■マガジンハウジング
筒状のアッパーレシーバー本体にプレス製のマガジンハウジングが取り付けられている。マガジンハウジングの形状は、両側に丸い穴が開けられた削り出し製(MP38)→プレス製でリブ無しのフラットタイプ(1940年から生産された初期のMP40)→プレス製で5本のリブあり(1941年以降に生産されたMP40)と変化する。このリブはマガジンハウジングの強度アップを目的としているが、内部に侵入した泥やゴミなどが入り込むスペースの確保、手で保持した際のグリップ力向上などの効果も期待できる。またマガジン挿入口も前後に広げられており装填を容易にしている。
マガジンリリースボタンは滑り止めのローレット加工が一部省略されメーカーコードが刻印されている。これは組み立ての際に部品の向きを確認しやすくするため、との事である。
こちらはマガジンボタンの滑り止め加工が異なっているMP40。生産工程の簡略化が目的と思われるが、いくつかのバリエーションがある。
アッパーレシーバーの前部には「3645 f」の製造番号とバッフェンアムトの刻印が入る。6面カットされたナットはレシーバーに挿入された銃身を固定する。ナット後方にあるスリング通し金具は180度毎に回転できるため、スリングの取り付け向きを左右で選べる。通常のスリング取り付け向きは右側。
バレル固定ナットは写真のように表面の削り込み加工が上下2か所しかないタイプも存在。これは1943年以降に登場する。
ボルトが閉鎖状態のエジェクションポート。大きな開口部と幅の広いエキストラクターを持ち、排莢不良を低減させる。
ボルトが後退した射撃状態。9㎜パラベラム弾のすぐ後ろにある突起はエキストラクターによって薬室から引き抜かれた薬莢を外に蹴り出すためのエジェクター。
マガジンハウジングの前後はプレスされたスチール板が2重になっており強度を持たせている。下側に少し突き出てている丸い突起はエジェクターの底部、その上にあるピンで本体に固定されている。
■折りたたみ式ストック
車載装備用としての小さなスペースへの収納や空挺部隊での使用を前提として小型化が求められた本銃はそれまでの固定式木製ストックではなく、革新的な折りたたみ式のストックを採用した。このストックはレシーバー後部のボタンを押して下向きに約180度スイングさせた後、バットストックを90度展開させる。ストックは簡易な構造ながら通常の射撃では十分に役割を果たしてくれる。41年製は展開時にしっかりと固定されるが、42年製では上下にグラグラと動き安定しない。
ストックを収納した状態。銃の下部にコンパクトに収まり、邪魔になることもない優れた設計。
ストックアーム基部にある滑り止めのローレット加工が施されている部分が展開用のボタン。
■銃身 / 銃口
銃身側面にも製造番号、バッフェンアムト、国家鷲章の刻印が並ぶ。銃身下の突起は車内から外へ射撃する際に銃口が誤って車内を撃たないよう、装甲板などの縁に引っかけておくためのもの。突起部後方のバレルレストはベークライト製。
フロントサイトは円形のガードがあり、サイトブレードは別部品なので左右に調整が可能な構造にはなっているが、差し込み部分にポンチで打刻され照準調整が予め行われているので、前線で兵士が調整する場面はほぼ無いと思われる。
外周にローレット加工が施されたマズルキャップは取り外して空砲用アダプターを取り付けられる。写真のものは「186」の製造番号が打刻されている。