■MP40 初期生産型 その2




1942年前半までに生産された初期型MP40は安全装置のないMP38と同型のボルトを使用しており暴発の可能性があった。これに対処するため1942年8月、すでに配備済みのMP38とMP40に対して安全装置付き新型ボルトへの交換作業が開始され、作業完了を1943年5月に設定した。このMP40も安全装置なしボルトで生産されたのち、安全装置付きボルトに交換されている。またレシーバーのコッキングハンドルが噛み合う部分は穴あけ加工が施されている。

このMP40に付いているボルトは見える範囲に製造メーカーを特定できる刻印は無いが、ハーネル社製造のボルトと推測できる(交換用新型ボルトの製造はハーネル社が担当)。






コッキングハンドルが2分割された新型ボルト。ハーネル社を示す「37」のバッフェンアムトが打たれている。




















折り畳み式ストックは内部のロック機構に若干の変更があるものの、外観はMP38から1944年の末期生産型まで大きな変更は無い。このMP40はグリップフレームとストックの製造番号が一致しており分解された形跡もないが、収納・展開時共に上下にグラグラと大きな遊びがあり、安定しない。このグラグラは多くのMP40でも確認できる。






100mと200mの2段切り替え式リアサイト。MP38はサイト基部が2本のマイナスネジでレシーバー本体に固定されていたが、ネジが無くなった。












MP38のアルミ削り出しからスチールプレス製に変更されたグリップフレーム。製造メーカーは「National Krupp Registrierkassen」。前後2つのプレス部品を溶接したこのタイプはMP40の初期型から中期型にかけて採用されている。上の写真、赤い線で示した箇所が前後の分割ライン。










極初期型のMP40は銃口周りの部品をMP38から流用しているため金属製銃口カバーが装着できる。このMP40は銃口保護リングのみ全周にローレット加工が施されたMP38部品を流用しており金属製銃口カバーは装着できない。部品構成としては初期生産の中でも後期よりの仕様。銃身下のバレルレストはMP38のアルミ鋳造製から樹脂製に変更。しかし破損する事例が多く、途中からプレスのスチール製に変わる。






フロントサイト前方に金属製銃口カバー取り付け金具の付いたMP38(写真上、または写真奥)。極初期のMP40はMP38と同一形状になる。






初期型以降のMP40は銃口保護リングの中央に溝が加工(ゴム製銃口カバーの脱落防止)される。





もどる