■ボルト その2


ボルトの分解には、ロッキング・ローラーを閉鎖位置(写真の状態)に動かし、ボルトとボルトキャリアの結合部を90度ねじると分離する。その中に納まるそれぞれの部品は固定されていないので、部品を傾けるだけで容易に取り出せる。ここまでに要する時間は10秒ほど。




MG42のマニュアルに掲載されたボルトの分解図。







ボルトは3つの部品からなるエキストラクターを含め、9部品で構成。簡素な形状のファイアリングピンはベース部品の穴に差し込んで使用する。右の部品はエジェクター。ロッキング用の2つのローラーは溝にはまり込んで分解できない。




ボルトキャリア内部にはエジェクターを押すエジェクター・プレートとファイアリングピン・スプリングが収まっている。




2つの部品は写真の状態で収納される。スプリングはリコイル・スプリングと同様に、寒冷地にも強いといわれる2本の金属線をよったものが使われている。





■ローラー・ロッキング機構

■ローラー 閉鎖解放時

MG42の特徴であるローラー・ロッキング機構。2つのローラーが中央によった写真の状態が閉鎖解放状態。つまり、ボルトが前進位置以外の時にはこの状態となる。




2つのローラーはボルトの解放・閉鎖を行うと同時に、ファイアリングピンの動きも制御する。閉鎖解放状態では、ファイアリングピンは後方にあり、ボルトヘッドからは先端が見えない。




赤矢印で指している部品が本ページの冒頭で紹介したファイアリングピンが収まるベース。このベース部品は後方に配置されたスプリングによって常に前方に押された状態となっているが、閉鎖前(説明のため片側のローラーのみ動かしています)ではローラー中央の突起がブロックし、前には動けない。




■ローラー 閉鎖時

引き金を引き、ボルトが前進。銃身側の薬室手前に設けられた溝にローラー前面がぶつかると、ローラーはボルトの溝をガイドに左右へ広がりながら動く。写真の位置までローラーが動くと、銃身側の溝と嵌合して閉鎖・ロックが完了する。




マニュアルに掲載されたMG42の銃身後部。ボルトのローラーがはまり込んでロッキングするための溝が確認できる。




ローラーが左右に広がり、閉鎖が完了した状態ではファイアリングピンの先端が突き出ているのがわかる。




ローラーが閉鎖位置に移動すると同時に干渉が解かれたファイアリングピン・ベースの部品はスプリングの力によって勢いよく数ミリ前進。ファイアリングピン先端が雷管を叩く。




分かりやすくするため内部の部品だけを取り出して各部の動きを見る。

上が閉鎖前。ファイアリングピンが収まるベースは後方からスプリングで強く押されているが、ローラーに阻まれて前進ができない状態。

下が閉鎖後。ローラーが左右へ開く動きに連動して、ファイアリングピンベースも前進している。




■刻印


MG42 刻印



MG42 刻印



MG42 刻印



MG42 刻印

ボルトの各刻印はそれぞれ何を意味するものかほとんど不明であるが、「cra」はMG42を生産していたマゲット社※Maget のコード。




もどる