■銃身
MG42の銃身。テーパー加工され銃口側が若干細くなった銃身本体にボルトのローラーが噛み合うバレルエクステンションがネジ止めされた2部品構成。
銃身本体は熱処理された炭素鋼を使用しているため銃身の寿命は3,500~4,000発程度と短い。クロムやニッケルを添加すれば銃身の命数は伸びるものの、ドイツでは大量生産が必要な機関銃用の銃身に枯渇が心配されていた希少金属を使用せず温存することを優先した。生産の途中から銃身内とバレルエクステンションにクロムメッキが施され、銃身の寿命は8,000発まで伸びている。
1943年のマニュアル(D 166/1)によれば150発毎の銃身交換が推奨されており、機関銃分隊での銃身携行本数は最大5本。発射速度の速いMG42の運用にあたっては大量の予備銃身を生産し、前線へ供給し続ける必要があった。連合軍が作成した報告書によれば、鹵獲されたドイツ軍機関銃は常に状態の良い銃身が装着されていたとの記述があり、大量生産と供給が円滑に実施され、運用する兵士もマニュアルの指示を適切に守っていたことが伺える。
MG42の銃身部品の全長は566mm、銃身長は475mm。MG34と比べ全長は58mm、銃身長は124mmそれぞれ短い。
ボルトのローラーが収まる溝が四隅に加工されたバレルエクステンション。この部品はバレルジャケットに差し込まれた銃身の位置固定やショートリコイル銃身後退時のガイドになるなど複数の重要な役割を果たす。
ライフリングはMG34と同じ4条右回り。銃口先端部は銃身ガイドスリーブを装着するため写真の形状になっている。