■銃口 / リコイルブースター
ラッパ型消炎器が装備され、その内部にはリコイルブースターと呼ばれる部品が収まっている。消炎器後部の外周に掘られた溝と上部のラッチがかみ合って、回転を防止している。
銃口の消炎器奥にシルバーの金属地が出ている部品がリコイルブースター。
マズル部の部品構成。写真左から、消炎器、リコイルブースターコーン、リコイルブースターシリンダー、バレルジャケット本体と下は銃身。
リコイルブースターシリンダーはバレルジャケット先端にねじ込んで固定。このシリンダーによってバレルジャケットに差し込まれた銃身の先端部が保持される。
銃身が通るシリンダー内径22㎜に対して銃身先端の直径は21.6㎜なので0.4㎜のあそびがある。この0.4㎜はショートリコイルによるスムーズな銃身後退動作や、円滑な銃身交換を考慮した寸法と思われるが、銃身の固定は多少甘くなる。
リコイルブースターコーンは銃口前面を覆うように配置され、射撃時に生じる高圧の燃焼ガスがコーン内部にたまり銃口前面を押す。ショートリコイルによる銃身後退の動きをさらに加速させ射撃速度を向上させる。
写真のリコイルブースターは独軍オリジナルの未使用品。銃本体と一致する手書きの製造番号が確認できる。熱処理の関係?か表面仕上げは赤味を帯びている。
リコイルブースターコーンの内部はすり鉢状になっており、射撃時にはこの部分に高圧のガスが吹き付ける。写真左の消炎器はコーンを入れた状態。
消炎器本体を回転させて位置を前後させることでリコイルブースターコーンが収まる内部空間の容積を調整することができる。消炎器をいっぱいまで締めるとコーンは内部で完全に固定され、緩めると前後にカタカタと動く。
リコイルブースターの調整に関する僅かなネット情報を見る限り「射撃の際に消炎器を締め過ぎるのはNG、コーンが内部で動くようある程度緩めるべき」との記述がある。また「発射速度を調整できる」との情報もあるが、少なくともドイツ軍のマニュアルで発射速度の調整に関する記述は無い。
■薬室周り
上部には折りたたみ可能なリアサイトがあり、右側には銃身交換のための回転軸が収まるための張り出し部がある。その回転・ロック機構のために各部は複雑な形状で構成されている。
側面の細長い楕円形の部品はバレルジャケットとレシーバーの結合をロックするためのラッチ。銃身交換の際にはここを押す。
薬室周りの下面。
1.レシーバーとバレルジャケットを結合する回転軸のロック金具。レシーバーを回転させた後、金具を下から押し込むと結合が外れる。
2.「ボルトキャッチ」。MG34のロッキングは閉鎖用の溝が斜めに加工されているため、ショートリコイルが作動する前にボルトと銃身のロッキングが早期解放される恐れがある。この部品はボルトの早期後退を防ぐ安全装置の役割を果たす。
3.回転軸