■1942年製 木製弾薬箱 その2





木箱の底板は4分割されているが、なぜかその分割線は不均等な位置にあり、それぞれの板は合計18本のマイナスネジで固定される。










木箱の各側面に取り付けられた金具類は全て面一となっており、凸部が一切無い。金具が面から飛び出ないように、木部側を金具の厚み分だけ彫り込んでいる。木箱を隙間なく重ねやすいという利点はあるが手間のかかる加工でドイツ製らしい過剰品質が伺える。
















フタの留め具は、独軍車輌などに装備されている箱モノでもよく見られるU字型の開閉金具を有したタイプ。周囲の金具も含め、いかにもドイツ製らしい重厚な造りが目を惹く。




周囲の付帯金具も金属板の厚み分だけ木部が一段彫り込まれ、段差無く仕上げている。










フタと木箱本体の接合は普通の丁番が使われている。丁番の固定にはマイナスネジが使われているが、木部にねじ込むだけの木ねじではなく、6角ナットで締める。箱の内側に配置される6角ナットも飛び出さないよう、木部を彫り込んで頭を埋めている。この処理は丁番のマイナスネジに留まらず、この木箱に使われるすべてのネジに共通する。










両側面に設けられた取っ手は両側から二人で木箱を持つために必要。1500発の弾薬が入ると重量は50キロを超えるため一人での運搬は困難になる。







側面の板が90度で交差する面は「蟻組み」と呼ばれる伝統的な木材の接合技法が採用されている。板の端から延びたほぞ(接合するための突起)は、先端が広がった台形型になっており、これがお互いに嚙み合うことで、高い接合強度を持ち、経年変化による木の変形にも強さを発揮する。







側面には「Kauritleim」の文字スタンプ、不鮮明な製造メーカーコード「he」?と製造年「42」が確認できる。「42」の右側にはバッフェンアムトと思われる刻印が僅かに見えるが文字は全く判読できない。




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