■ボルト/作動機構




MP43・MP44のボルトグループの部品と作動機構を2ページに分けて紹介。



■ボルト












MP43・MP44のボルトは製造時期などにより、形状や仕上げに差異があり複数のバリエーションが確認できる。画像のボルトは製造年が不明であるが、MP43用などの比較的初期に生産されたものと思われる。単純に見える各部の面を構成するアウトラインも微妙な傾斜や曲線が入り組んでおり複雑な形状となっている。このボルトはクロムメッキ仕様と思われるが、黒染め(ブルーイング)も確認できる。




ボルトヘッド。写真右側に加工された切れ込みにはエジェクターが通る。




ボルトを後部から見ると、複雑な加工形状がわかりやすい。中央にはファイアリングピンが収まる。




ボルト上面の刻印。プルーフマークとなる国家鷲章と製造メーカー Sauer und Sohn を示す「37」のバッフェンアムト。




ボルト本体とファイアリングピン、エキストラクター、エキストラクター固定ピン、エキストラクター用スプリングの5部品で構成され、スプリング以外はすべてスチールの削り出しで製作されている。








幅広で弾薬のリムをしっかりとつかむエキストラクター。







ラッカー塗料で防腐処理されたスチール製薬莢は、装填・排莢の動作を繰り返すうちに塗膜のカスが内部に溜まり作動不良を引き起こす。この作動不良への対策として、エキストラクターが収まる凹みの上下に溝を加工した改良版ボルトが登場。この溝が塗料カスの排出にどのように作用するのか不明であるがMP44やStg44の多くが改良型のボルトを使用していたと思われる。




エキストラクターを取り外したボルト。ボルト側面には閉じたダストカバーとの干渉を防ぐため、円弧形状の凹みが設けてある。




エキストラクター用のスプリング。スプリングの収まりを良くするため、エキストラクターと接する部分が丁寧にも削られて平坦に加工されている。このような小さいスプリングにまで加工を行っていたことに少々驚く。



このスプリングはファイアリングピンの抜け防止も兼ねている。写真中央のスリットにスプリングが入りファイアリングピンの側面を直接押すことでテンションをかける構造。





ボルト中央に収まるファイアリングピン。鉛筆のような形状をしており、棒の断面は「丸」ではなく「おむすび型」に近い。初期生産品は軽量化のため側面にフルート加工が施されるなどいくつかのバリエーションがある。

ファイアリングピンはボルト中央の穴に入れてあるだけ。そのままでは自重で落下し紛失する恐れもあるので、上記で紹介したスプリングによってテンションを与え自重での落下を防いでいる。




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