■レシーバー その1



MP43は製造年の刻印から1943年~1944年にかけて生産されており、本銃は43年製。各部はMP44に近い特徴を有しており、43年でも後半に生産された銃ではないかと推測する。

MP43、MP44、Stg44は製造時期による差異と製造メーカーによる部品形状の差異がごちゃ混ぜになった上で2回の名称変更が実施されている。名称の切り替え時期も旧名称が刻印されたアッパーレシーバーの在庫量に応じて各メーカーで前後している事が予測される。この流れからMP43、MP44、Stg44の3つを外観から明確に区別する事は困難(MP43/1は識別可能)で、この3つを区別するにはアッパーレシーバー左側面に打たれた銃の名称刻印を確認するしかない。





1枚のスチール板から複雑なプレス工程を経て作られるMP43のレシーバー。炭素鋼のシートメタルを50トンプレス機を使い大まかな形状に打ち抜く作業からスタート。その後、58もの製造工程を経て完成する。




本項では1943年製のMP43(写真下)と1945年製のMP44(写真上)をそれぞれを比較しながら紹介する。全体的な印象としてはやはり製造時期の早いMP43の各部の仕上げの良さが感じられる一方、45年製のMP44も品質がそれほど低下していないことがわかる。どちらもブルーイング仕上げであるが末期生産型にはパーカーライジング仕上げもあり、ごく少数と思われるが透明ラッカーのようなコーティングのみが施された例も確認できる






写真の上がMP44、下がMP43となる。マガジンハウジング側面に設けられた補強リブの有無、MP43やMP44と打たれた刻印の下側にあるリブの長さに違いがある。リブ無しと短いリブを持ったMP44のタイプはMP44の後期生産型以降の特徴なので、このタイプのMP43は存在しないと思われる。













7.92×33mmクルツ弾の採用で800mまでとなったリアサイトの調整距離。本銃の開発にあたっては、600mまでの射距離において7.92×57mm弾と同じ弾道になるよう要求されている。

なお工場で生産されたすべてのMP43・MP44は完成後、射撃テストが行われ合格した銃のみが出荷される。100メートル先の標的に対して5発を射撃。15センチのサークル内に全弾命中、さらに12センチのサークル内に3発以上命中することが求められる。ここからMP43やMP44は射距離100メートルにおいて、15センチ以内のグルーピングにまとまる精度を有していることがわかる。




リアサイトの溝はV字型にカットされている。




手前がMP43、奥がMP44。リアサイトも中央部に溝の有り無しで差異がある。MP43は溝無しでMP44は溝がある。リアサイトベースとレシーバーの接合にはスポット溶接の他にMP43ではリベット?も併用されているが、MP44では穴はそのままでリベットだけが無くなっている。




Mkb42(H)で採用されたエジェクションポートからの異物進入を防ぐダストカバーはMP43・MP44へも引き継がれた。閉じた状態から射撃、もしくはコッキングハンドルを操作すると自動で開く。







このダストカバーの一部には写真の通り、手加工によって凹ませたような箇所がある。これはダストカバーを開けた際、リアサイト調整ツマミとの干渉を防ぐための処置でMP44でも同様の加工がある。




マガジンハウジングの下部。装着したマガジンはMP44と同様、前後にガタツキがあるがMP44よりはガタが少なく収まりが良い。




2枚のスチール板が接合されるマガジンハウジングの前部。スポット溶接の跡が目立つMP44と比べ、接合方法そのものが異なるのか綺麗に仕上がったMP43。




MP43のリコイルスプリングは片側のみ、スプリング径が小さくなっている。おそらく径の小さいほうがレシーバー側、太いほうがストック側と思われるが逆に入れても作動するはず。MP44ではどちらを入れてもいいように両側が細くなっている。




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