.が装填準備済みである場合、射手は射撃姿勢に入ってから初めてコッキングハンドルを引いてよい。このようにしなければM.G.の安全性は保たれない。
軽機関銃で前進する際、射手は2脚に過度な力を掛けてはならない。バレルジャケットや2脚が損傷・変形する。M.G.は銃口を持ち上げたうえで、上から地面に置くこと。乱暴に投げ置くことは避ける。 右手はM.G.をバットストックまたはスリングで保持する。
軽機関銃における正しい照準の高さは、延長した銃腔中心線が目前の掩蔽を越えて向いている場合である。高さは2脚の調整ねじを回して変更する。 H.Dv. 130/2a 第77–82項を参照。
重機関銃の配置前進は敵に射撃姿勢や M.G.の射撃準備を見られないように行わなければならない。射撃直前に射手1と射手2は身を起こさずに M.G.を掩蔽にできるだけ近づけ、自分自身および味方を危険にさらすことなく掩蔽越しに射撃できるようにする。 射撃を開始するまで敵がM.G.の存在に気がつかなければ、機関銃チームの対処は適切である。
XIII 射撃位置の変更
a)射手跳躍準備
(1) 軽機関銃は迅速な射撃開始のため、次のように準備する。 50連ドラムマガジンを装着する(ボルトは前進位置)。 ベルトリンクをフィードトレイに挿入する。 ベルトリンク送りレバーを右へ動かし、フィードカバーを閉じる。 安全装置を掛けてはならない(安全装置レバーは前位置のまま)。 引き金が前進位置にあるか注意する。
(2) 左手は地面を、右手はスリングまたはバレルジャケット(熱くなっていなければ)をつかむ(図51および52)。
b) 前方へ飛び出す際の射手
射手はスリングでM.G.を携行する。2脚展開時は長靴上部の口に引っ掛からないよう、M.G.は前方に大きく突き出して保持しなければならない。また飛び出す際には、図44のようにM.G.を身体の中心より斜め前に持つことが推奨される。そのためには右手で地面を突いて体を支え、左手で2脚の基部をつかむ(図53)。飛び出すとき、右手はピストルグリップをつかむ(図54)。
c) M.G.-ラフェッテ使用時
M.G.をM.G.-ラフェッテ34上の重機関銃として用いる場合、陣地移動は組み立て状態でも分解状態でも実施できる。ただし組み立て状態での移動は短距離に限る。組み立て状態での陣地移動では、射手1が後脚2本をつかむ。射手2は前脚を引き出さずにできるだけ低く設定し、右(左)手で前脚を、左(右)手で満装の弾薬箱をつかむ(図55)。
組み立て状態の器材を一人で運搬しての陣地移動は特別の場合にのみ、ごく短距離で可能である。短距離の移動では、M.G.の照準装置(MGZ34またはMGZ40)はラフェッテ上に残す。目的の陣地へ移動後、組み立て状態の器材を力任せに地面へ据え付けることは避けなければならない。
XIV. M.G.34 の取扱い・整備および保管
M.G.器材および弾薬の良好な取扱いと手入れ、ならびに射撃に向けたM.G.の丁寧な準備だけが、M.G.34の十分な性能と信頼性を保証する。
1. 取扱い
M.G.を肩に載せて運搬するために持ち上げる際、バレルジャケット前方、特に消炎器やリコイルブースター周辺をつかんではならない。バレルジャケットが変形・曲がると、銃身のバレルジャケット内でのスムーズな動きを阻害する。バットストックを後方に向けた肩掛け状態でM.G.を携行することは禁止。 行軍中および戦闘中は、M.G.を地面に乱暴に置くことを避ける。
戦闘の合間ごとにM.G.の点検を実施しなければならない。
M.G.34の機関部用カバー(Bezug)は、戦況が要求するときにのみ外すこと。エジェクションポートのダストカバーは、射撃していないときは常に閉じて砂塵の侵入を防がなければならない。特に、各種車両での携行時、行軍(戦闘中)の携行時、ならびに射撃位置変更の前には、カバーが閉じていることに注意すること。引き金を引くと、ダストカバーは自動的に開く。
厳寒の際には戦況が許す限り、M.G.を直接の低温下にさらさないようにする。できるだけ乾燥した室内に収容すること。 厳寒の状況下で保護なしにM.G.を運用しなければならない場合、M.G.34をただちに射撃可能にするためには、次のように処置する:
1. 内部の可動部分(銃身、ボルト、給弾機構)をよく清掃し、注油しない。
2. M.G.が多少温まってから(単発射または連続射により)初めて注油してよい。武器用潤滑油、すなわちM.G.油に石油を加えることが推奨される。
3. 射撃後に長い休止が入る場合は、可動部の油を取り除き、新しいボルトを脱脂状態で組み込む。
4. いずれの場合でも、装填直前にボルトを数回後退させる。同様に、給弾機構の可動部も作動させておく。
2. 手入れ
M.G.34は使用後すぐに清掃しなければならない。とくに空包・実包の射撃後は必ず実施する。 M.G.の各部は柔らかく清潔な敷物の上に置かなければならない。硬い台に強く置く、あるいは投げ落とすと、M.G.の重要部品が損傷または曲がり、射撃時の作動不良につながる。清掃後、M.G.の各部および銃身内面は、錆の発生を防ぐために軽く注油しておく。
3. 保管
M.G.34の保管・収納・携行において、銃身を外したままボルトを前進させることは禁止である。これはバレルジャケット内後方、銃身後方支持部を損傷するためである。
保管はつねに横置き状態で、可能なら3点支持で行う(脚は折りたたむ)。M.G.ラフェッテ34は保管のため折りたたみ、銃架マウント部が上向きになるように置く。M.G.用照準装置を含めた一切のM.G.器材は乾燥した部屋に保管し、各射手長/班長が自分の器材に責任を負えるようにしておく。
装弾済みベルトリンクを長期間保管しなければならないときは、ベルトリンクを装弾前にパラフィン処理しておくのが望ましい。ポケット連結部をパラフィン処理することで弾薬の押し出しが著しく容易になる。鉄製薬莢の弾薬を発射する場合でも、パラフィン処理したベルトリンクを用いれば作動不良は稀である。ベルトリンクを沸騰したパラフィンに浸し、取り出す際に余分なパラフィンをしっかりと振り落とすことが重要で効果を発揮する。ベルトリンクのパラフィン処理は武器係、または各部隊で実施してよい。パラフィン被膜が完全に固化してからでなければ、弾薬を取り付けてはならない。一度パラフィン処理したベルトリンクはおよそ10回の装填に使用できる。
XV. M.G.34の操作・使用における安全措置
1. あらゆる種類の車両上、馬上、背負い荷物、行軍中の携行において、ボルトは常に前進位置で、かつ解放状態でなければならない。
2. 高い射撃即応体制が必要な場合(例:行軍中の対空射撃)、次のようにする。
— ボルトは前進位置にする。
— ベルトリンクを給弾機構に差し込む。
— フィードカバーを閉じる。
この状態は、小銃において5発が弾倉に装填され、最上段の弾を押し下げつつボルトが前進し(薬室に装填されない)、ボルトハンドルが右に倒され、かつボルトの撃針が非コッキングの場合に相当する。
行軍中の連装架台36、オートバイ・サイドカーへの搭載、対空旋回銃座、行軍中にドラムマガジンを装着しての携行、戦闘中の移動前、装甲車内などにおいて、武器がこの状態にあれば迅速に射撃可能でかつ高い安全性が確保できる。射撃開始に際し、射撃体勢に入ってから(射撃する直前)コッキングハンドルを引いてボルトを後退させれば、たとえボルトとシアーの接点に多少の不具合があっても、不意の発射(暴発)は生じない。
3. 作動不良の際、射手はいかなる場合も、ボルトを後退 → コッキングハンドルを前進させた状態で射撃継続を試みてはならない。例外は、実包の排出が完全に疑いなく確認できた場合のみである。
4. 作動不良時、従来型M.G.(M.G.08など)で行われてきた、いわゆる「※連続的な装填操作(Durchladen)」をM.G.34では行ってはならない。多くの場合、ボルトの前進行程で実包が薬室に装填されており、弾薬の2重装填や暴発の危険があるため。
※フィードカバーを開けずに、コッキングハンドルの前後動作だけを繰り返して弾詰まりを解消する方法。
5. 不発・作動不良の場合の処置 以下のように実施する
a) ボルトをコッキングハンドルで後退させる。
b) コッキングハンドルを後退位置に保持する。
c) ボルトが引き金シアーによって確実に保持されていることを確認する。
d) 安全装置を掛ける。
e) フィードカバーを開く。
f) フィードトレイからベルトリンクを外し、弾薬あるいは薬莢が薬室内、もしくは銃身へ向かう途中にあるか確認する。
6. 安全装置は、ボルトが最も後退した位置にある場合のみ、その目的を果たす。 ボルトが前進位置にある場合、またはボルトが前進もしくは後退運動の途中にある場合に安全装置を掛けようとするのは無意味である。 そのような場合、多くはボルトが引き金シアー上に押し付けられて固着し、重大な作動不良を引き起こす。
7. 射撃(引き金を離すこと)が中断されると、ボルトは後退位置に留まり、引き金シアーにより保持される。 この状態で安全装置を掛けると、ボルトの前進は阻止されるが、撃針は安全化されない。 装填され安全装置が掛けられた状態での移動は禁じられる。
戦闘中の移動準備を行う場合の処置手順
フィードカバーを開ける。
ベルトリンクをフィードトレイから外す。
ボルトを前進させ、ダストカバーを閉める。
ベルトリンクを再びフィードトレイに装填し、フィードカバーを閉める。
これによって、第III項1cおよび第II部で規定された状態になる。 この状態で暴発は起こらず、銃はごく短時間で射撃可能な状態に移行できる。
8. もしM.G.34が射撃中止の際に偶然作動不良を起こした場合は、特に注意して慎重に薬室から排出を行わねばならない。
9. 射撃場では給弾機材(弾薬箱、ドラムマガジンなどM.G.に装着されたもの)より前方、すなわち標的方向に人が立つことは許されない。 M.G.の前方に立つことは、銃身または機関部が開放されている場合を除き禁止される。
10. 銃身内に弾薬が残り銃身交換を行わなければならない場合、必ず安全時間として約3分間を待機すること。
11. アンロード(残弾の除去) 射手はアンロードのたびに、その旨を小隊長・分隊長など上官に報告する。 「アンロード完了! 銃身解放! ボルト解放!」
12. M.G.34のボルトが真に解放状態にあるのは、ボルトキャリア後部にある三角形型突起の後端がエジェクター作動プレートの凹部と同じ位置にあるときのみである。(図33参照)
第III部 M.G.34を重機関銃(s.M.G.)として射撃する
A. M.G.34をM.G.-ラフェッテ上で射撃する際の取扱い
射撃するために、射手は右手の手のひらで引き金装置のハンドグリップを押さえ、4本の指で引き金レバーをハンドグリップの方へ引く。射撃中は、引き金レバーを常に均一に、しっかりとハンドグリップに引き付けておかなければならない。 左手は照準装置の左横にあるスライドレール上に置く。
左右への射撃を行う場合は、M.G.の親指で照準装置をレール上で横方向へ押し動かす。上下射撃のために調整ハンドルを使用する場合は左手でハンドルを握る。このとき両手がM.G.の横方向操作に関与し、左右方向への射撃を補助することになる。 M.G.を横方向へ動かすためにラフェッテ上部、バットストック、またはラフェッテ下部を押してはならない。また、身体をスライドレールや後脚に乗せて押さえることも禁止される。
射撃を中断する場合は、引き金レバーを完全に放す。観測が良好であれば、射撃方向の小さな修正は「高くせよ!」または「低くせよ!」の号令によって補正され、射手はハンドルを回してM.G.をやや上方または下方に向けることができる。 大きな修正が必要な場合には、新しい照準を設定しなければならない(事前に照準装置の目盛りを「0」に合わせ、再び調整し直す)。射撃領域を狭めるか広げる必要がある場合は、照準装置に設定するマークの数を減らすか増やす(自動で縦深射撃の範囲を調整するレバーの数値設定を変える)。
もし段階的に高度差のある目標を射撃する場合は縦深射撃による友軍部隊への誤射に注意しつつ、ハンドルの回転で調整できる。その際、縦射射撃装置の設定目盛りは「0」に合わせておかなければならない。 新しい目標に切り替える際は、照準を行う前に縦深射撃装置の設定を必ず「0」に戻す。その後、必要な縦深射撃用の目盛りを再び設定する。
B. M.G.照準装置(MGZ)による照準
照準を開始する前に、M.G.照準装置を完全にマウントに差し込み固定しなければならない。さらにハンドルはギアとの接続を解除(自由に高さ調整が可能な状態)し、ラフェッテの照準機構は中間の高さに設定する。 ハンドルとギアとの接続および解除は、右手の親指で右方向(ハンドグリップに向かって)に突き出たハンドル軸を押すことによって行う。
a) 直接照準
照準に入る前に、縦深射撃装置の設定マークとM.G.照準装置の2つの(1ミル単位の細かい目盛りと100ミル単位の粗い目盛り)横方向目盛りを「0」に合わせ、さらにM.G.照準装置の「direkt」表示が射手の側を向いていなければならない。高さ目盛りの位置は影響しない。
1. 照準器を高さ調整ダイヤルにより距離分割の設定目盛に合わせて直接照準用の設定とし、ラフェッテ照準装置の蝶ナットを緩める。
2. M.G.を照準装置の移動およびハンドルの回転によって左右および上下に動かし、目標に合わせる。
3. 蝶ナットを締める。
4. 指定された縦深射撃装置の目盛りを設定する。例えば2000mの場合=2目盛。 b) 間接照準 照準を行う前に縦深射撃装置を「0」に設定し、M.G.照準装置の「indirekt」の表示が射手に向いていること、またM.G.が水平に置かれていること(水平器が合致すること)を確認しなければならない。
1.) 安全に射撃を行う最短距離の設定 友軍部隊が前方に展開、または掩蔽が射撃位置から300m以上離れている場合、射手はそれらを超えて射撃(超過射撃)できる安全照準角(ラフェッテ照準装置の射表を見る)に応じて照準調整を行う。
友軍部隊が前方に存在せず、または掩蔽が射撃位置から300m未満の場合、最低限の安全を確保するため照準距離1000mに合わせて狙う。次に高さ水平器を合致させ、得られた傾斜角度を読み取り記録する。 傾斜角度はM.G.照準器を用いて次のように測定する:
射手は高さ調整ダイヤルを回して「indirekt」に合わせ、粗い仰角目盛りを300(300が水平位置を示す)に、細かい仰角目盛りを0に設定し、M.G.-Lafette のハンドルを回して、越えるべき高さもしくは掩蔽をM.G.照準器の望遠鏡の中央に合わせる。次に高さ調整ダイヤルを回して高さ水平器を合致させ、得られた数値を読み取り、対応する安全照準用の目盛線を加算して傾斜角度として記録する。
または:
射手はあらかじめ粗い仰角と細かい仰角を「0」に設定せずに、距離分割に応じた安全照準角をそのまま設定する。 例:掩蔽または自軍が300m先 → 安全に超過射撃を行える最短距離 → 1150メートル(ラフェッテ照準装置の射表を確認) 射手は掩蔽または地形による安全照準角をM.G.-Lafette の照準装置(ハンドル)で合わせ、次に「indirekt」に設定し高さ調整ダイヤルを回して高さ水平器を合致させ、得られた数値を目盛り数値から読み取り、傾斜角として記録する。 この数値には、すでに高度差と安全照準角の目盛線が含まれている。
2.) 傾斜角を陣地下士官に報告する。
3.) 指定された角度を、左右方向の粗い目盛りと細かい目盛りを確認しながら設定する。粗い目盛り調整(ひと目盛り=100ミル)は照準望遠鏡にある切換えレバー(回転用ギアの噛み合いを外す)を押しながら回すことにより行われる。細かい側方角度の設定を行う際は、切換えレバーを離し、細かい角度目盛りを回して調整する。
4.) 角度目盛りの数字を書き記す。
5.) スライドレールの側方レバーを緩める。
6.) 照準を行うためには、まずLafette と M.G.を側方方向を大まかに合わせ、次に M.G.をスライドレールで回転させ、照準望遠鏡または照準器で基準 M.G.あるいは指定された照準点を狙えるようにしなければならない。側方レバーは締める。
7.) 指定された仰角は粗い角度目盛りと細かい角度目盛りを見ながら高さ調整ダイヤルを回して設定する。
8.) 高さ水平器はラフェッテのハンドルを回して合致させる。
9.) M.G.の角度調整はこれで設定された。M.G.が角度計測器やコリメーターなどに依存しないようにするため、照準の固定点を定める。固定点の数値を記録する。固定点への照準は、照準望遠鏡を固定点に合わせ、照準器を振って行う。
10.) 指定された縦深射撃の目盛数値は縦深射撃調整レバーで設定する。
11.) スライドレールの側方制限装置は、指定された目盛に設定する。そのため射手は側方制限装置を照準装置のスライドレールに密着させ、指定された目盛に合わせ制限装置を噛み合わせる。
12.) 側方レバーを緩める。 これらの作業は分離して行われるのではなく、互いに連続して進行する。作業の順序も厳密に固定される必要はない。記載された順序はあくまで指針を示すものである。円滑かつ迅速な共同作業、そして極めて正確な照準とM.G.-照準器での数値設定に特別の注意を払わなければならない。
C. 友軍部隊を越えた射撃
a) 直接照準において
友軍部隊を直接照準において越えて射撃するために、射撃手は棒照準器(標桿)に安全照準角「M.G. — 友軍部隊」を設定し、命令された照準器(M.G. 照準器または目標用照準望遠鏡)で目標を照準する。縦深射撃装置の設定リングを「0」に合わせ、ハンドルの下方高さ制限器で、実射撃に対して命令された深度射撃の半分を設定する。高さ制限器の位置を変更せずにハンドルと制限器のギアを連結し、さらにハンドルを回して銃口を下げ、下方深度射撃限界まで下げる。その後、射撃手は棒照準器を照準器越しに観察する。
越えて射撃すべき友軍部隊が棒照準器の照準線の下にある場合、危険はない。照準線の中にある場合、あるいはその上にある場合は、越えて射撃することは禁じられる。
b) 間接照準において
高低の測定後、友軍部隊または地形の上縁までの距離と地形角を確定しなければならない。この地形角に友軍部隊あるいは地形上縁までの距離に対応する安全角を加算する。 この結果、得られた数値から半分の深度射撃角を引いたものが、全体の高低よりも小さい場合、越えて射撃することが可能である。全体の高低から半分の深度射撃の角度を引いたものが、求められた数値(地形角+安全角)よりも小さい場合は、越えて射撃してはならない。
友軍部隊や地形を越えて射撃する際の下方深度射撃限界の設定は、ハンドルの高さ制限器によってのみ行われる。下方高さ制限器を用いて、実射撃に対して命令された深度射撃の半分が設定され、次にハンドホイールを回して銃口を下方深度射撃限界まで下げる。この際、縦深射撃装置の設定リングが「0」にあることを確認しなければならない。
D. ハンドルでの高さ制限器の設定とハンドルによる縦深射撃の実施
縦深射撃装置が自動的に作動できない場合、あるいは目標の高低差が大きすぎて使用できない場合には、蝶ナットを緩めた状態で、左手でハンドルを回して縦深射撃を行う。 このとき縦深射撃装置の設定リングは「0」に合わせておかなければならない。
M.G.が必要な高さと方位に合わせられている場合、上下の高さ制限器を命令された目盛に設定。ハンドルを右へ押し込むと高さ制限器のギアと噛み合い、ハンドルの回転が指定の範囲に制限される。
例: 距離 2600m、縦深射撃幅 100m。
号令: 「縦深射撃 3!」 → 高さ制限器を上1.5、下1.5の位置に設定。
E. M.G. 34 を M.G. 照準装置で高さ、側方を設定する(視界不良時)
a) 高低(距離)の測定
1. 射撃に必要な照準器を、天候の影響を考慮して目標に合わせてM.G.を照準する。縦深射撃装置の目盛は「0」に設定されていなければならない。
2. 側方レバーを締める。
3. 高さ水平器を高さ調整ダイヤルを回して一致させる。
4. 角度数値を読み取り、記録する。
b) 側方による固定
1. 基準点を選定する。
2. 照準器の望遠鏡または照準ガラスで基準点を照準し、固定する。
3. 側方目盛の数値を読み取り記録する。
4. 近接した基準点によって側方方向を確保すること(M.G.基準点の正確な方向に杭を打ち込む)。
5. 自動縦深射撃装置を命ぜられた数値目盛りに合わせること。
6. 側方制限装置を設定し、側方レバーを解除すること。
F. M.G.34をラフェッテ34で射撃する際の表と超過射撃に関する安全規定
a) 表
1. 友軍部隊を超えて射撃する場合
表の各項目
友軍部隊までの距離 (m) 、安全設定数※
※設定数1 = 10ミル
2.幅射表
表の各項目
50mの幅射に対して 距離 (m) 、設定数 ※
※設定数1 = 10ミル
3. 射撃位置と目標が同じ高さにある場合の仰角(気象条件を考慮しない)
表の各項目
距離 (m)、MGZ照準器の仰角数値
4. 超過射撃表(Überschießtabelle)
友軍部隊、前方の高地・地形物を安全に撃ち越すための表。
表の各項目
友軍部隊までの距離 (m) 、安全:Sicherheits 〔MGZ照準器:Teilstiche (k) 、M.G.34照準器:Visier〕 ※ラフェッテ射表と同じ
友軍部隊、前面の高地および地形の遮蔽物は、目標までの総仰角(下限の縦深射撃境界)と比較して同等またはそれ以上である場合には、安全に撃ち越すことができる。つまり「目標までの総仰角」 ≧ 「地形角度+友軍部隊までの角度+安全照準角」であることが条件である。
5. 超過射撃の図
図1
例a
MGから目標までの距離:1500m
仰角(最も低い縦深射撃位置):33+14-2= +45ミル
友軍部隊までの距離:700m
地形角度:10ミル
安全照準角:23ミル
計算式:必要条件:a ≥ e + k
(a = 仰角、e = 地形角度、k = 安全照準角)
実際の値:a = +45、 e + k = 10 + 23 = 33
45 ≧ 33 なので 安全に超過射撃可能。
結果:100m 縦深射撃で超過射撃ができる。
図2
例b
MGから目標までの距離:1200m
仰角(最も低い縦深射撃位置):22-2= +20ミル
自軍部隊までの距離:600m
地形角度:-4ミル
安全照準角:22ミル
計算式:必要条件:a ≥ e + k
実際の値:a = +20、 e + k = -4 + 22 = 18
20 ≧ 18 なので安全に超過射撃可能
結果:100m 縦深射撃で超過射撃ができる。
6. 縦深射撃用
s.S.弾薬(重尖頭弾)について 着弾地域を100m拡大するためには、以下が必要である:
射程1200mでは = 1目盛り
射程2000mでは = 2目盛り
射程2600mでは = 3目盛り
射程3100mでは = 4目盛り
射程3300mでは = 5目盛り
1目盛り = 3ミル
7. 各射撃距離における縦方向のグルーピング(100%の着弾群)
s.S.弾薬(重尖頭弾)を使用、縦深射撃なし・あり(平均値)
表の各項目
射程 (m) 、縦深射撃なし (m) 、100m 縦深射撃 (m) 、200m 縦深射撃 (m)
*)平坦地での射撃に適用される。例えば、射線方向にある目標付近の地形が急に高くなっている場合は、縦深射撃を拡大しなければならない。
8. 100%の弾着群および有効な弾着群の縦方向の伸び(Tiefenausdehnung)、縦深射撃なし・あり(平均値)
s.S.-弾薬
±0 の平地、前頁の脚注を参照。
表の各項目
射程 (m) 、縦深射撃なし 100% (m) 、縦深射撃なし 有効 (m) 、100m 縦深射撃 100% (m)、 100m 縦深射撃 有効 (m) 、200m 縦深射撃 100% (m) 、200m 縦深射撃 有効 (m)
b) 安全規定
(a) 隠蔽射撃陣地から:
自軍、手前の高地や地形遮蔽物は、目標に対する総仰角が斜面または自軍(遮蔽)への地形角度と安全照準角の合計と同じか、それ以上であれば、危険なく越えて射撃することができる。 自軍または越えようとする遮蔽物までの距離は、距離測定器で求めなければならない。推定は、近距離で固定して確認できる場合に限り許され、最大で500mまでとする。
(b) 露出した射撃陣地から:
目標に向けられたM.G.(縦深射撃の下限)の照準線が友軍を越えて走っているならば、友軍は危険にさらされず、越えて射撃することができる。照準線が自軍の下または中にあるならば、越えて射撃することは禁止される。 友軍までの距離は測距儀で測定されねばならない。推測は、近距離で確実に測定できる場合に限り、最大で500mまでに限られる。
(c) 一般:
1. 友軍を越えて射撃する際の安全性を確認する場合、常に射撃陣地に最も近い(すなわち最も低い)部分の目標に照準を合わせなければならない。 安全性の確認は次の点に及ばねばならない:
(1) 最も前方にあり、射撃陣地に最も近い友軍の存在。
(2) 射撃陣地と越えて射撃される友軍との間に存在する、地形の起伏および地表の覆い(樹木、生け垣、植え込み、家屋など)。
2. 弾丸が草や枝などにかすめることは友軍を危険にさらす可能性がある。したがって常に再確認が必要である。
3. 射撃架台の堅固な設置は超過射撃するための前提条件である。
4. 射撃の合間には、以下を確認せねばならない:
照準器、水平器、固定数値、傾斜角、側方制限器および縦深射撃装置。
5. 縦深射撃装置は調整されていなければならない。
6. 照準手段および照準装置ならびに測距儀は正しく校正・調整されていなければならない(遊びがあってはならない)。
7. 超過射撃するためには、s.S.弾薬(schweres Spitzgeschoß = 重尖頭弾)のみが使用されねばならない。弾丸が薬莢内に確実にしっかり収まっていることに注意すること。
8. 平時の射撃訓練において見学者はM.G.の銃口の前方では訓練部隊と同じ姿勢を取らねばならない。
9. 実戦射撃においては、擬装は行わない。(前方に展開する友軍が擬装を行った場合、後方からの射撃部隊が視認できない可能性がある。)
10. 超過射撃するために使用されるM.G.および銃身は、武器係によってその目的に適していると認められたものでなければならない。
11. 実戦射撃の間に、友軍を越えて射撃するために用いられる一本の銃身からは、およそ1500発以上は発射してはならない。冷却後、銃身は武器係によって、口径ゲージ7.96mmおよび8.0mmで測定されねばならない。 注記: 実戦射撃の前後には、M.G.およびすべての銃身は武器係によって検査されねばならない。超過射撃に不適と判断されたM.G.は修理が行われ再び承認されるまで、超過射撃に使用してはならず、不適合の銃身は「SX-銃身」として扱う。
IV.部
M.G.34 機関銃器材の携行
1)射撃中隊、射撃中隊(機械化)、工兵中隊の場合、M.G.34 軽機関銃器材は戦闘車両内または車両(トラック)に携行される。重機関銃器材は射撃中隊(機械化)ではトラックにて携行され、重機関銃中隊(機械化)の場合と同様である。
2)オートバイ射撃中隊・分隊、オートバイM.G.中隊(重)およびオートバイM.G.分隊の場合軽および重M.G.34器材はオートバイ・サイドカーにて携行される(図56および57)。サイドカーのボンネット上の装着部にM.G.34を置くことは、戦況が要求する場合のみ許される。
3)馬匹牽引のM.G.中隊の場合、重M.G.34器材の携行はM.G.馬車(第5種)(図22および23)で行われる。
4)機械化M.G.中隊(あらゆる種類)の場合、M.G.器材は乗用車およびトラックで携行される。これらの車両は対空射撃用旋回架台を設置できるようになっている。M.G.器材の携行のため、車両はM.G.34本体、M.G.ラフェッテ34、予備銃身ケースを収めるための固定具を備える(図58および59)。その他の器M.G.材は棚に収められ、主に座席下に置かれる。
5)自転車部隊の場合、M.G.器材および弾薬は部隊の自転車に分配され、次のように携行される。
射手1:M.G.34本体(二脚、M.G.カバー、スリング付き)、ドラムマガジンコンテナ1個に50連ドラムマガジン2個を積載
射手2および3:予備銃身ケース1本、弾薬箱1個(容器に収める)
射手4および6〜9:各1個の弾薬箱用容器 利用法は部隊指揮官の指示に従う。3個の容器は手榴弾運搬用としても使用可能。射手4はさらにドラムマガジンコンテナ1個(50連ドラムマガジン2個入り)を背負いラックにて携行する。
射手5:弾薬箱1個を背負いラックに載せる。また自転車に三脚固定具が備えられる。これが積載される場合、弾薬箱の携行は無し。
分隊長の自転車:M.G.34用予備固定具が設けられており、副分隊長(部隊指揮者)が空の弾薬箱容器を携行できる。分隊長のいない部隊では、この弾薬箱予備容器は携行されない。
6) 山岳部隊における M.G.34器材の積載は荷役用の動物によって行われ、騎兵および機関銃騎兵中隊では、荷馬および騎乗馬に積載用の荷具と器材を用いて、以下のような編成で行われる。
a) 山岳猟兵中隊において
機関銃 荷役動物
荷物(中央)
・中央用荷物運搬具
・燃料油および石油容器(M.G.弾薬箱に収納)
・M.G. 用弾薬箱 1個
荷物(左)
・M.G. 用吊り具
・M.G.34(レシーバーカバー、2脚、スリング付き)
・M.G.34 用補充箱 ・予備銃身ケース2本用(予備銃身2本入り)
・予備銃身カバー (予備銃身1本付き)
荷物(右)
・三脚用吊り具
・Dreibein 34(三脚)
・ドラムマガジンコンテナ2個(それぞれに50連ドラムマガジン2個収納)
・M.G. 用弾薬箱 1個
弾薬荷役動物
荷物(中央)
・中央用荷物運搬具
・ドラムマガジンコンテナ1個(50連ドラムマガジン2個収納)
・M.G. 用弾薬箱 1個
荷物(左)
・弾薬用吊り具
・M.G. 用弾薬箱 3個
荷物(右)
・弾薬用吊り具
・M.G. 用弾薬箱 3個
(※ その他の機材および追加弾薬は作戦輸送隊によって運搬される)
b) 山岳猟兵 M.G. 中隊において
機関銃 荷役動物
荷物(中央)
・中央用荷物運搬具
・燃料油および石油容器(M.G. 弾薬箱に収納)
・M.G. 用弾薬箱 1個
荷物(左)
・M.G. 用吊り具
・M.G.34(レシーバーカバー、2脚、スリング付き)
・M.G.34 用補充箱 ・予備銃身ケース2本用(予備銃身2本入り)
・予備銃身カバー(予備銃身1本付き)
荷物(右)
・M.G.-ラフェッテ34 用吊り具
・M.G.-ラフェッテ34(三脚架台)
・対空射撃用支柱34(三脚アタッチメント)
・予備銃身カバー 2個 (それぞれ予備銃身1本付き)
1. 弾薬荷役動物
荷物(中央)
・中央用荷物運搬具
・ドラムマガジンコンテナ1個(50連ドラムマガジン2個収納)
・M.G. 用弾薬箱 1個
荷物(左)
・弾薬用吊り具
・M.G. 用弾薬箱 3個
荷物(右)
・弾薬用吊り具
・M.G. 用弾薬箱 3個
2. 第1および第3小隊 機関銃弾薬 荷役動物
荷物(中央)
・中央用荷物運搬具
・ベルトリンク装弾器34(M.G. 弾薬箱に収納)
・ドラムマガジンコンテナ1個(50連ドラムマガジン2個収納)
荷物(左)
・弾薬用吊り具
・M.G. 用弾薬箱 3個
荷物(右)
・弾薬用吊り具
・M.G. 用弾薬箱 3個
補足:
第2小隊 M.G.の弾薬荷役動物はベルトリンク装弾器の代わりに M.G. 用の小型予備箱を運び、第4小隊 M.G.の場合はベルトリンク装弾器の代わりに M.G.-ラフェッテ34用の小型予備箱、さらに M.G. 用弾薬箱の代わりに武器係用の小型工具箱を運搬する。
c) 騎兵中隊において
機関銃荷馬
荷物(中央)
・M.G.34(レシーバーカバー、2脚、スリング付き)、銃身カバー 2個
荷物(左)
・弾薬用吊り具
・M.G. 用弾薬箱 2個
・ドラムマガジンコンテナ1個(50連ドラムマガジン2個収納)
荷物(右)
・弾薬用吊り具
・M.G. 用弾薬箱 2個
・ドラムマガジンコンテナ1個(50連ドラムマガジン2個収納)
三脚用荷馬
荷物(中央)
・機関銃用三脚(ドライバイン34)
・予備銃身ケース2本用(予備銃身2本入り)
荷物(左)
・弾薬用吊り具
・燃料油および石油容器(M.G. 弾薬箱に収納)
・M.G.34 用補充箱
・M.G.用弾薬箱 1個
荷物(右)
・弾薬用吊り具
・燃料油および石油容器(M.G. 弾薬箱に収納)
・M.G.34 用補充箱
・M.G.用弾薬箱 1個
補足:
三脚(Dreibein)が携行されない場合は代わりに『中央用荷物運搬具』が置かれる。その場合、三脚の代わりに弾薬の入った弾薬箱2つが運ばれる。
弾薬用荷馬
荷物(中央)
・燃料油および石油容器(M.G. 弾薬箱に収納)
・M.G.34 用補充箱
荷物(左)
・弾薬用吊り具
・M.G.用弾薬箱 3個
荷物(右)
・弾薬用吊り具
・M.G.用弾薬箱 3個
補足:
MG機材および弾薬の残りは弾薬用荷馬にて運ばれる。
※各弾薬用荷馬にはさらに予備銃身ケース2本用(予備銃身2本入り)2個が、側面または中央荷台として積載される。
機関銃用荷馬
荷物(中央)
・M.G. 34
・予備銃身ケース1本用(予備銃身1本入り) 2個
荷物(左)
・弾薬用吊り具
・M.G.用弾薬箱 2個
・ドラムマガジンコンテナ1個(50連ドラムマガジン2個収納)
荷物(右)
・弾薬用吊り具
・M.G.用弾薬箱 2個
・ドラムマガジンコンテナ1個(50連ドラムマガジン2個収納)
ラフェッテ34用荷馬
荷物(中央)
・M.G.-ラフェッテ34
・予備銃身ケース2本用(予備銃身2本入り)
・予備銃身ケース1本用(予備銃身1本入り)
荷物(左)
・弾薬用吊り具
・燃料油および石油容器(M.G. 弾薬箱に収納)
・M.G.用弾薬箱 2個
荷物(右)
・弾薬用吊り具
・M.G.34 用補充箱
・M.G.用弾薬箱 2個
弾薬用荷馬
荷物(中央)
・中央用荷物運搬具
・M.G.用弾薬箱 2個
荷物(左)
・弾薬用吊り具
・M.G.用弾薬箱 3個
荷物(右)
・弾薬用吊り具
・M.G.用弾薬箱 3個
7)M.G.装備一式の残りと弾薬は弾薬用荷馬に搭載して運ぶ。
※各弾薬用荷馬にはさらに予備銃身ケース2本用(予備銃身2本入り)2個が、側面または中央荷台として積載される。
V. 部
対空射撃におけるM.G.34の取扱いと操作
行軍中の対空防御には主としてM.G.ワーゲン(Jf.5) および自動車に設置された連装銃架36(Zwillingssockel 36)、またトラックおよび自動車の対空旋回銃架(Fliegerdrehstütze)が使用される。 連装銃架36が装備されていない部隊は、M.G.34を三脚(Dreibein 34)またはM.G.-ラフェッテ34に対空射撃用支柱(Aufsatzstück)を付けて用いる。
突然の空襲を受けた場合には、射手はM.G.34を肩付けして射撃する。
1. 連装銃架36からの射撃(図60および図61)
a) M.G.を連装銃架36の機関銃保持具(M.G.-Lagerung)に装着する
M.G.は対空戦闘態勢が命令された場合にのみ連装銃架36に搭載され、それ以外は所定のケースに収納される。装填は射手によって行われる。M.G.は常に同じ保持部に装填されるよう注意しなければならない。 引き金レバー(Abzugsfinger)は外に振り出されていなければならない。すなわち機関銃保持具に対して直角に位置していなければならない。銃マウント部のクランプは倒しておく。 射手はM.G.収納ケースからM.G.を取り出し、照準器を起こし、スリングをピストルグリップから外す。そして銃口を少し持ち上げ、後部の保持ピンを銃マウント部にまず差し込み、それからバレルジャケットを固定金具に入れクランプを閉じる。 2挺目のM.G.についても同じ要領で行う。次に対空射撃用リアサイトを起こし、対空射撃用照準環を取り付け、引き金レバーをM.G.の引き金に掛け、最後にM.G.収納ケースの蓋を閉じる。バットストックは装着せず、収納ケース内に残す。
b) 弾薬箱の装着
射手はM.G.-Wagenの側壁から2個の弾薬箱36を取り出し、機関銃保持具の弾薬箱ホルダーに取り付ける。
c) 連装銃架36におけるM.G.34の装填
素早く射撃態勢に入るため、装填は「第II部 第III項 1c」に従って行われる。
d) 連装銃架36におけるM.G.34の操作
射手は、右手で方向調整ハンドルを強く前方へ押しストッパーを掛ける。次に高低調整ハンドルを外して中央位置に掛ける。これにより20°未満の高低角では味方方向への射撃が不可能になる。その後、射手は両手同時、または片手ずつでコッキングハンドルを後退させ、引き金ストッパーによって保持されるまで後方へ引く。すぐに発射しない場合はM.G.の安全装置を掛ける。射手は右手の四指を引き金グリップに掛け、左手を機関銃保持具の持ち手に置く。これで両方のM.G.は射撃可能状態となる。 射手は両脚で支えながら連装銃架36の上部を回転させることで横方向を操作する。高低調整は左手と右手で操作する。
e) 閉鎖機構および銃身の交換
銃身および閉鎖機構の交換は、M.G.34をM.G.-ラフェッテ34に装着した場合と同様に行われる。銃身交換の前に左右の方向調整機構を固定しておかなければならない。M.G.は水平に保つこと。銃身をバレルジャケットからより簡単に取り外すために、銃口をやや持ち上げることができる。M.G.を連装銃架36に装着した状態での薬室からの弾薬の取り出しは、第II部、第III項、2a(1)に従って行われる。
f) M.G.34の取り外し
連装銃架36からの取り外しは、装着のときと逆の順序で行われる。対空射撃用リアサイトを倒し、対空射撃用照準環を外し射手はこれを工具入れに納める。連装銃架36が対空射撃用照準環を備えている場合、それも倒しておく。M.G.が連装銃架36から地上射撃に使用される場合(第II部、第VIII節)、M.G.を機関銃保持具から取り外した後にバットストックを装着する必要がある。M.G.を銃架から取り外す前に、高低および左右方向の調整機構を固定しておかなければならない。
2.対空射撃用旋回架台による射撃(図62)
a) 対空射撃用旋回架台の設置
対空射撃用旋回架台を設置するために、射手4または5はトラックまたは乗用車の床にある蓋を開き床のねじ穴を露出させる。大型の床板に対空射撃用旋回架台用の穴がすでに設けられている車両では、この作業は不要である。射手2または3は対空射撃用旋回架台を持ち、固定具から外し、床板下のねじ穴にねじ込む。 制空権が確保され敵機の来襲が無い地域では、対空射撃用旋回架台は固定具に収められたままとする。
b) M.G.34の装着
M.G.を対空射撃用旋回架台に装着すること、および対空射撃用旋回架台でのM.G.の操作はM.G.をドライバイン34に装着して対空射撃に使用する場合と同じ要領で行う。射撃は50連ドラムマガジンから行われる。
3. ドライバイン 34による射撃
三脚を担当する射手は、脚を完全に伸ばした状態で三脚を設置する。射手1はM.G.の中央支持部(バレルジャケット後部)に接続金具を装着し銃架に差し込む。対空射撃用リサイトを照準器から起こし、対空射撃用照準環をガンナーズツールポーチから取り出して取り付け、50連ドラムマガジンで給弾する(弾薬箱からの給弾も可能)。 射撃中の安定性を高めるために、三脚は別の射手によって保持されなければならない。 M.G.34を三脚で構えて射撃する際は、肩をバットストックにしっかり押し付ける必要がある。左手はバットストックを上から握る。大きな仰角で射撃する場合、射手は片膝または両膝をついて姿勢を安定させることができる。
4. M.G.-ラフェッテ34からの射撃(図63)
射手2はM.G.-ラフェッテ34を、指揮官によって定められた場所へ持っていく。必要に応じて射手3の助けを借りて対空射撃姿勢で設置したラフェッテに対空射撃用支柱を取り付ける。射手1はM.G.を中央支持で銃架に載せ、対空射撃用リサイトを照準器から起こし、対空射撃用照準環をガンナーズツールポーチから取り出して取り付け、50連ドラムマガジンで給弾する(弾薬箱からの給弾も可能)。 射撃中の安定性を高めるために、M.G.-ラフェッテ34は射手によってしっかりと保持されねばならない。
5. 肩からの射撃(図64)
射撃銃架が無い場合、あるいは飛行目標を時間の損失なく可能な限り迅速に攻撃しなければならない場合には、M.G.は射手の肩に構えて射撃することができる。この際、2脚は折りたたむ。
射撃姿勢は次のように取る:
射撃架の役割を果たす射手は耐熱パッド(ガンナーズツールポーチに収納)を該当する肩に当て、飛行目標に背を向け、右脚をやや後ろに引く。機関銃手はM.G.34を射手の肩に置く。飛行目標が射撃位置に直接近づくか、あるいは右側から来る場合は右肩に、左から来る場合は左肩に置く(機関銃手の視点から)。そして装填する。 M.G.はフロントサイトのやや下で支えられるべきである。射撃中、射撃架を務める射手は機関銃手の肩の姿勢を観察し、自らの肩を即座に同調させることができるようにする。機関銃手はバットストックを肩にしっかりと引き寄せ、左手で上からバットストックをつかむ。射撃の際は片膝をついて射撃する。